
近年の新しい技術発展に伴い、新しいIT用語も次々と生まれています。「会議中知らない用語が出てきて議事録をとるのが難しかった」「調べものをしていたけど知らない用語ばかりで時間がかかった」「取引先と話をしていた時に出てきた用語を知らなくて恥ずかしい思いをした」ということもあるでしょう。
そこで、知っておくべき基本的IT用語と最近トレンドになり注目されているIT用語を厳選してまとめました。(2023年1月12日更新)
今更聞けない基本的なIT用語17選
インターフェイス
ハードウェアとハードウェア、ハードウェアとソフトウェア、ソフトウェアとソフトウェア、人と機械など異なる複数の機器を繋げる仕組みのことを指します。一般的に使われているUSBなどもハードウェアインターフェイスのひとつです。
オフショア
ビジネスにおいて「海外」という意味で使われることが一般的ですが、IT業界においては情報システムやソフトウェアの開発を海外企業や海外支社に委託することを「オフショア開発」と言います。主に人件費の削減のため取り入れられる方法です。
仮想化
コンピューター、サーバー、OS、アプリケーション、ネットワークなどの資源を、実際の物理的な構成とは異なる資源に見せかけて動作させることです。仮想化を使うことでコストを削減できたり、資源を有効活用できます。
機械学習
コンピューターが大量のデータを学習し、分類や予測などのタスクを遂行するアルゴリズムやモデルを自動的に構築する技術です。AIの重要な技術のひとつであり、マーケティングや製造など様々な場面で活用されています。
クラウドコンピューティング
コンピュータの機能やソフトウェア、データなどをインターネットなどの通信ネットワークを通じてサービスとして提供する利用形態のことです。ネット上に保存できるストレージやGmailなどのWebメールもクラウドコンピューティングのひとつです。

サーバー
データやサービスを提供するもので、ファイルの保管や共有、電子メールの管理、ブラウザにWebページの表示するためなどに利用されています。サーバーから提供されるデータやサービスを受け取る端末は「クライアント」と呼ばれます。
スクレイピング
Webサイト上にあるテキストや画像、リンクURLなどのデータを取得し、CSVやエクセルなどのデータに落とし込むことができる技術です。Webサイト上の膨大なデータを一括取得するのに役立ちます。
データベース
ある特定の条件に当てはまる「データ」を複数集めて、後で使いやすい形に整理した情報のかたまりのことを表します。大容量のデータを活用しやすくするためにデータベースを作成しておくことは重要です。
データマイニング
大量のデータを統計学や人工知能などの分析手法を駆使して、「知識」を見出すための技術です。ビッグデータが注目され、コンピュータの計算能力が向上し、大量のデータ処理を容易に行える環境が整備されたこともあり注目を集めています。
ビッグデータ
単に量の多いデータを指すだけではなく、高い更新速度、多様なデータの種類、といった性質を持つデータのことをいいます。SNSなどのWebデータ、POSデータやGPの位置データなどのデータもビッグデータです。
ブロックチェーン
ビットコイン開発の過程で生まれ、分散型ネットワークを構成する複数のコンピューターに、暗号技術を組み合わせ、取引情報などのデータを同期して記録する手法です。ブロックチェーンを使うと、一部のコンピューターで取引データを改ざんしても、他のコンピューターとの多数決によって正しい取引データが選ばれるため、記録の改ざんや不正取引を防げます。
AI
Artificial Intelligenceの略で人口知能のことです。その定義は様々ですが、簡単にいうと「人工的に作られ人間のように判断できるもの」です。人間のように学習することが可能で、さらに人間よりも早い速度でデータ処理を行えるため様々な場面で用いられています。
API
Application Programming Interfaceの略で、ソフトウェアやアプリケーションを共有する仕組みのことを指します。開発者にとって、共有されているAPIを活用することで開発の手間を削減することができます。
IoT
Internet of Thingsの略でモノに通信機能を搭載してインターネットに接続させる技術です。外出していてもスマホで操作できる「スマート家電」や、着るだけで心拍数や呼吸数を図ることができる服など生活の中から医療現場、農業などまで役立っています。
⇒進むIoT×自動化活用!その事例を紹介
RPA
