
前回の記事でインバウンド建設・観光業界に必要な5つの観点についてお伝えしました。
ここから、インバウンド対策には「観光ビッグデータ」と呼ばれるデータを活用してサービスを充実させていく必要があることがわかります。
今回は、それを用いることでどのようなビジネスが生まれるのかを分析しました。
観光ビッグデータとは?
データ量、データ速度(リアルタイムの対応)、データの多様性の数値が高いものを「ビッグデータ」として定義していますが、観光ビッグデータはその中でも特に観光業において価値のあるデータのことを指します。
観光庁が2017年に発表した「ICTを活用した訪日外国人観光動態調査 報告書」から、以下の3項目を訪日外国人観光動態調査に重要な「観光ビッグデータ」として挙げています。
- ①携帯電話等のローミングデータ
- ②GPSデータ
- ③SNSデータ
これらは訪日外国人観光客が「いつ」「誰が」「どこで」「なにを」といったことがわかるため、5つの観点でも必要だった「動線」や「興味」など訪日観光客に依存するデータを分析することができます。
では、これらを活用するとどのような結果がうまれるでしょうか?
観光ビッグデータの活用方法
島根県松江市 – 誘客が遅れているエリアの発見

(参照:島根県松江市 RESASを使った分析例)
携帯電話のローミングデータやGPSを分析すると、人気の動線と不人気の動線がわかります。例えば、島根県松江市は松江城を中心としたプロモーション施策を実施していますが、位置情報データから来訪者の出発地点を比較してみると、東海地方からの誘客が遅れていることを発見しました。松江市は愛知県大口町と姉妹提携を行っている他、空路も開設されたため、今後東海地方からの誘客に力を入れる方針を立てはじめています。
訪日外国人向け旅のプラットフォーム「COMOMO」

(参照:COMOMO)
NTTデータと電通の協業による「電通ソーシャルインサイトラボ」のノウハウとNTT東日本が提供するAI翻訳エンジン「cototoba」を用いて、訪日外国人のSNS投稿を翻訳し、その投稿を「ポジティブ」か「ネガティブ」かを分析、また、ある特定のキーワードとともに投稿されていることの多いキーワードから「ついでに観光スポット」を把握しました。その結果、Peach Aviation株式会社が運営する「COMOMO」において、分析に基づく観光スポットや周遊ルートを紹介するコンテンツを配信し、訪日外国人観光客の消費行動の促進を促しています。
このように、観光ビッグデータを分析することで、現状ぶつかっている問題点を発見したり、新たなマーケティングルートを発見したりすることができます。
観光ビッグデータはWebから収集!
観光ビッグデータはローミングデータなど固有の企業が保有するデータもありますが、Web上に公開されているデータもあります。
【Web上にある観光ビッグデータ例】
・内閣府がWeb上で公開している「RESAS」
特定地域の滞在人口や流動人口データなどを分析することができます。
・口コミサイト
Web上にある多種多様な口コミサイトからは、日付、場所、国籍ごとに観光地やホテル、レストラン、イベントといった場所やアクティビティに対する観光客の興味・関心データを収集し、分析することが可能です。
データを持ってないから・・・予算がないから・・・と嘆く方でも無料で手に入れることができるのがWebデータです。うまく活用してインバウンド対策に役立てましょう。