
前回の記事でインバウンド対策の定義・インバウンドアプリ事例についてお伝えしました。
インバウンド対策として、各業界・自治体はどのような施策を行えばいいのでしょうか?多くの同業者が同様の施策している中で、差別化を図るためにはどうすればいいのでしょうか?
例えば、外国人観光客が旅行に来る際に欠かせないもののひとつとして宿泊するためのホテルがあります。ホテル業は観光業界だけではなく、建設業界も関わってくる業界となっています。今回はインバウンド向けホテル建設をひとつの例としてどのような施策が必要かまとめました。
外国人観光客に人気のホテルを建設したい

外国人に人気のホテルを建設するために、考慮する点がいくつかあります。
例えば、
- 人気観光地へのアクセス
- 外国人向けサービス
- 食事
- 外国人の観光の傾向(目的)
など、日本人向けホテルを建設する時より少し工夫が必要となります。
日本に住んでいる日常の中では海外のトレンドを肌で感じることは難しいですし、多様な文化に対応するためには幅広い情報が必要となります。
どうすれば「外国人観光客に人気」のホテルをつくることができるでしょうか?
そのためには「リサーチ・分析」が重要となってきます。
観光分析における5つの観点
「外国人観光客に人気のホテル」のためのリサーチ・分析結果を目的どおりに得るためには、直接的なデータのみの分析だけではなく間接的なデータからの分析も必要となってきます。今回のように「外国人観光客」をターゲットとしているのであれば、彼らが立ち寄った場所以外にも、その流動的な動きを把握することも大切です。
観光分析で知るべき観点をいくつかあげてみましょう。
- 動線をとらえる
地域から地域、場所から場所とその滞在時間を知ることで、他地域との比較、流動、また交通手段の推定が行えます。滞在時間とその時間帯、およびその地区の特性からそこに滞在している目的(宿泊・食事など)の推定も可能となります。 - 興味をとらえる
滞在場所を「立ち寄り」とみなし、その観光客が興味をひく観光資源はなにかを過程し、近隣の観光スポットとの情報と突き合わせて観光客の「興味対象」を推測します。 - 課題をとらえる
2とは逆に、立ち寄らずに通過してしまう場所にある状況や課題、またその可能性を2の場所と比較することで探ります。 - 地域の特質をはかる
その地域の特性を他地域の特性との比較で測ります。例えば、似た特性を持つ地域で観光地として評価の高いところと低いところとの違いはなにか、を知ることで観光に必要な要素を見つけ出すことができます。 - トレンドを測る
観光客が急に増えたところ、増えつつあるところ、またその逆を訪問者数やSNSなどのトレンド等から傾向を探ります。
外国人観光客向けホテル建設でおさえるポイント
ホテル建設で必要なポイントを上記1~5の観点に置き換えると、
- 1 → 観光客の移動データを知る
流動時間帯を知ることで宿泊時間に適した場所にホテルを建設したり、移動前の地域を知ることで次に求める食事なども推測できます。 - 2 3 → 特定地域で外国人に人気のホテル・不人気のホテルを比較
外国人の口コミや利用履歴データに着目することで、外国人の興味や不人気になる課題をとらえることができます。 - 4 → 外国人観光客の地域に対する評価を調べる
ホテルのみではなく、地域の評価を調べることも適した場所にホテルを建設するためには必要な情報です。イベントが影響することもあるので地域のイベントにも着目するとよいでしょう。 - 5 → 海外のニュースや、インスタグラム、Facebookの情報を得る
多くの情報はインターネット上で収集することができます。海外セレブが発信することや、海外の流行を知ることは、変化のある面白いサービスを考えられるきっかけになります。
5つの観点をおさえるためにはデータが必要
ホテル建設の例でもわかるように、観光業に必要な5つの観点を分析するためにはデータが必要となります。必要なデータはGPSによる位置情報や携帯電話のローミングデータ、SNSデータやインターネット上にある口コミなどがあります。それらは観光業界で「観光ビッグデータ」と呼ばれインバウンド対策にも役立っています。
次回はホテル建設だけではなく、様々な業界で役立つ「観光ビッグデータ」の取得の仕方、それ用いた分析結果を詳しく探っていきたいと思います。