Robotic Process Automationの略で経理など企業のバックオフィスにおけるホワイトカラー業務(定型作業)の自動化を図るテクノロジーのことです。自動化することで人件費の削減や業務効率化を図ることができます。
DX
デジタル・トランスフォーメーションの略で、簡単にいうと「デジタルによる変革」です。データやデジタル技術を用いてビジネススタイルを改善するために用いられる行動です。
5G
「第5世代移動通信システム」のこと。5Gの大きな特徴は、「超高速化」「超多数同時接続」「超低遅延」の3点で、超高速化による4Kや8Kといった高解像度の動画配信や、超多数同時接続によるIoTの普及、超低遅延による自動運転精度の向上、遠隔治療が可能となります。

ガートナーが注目している最新のITトレンド
2023年に注目すべきIT用語をまとめる上で、アメリカの調査会社ガートナーが指摘する用語はおさえるべきでしょう。もちろん、ガートナー社が指摘していない注目すべきIT用語もたくさんあります。そこで、ここではガードナーが2023年に注目しているITトレンドからピックアップしたIT用語をご紹介します。まずは概要を掴み、詳しく知りたい方はさらに追求しましょう。
AI TRiSM
AI Trust, Rosk and Security Managementを総称する造語。
統計処理ではカバーできないプライバシー/倫理面からの判断リスクへの対応や、判断に至ったロジックの可視化を通じて、AIへの信頼を高めるべき取り組みです。
インダストリー・クラウド・プラットフォーム
特定の業種や業界に合わせたサービスを提供す垂直統合型のクラウド基盤。業種別クラウド、業界クラウドとも呼びます。
業界ごとに調整された機能を組み合わせることで、これまで困難だった業界固有の課題に対処します。
オブザーバビリティ
Observe(観察する)とAbility(能力)を合わせた言葉で、日本語では「観察する能力」を意味します。
IT業界では「システムの状態に係る出力情報を調査することによって、システム内部の状態を推測、把握する能力」を意味します。
デジタル免疫システム
システムの安定(健康)を損なう各種要因に対応する仕組み(免疫)を作り上げ、耐障害性の向上と復旧の迅速化を目指す取り組みです。
バグなどの障害から迅速に回復できるようにレジリエンスを高めることを目的とする「デジタル免疫システム」を取り入れることで、顧客への負担を減らしユーザーエクスペリエンス (UX) の向上が期待できます。
知っておきたい最新IT用語24選
Starlink
米国のSpaceXが提供する通信衛星を利用したインターネットアクセスサービス。
低軌道に2000基以上の通信衛星を打ち上げており、地球上のほぼ全地域で衛星インターネットアクセスの利用が行えます。
ロシアのウクライナ侵攻の際にStarlinkがウクライナに提供されたことで話題になりました。
Web3.0
Web2.0に続く次世代インターネット環境。
分散型インターネットともいわれ、中央の管理主体を置かずに、ユーザー同士が分散的に情報や管理、運用することで透明性とセキュリティの高いサービスが実現できると考えられています。
エッジコンピューティング
センサーやデバイスなどからのデータを、発生した現場に近い場所(エッジ)で処理する技術や考え方のことです。エッジでデータ処理することで負荷を分散し、通信の遅延を限りなく小さくすることを目的としています。
スーパーアプリ
日常生活のあらゆる場面で活用できる統合的なアプリのことを指します。関連性のないように見えるサービス群が、一貫したユーザー体験のもとで統合されているのが特徴で、いくつもアプリを立ち上げる煩わしい手間が不要となり、ユーザーにとっての利便性は極めて高くなっています。
MaaS
Mobility as a Serviceの略でICT(情報通信技術)を活用して公共交通、カーシェア、タクシーなど自家用車以外の交通手段をクラウド化し連携することで、交通をひとつのサービスとして捉える概念のことです。
ゼロトラスト
「全て信頼できない(ゼロトラスト)ことを前提として、全てのデバイスのトラフィックの検査やログの取得を行う」という性悪説に基づいたアプローチを採用したセキュリティモデルのことです。デジタル化が進む一方でセキュリティリスクも生まれているため注目されはじめました。
DoT
Deeplearning of Thingsの略でモノのディープラーニング化を指します。IoTの次の技術として注目されており、DoTが発展するとあらゆるモノが学習をし、適切な判断を下してくれるようになります。例えば自動運転車など操作せずとも最適な行動をモノ自身が判断します。
HRテック
HR(Human Resource:人財)× テクノロジー(Technology)の造語で、クラウドやAI、ビッグデータなどを用い、採用・育成・評価・配置など人事事務を円滑にこなすためのサービスです。
MA
マーケティング・オートメーションの略で、マーケティング活動をデジタル技術によって自動化する仕組みやプラットフォームを指します。顧客や見込み顧客に対して、どんなアクションをとってきたかを記録し、「最適なコンテンツを、最適なタイミングで、最適な方法で届ける」ことを目的に利用されます。
xR
すべての仮想空間技術、空間拡張技術をまとめた呼び方です。「VR」「AR」「MR」など「多様な新しい現実」を総称した表現です。現実では体験できないようなことがシミュレーションできるといった魅力から、今後、ビジネスシーンの幅広い分野で活用が期待されています。
EdTech
EdTechは、エデュケーション(教育)とテクノロジー(技術)をミックスさせた造語です。ITはもちろんのこと、その他ロボットなどのテクノロジーは生活インフラとして無くてはならないものになります。そのため、義務教育の段階からテクノロジーについて学んでいくことは、将来の人材を育てるためにも有益です。テクノロジーを用いた教育方法によって、テクノロジーの知識を教育に取り込み未来の人材を育成することを目的とします。
メタバース
メタバースは、アバターを利用してデジタル仮想空間にアクセスして、仮想世界内でサービスを受けたり他の人とコミュニケーションをとることです。現在でもウェブ会議などはおこなわれていますが、メタバースを活用すれば会議などもより臨場感のある仮想空間ですべておこなえます。個人の体型に合ったファッションも、物理的ではなく仮想空間に設置された店舗で試着できます。家に居ながら世界中でショッピングを楽しめます。
NFT
NFTはブロックチェーンを活用して、アートやトレーディングカードの売買が個人でもできるプラットフォームです。売買の履歴は、すべてデジタル上で記録されます。著作権のあるオリジナルアートの唯一性を証明できます。買い物は、特定のブランドから消費者への流れだけではなく、消費者から消費者へと移行します。
ジオメディア
ジオメディアは、ジオグラフィックとメディアを合わせた造語です。GPS機能が進化したことによって、個人の現在位置と状況に合わせて最適な情報を受け取れます。自分自身のいる位置から近く、好みに合ったレストランやアミューズメント施設を通知しておすすめしてくれます。また、交通状況もすべてGPS機能によって把握できるので、交通渋滞を避けることも可能です。

ナレッジマネジメント
ナレッジマネジメントとは、知識を共有して活用することを基盤として、新しい創造に活かすことです。これまで、顧客情報や会計情報は、特定の営業を担う人材や会計業務を担う部署だけが所有している情報でした。しかし、DX化をすすめることで、過去のデータや情報を保存していつでも取り出せます。顧客情報や会計情報を社内全体で共有することで、会社全体の意思を統一させることができます。また、部署間を超えた情報と知識の共有によって、新しい視点から商品開発やサービス提供が可能です。世代交代が進む会社内でも、これまでのデータや知識を保存していれば持続的な成長に繋がります。
IoB
IoB(行動のインターネット)は、IoTを発展させた概念です。サイバー空間とフィジカルを繋げる技術であり、考え方でもあります。顔認証や購買行動、位置情報などを活用して、個人に最適化したサービスを受け取れます。セキュリティも唯一無二の個人の顔によって認証させるため、安心して金融取引もおこなえます。今後、過半数の人々がIoBに触れることになると予測されているため、ガートナー社も2021年のトレンドIT用語として取り上げています。
⇒IoBによるデータ活用は今後のトレンドに?流行の背景と活用例を解説
TX(トータルエクスペリエンス)
TX(トータルエクスペリエンス)という用語は、ARやVRを活用して仮想空間で現実に似た体験をさせるマルチ・エクスペリエンス、顧客への満足度を上げるカスタマー・エクスペリエンス、働いている人々の充実性を示す従業員・エクスペリエンス、使いやすさを追求するユーザー・エクスペリエンスの4つを合わせたビジネス上の成果のことを指します。商品やサービスを開発する人から、提供する人、使う人などすべての人々が良い体験により、「win-win」の関係になることを目指すことが今後の会社経営には大事だとする考え方です。
プライバシー強化コンピュテーション
プライバシー強化コンピュテーションは、暗号化されている状態のデータをそのまま使用したり、分析したりすることができる技術です。暗号化した状態なら、個人情報の保護や機密情報の漏洩を防ぐことが可能です。技術の発展によってITの利用が便利になる半面、不正アクセスや情報漏洩などのリスクも増えます。不正な利用や情報漏洩への対策として、セキュリティの技術も進歩しています。

分散クラウド
分散クラウドとは、物理的にサーバーを分散させてセキュリティーやネットの速度を早める方法です。クラウドサーバーを分散させれば、AIとの連携で高速の判断ができます。製品製造工場では、機械の不調によって不良品ができてしまうこともあります。不良品が市場に流れてしまわないように、欠陥商品を認識できるAIによって検索します。また、サーバーを物理的に分散させれば、データの保存も分散できるのでセキュリティー面も強化できます。
Anywhere Operations(場所を問わないオペレーション)
Anywhere Operations(場所を問わないオペレーション)とは、物理的に点在する顧客のサポートや、従業員のリモートワークができる仕組みのことです。インターネットを現実世界と融合させれば、物理的に離れている顧客へのサービスも可能になります。たとえば医療の現場では、難しい手術もリモートでおこなえるようになり、患者の物理的な移動の必要が無くなります。
サイバーセキュリティ
サイバーセキュリティとは、デジタル上の情報やデータの改ざんや漏洩を防ぐことです。デジタル上のデータはどこからでもアクセスが可能なため、ハッカーから攻撃を受けやすいデメリットがあります。常に危険な状態にさらされているデータを不正なアクセスから守るために、セキュリティのシステムも開発されています。プライバシー強化コンピュテーションは、サイバーセキュリティの中の一つの技術です。

インテリジェント・コンポーザブル・ビジネス
インテリジェント・コンポーザブル・ビジネスとは、直面している状況や将来性に応じて、ビジネスモデルや施策を根本から再編成できる仕組みづくりのことです。時代の流れや社会環境の変化が高速になっている中、古いビジネスモデルはすぐにトレンドの波から落ちてしまいます。会社の運営や方針などの基盤部分をデジタル化すれば、時代やトレンドの変化に応じて迅速な軌道修正が可能です。DXを通じて、ビジネスモデルも常に迅速に変化が可能な体制をとっておくことが必要です。
AIエンジニアリング
AIエンジニアリングは、AIのソフトやシステム開発をすることです。今後は、AIが導入されている技術開発やツール開発が増えていきます。また、データの解析をAIによって自動化することも増えていくでしょう。人間がおこなう必要のないデータの計算や保存は、AIによって代替可能です。今後はAIによる業務の自動化が進みます。ただし、これらのソフトを開発するためには、専門のAIエンジニアが必要です。
ハイパーオートメーション
ハイパーオートメーションとは、経営のためのデータ分析ツール(RPA、BI)やAIのことです。これまでのデータの統合や分析をおこない、将来の予測などのプロセスをすべて自動化できます。経営方針や判断をおこなうための資料は、収集されたデータを元に将来を予測しなければいけません。将来の予測部分はすべて人間がおこなっていましたが、ハイパーオートメーションによって予測部分もAIによって自動化させます。

今後ITが関わる業界
ITがこの先も発展するのは明らかで、IoT、DoTなど身近なところにITが活用されています。今までITと関わりのなかった業界も今後関わらざるを得ない状況になってくるでしょう。上記のような基本的なIT用語やITトレンドを知ることはもちろん、どのようにITを利用していくかを考えることが大切です。
ITは情報端末の普及によってデータが増えたことで発展してきました。特に、データマイニングやAIなどは膨大なデータを活用することが重要で、データ処理技術や分析が欠かせません。そして発展したITを活用するためにも必要なデータを集め、分析していくことが必要となってきます。先に述べたIoTなどを利用してデータを集めることも可能ですが、「Webデータ」という大容量のビッグデータが身近にあります。Webデータには活用可能なデータがたくさんあります。どのようにデータを収集・活用したらよいか、技術者がいない場合はどうすればいいかと考える場合にはデータの専門家に相談することもひとつの手でしょう。