
AI(人工知能)は、日を追うごとに進化しています。識者の見解によると、AIは人間社会を大きく変化させると予測されています。そもそもAI(人工知能)とはどういったものでしょうか?AI(人工知能)について正しい知識を持っておかなければ、変化していく社会に対応できません。この記事では、AI(人工知能)とはなにか解説し、ビジネスでAI(人工知能)がどのように応用されているのか実際の事例を紹介します。AI(人工知能)について知りたい方や、新しい技術をビジネスで応用させたい経営者の方はぜひ参考にしてください。
AI(人工知能)とは
AI(人工知能)とは、「Artificial intelligence」の略であり人間がおこなうような知的な活動をコンピュータ―を用いて人工的に再現する技術です。ジョン・マッカーシーという教授が「AI」の名付け親です。人間は、脳で考えてあらゆる行動をおこないます。例えば、「言葉を認識する」「道具を手で持つ」「間違いを修正する」「絵を描く」なども人間の行動だと言えます。人間が作った技術を集めたコンピュータープログラムによって作られているため、AIと名づけられました。ただし現在、実際に人間と同様の知能を持っているという訳ではなく、各種の作業に特化したプログラムが多数存在している状況です。
AI(人工知能)の歴史
AIの歴史は、大きく分けて3つの時代に区分できます。現在は第三次ブームと呼ばれていて、これまでに第一次ブームと第二次ブームを経過しています。それぞれ時代を追って、どのようにAIが進化していったのか解説します。
第一次AIブーム
第一次ブームの時代は、1960年頃に始まりました。この時代にAIは、「推論」や「探索」の技術を搭載してパズルや単純なゲームなどルールが設定されている問題を解くことが可能になりました。ただし、この時代のAIは、簡単なゲームを解くことはできるものの、複雑さが増すと解くことができない問題にぶつかりました。このことが、第一次ブームを終焉するきっかけになりました。
第二次AIブーム
1980年にAIのブームが最熱するきっかけとなったのは、「エキスパートシステム」です。エキスパートシステムは、専門的な知識を要する人間と同様の知識をAIに覚えさせます。このシステムの開発によって、AIを実際にビジネスに導入する企業が増加しました。ただし、エキスパートシステムは、必要となる知識や情報を人間の手によって覚えさせる手間が必要でした。また、例外の処理や人間なら理解可能な矛盾したルールへの対応ができず、第二次ブームも終わってしまいます。
第三次AIブーム
現在は第三次AIブームと呼ばれる時代です。ブームを作るきっかけとなったのが、「機械学習」と「ディープラーニング」です。機械学習は、ビッグデータのような膨大な量のデータも学習して、カテゴリーの分類やデータの分析・予測などをおこなうアルゴリズムを自動で構築することができる技術です。「ディープラーニング」は、先述した機械学習の実装方法の一つです。本来は人間がおこなう作業をAIに覚えさせて、複雑とされてきていた問題を解決させる技術です。
AI(人工知能)の学習方法
AIもきちんと学習をさせなければ、機能の向上はありません。AIの学習方法にはいくつかの方法があります。一つの学習方法である機械学習は、訓練をおこなうことによって人間が課したタスクを実行できるようにします。さらに、機械学習の中に、「ディープラーニング(深層学習)」と呼ばれる方法もあります。ディープラーニングは、コンピューターが自ら学習し自動で性能を上げていく方法です。ここからは、それぞれについて詳しく解説します。
機械学習
機械学習は、以下の3つの方法に分類されます。
- 教師データあり
- 教師データなし
- 強化学習
教師データあり
「教師データあり」の学習方法では、あらかじめ正確なデータを学習させる方法です。教師データあり学習が主におこなうのは、「分類」と「回帰」です。学習した後のAIにデータを入力すると、データが分類された形で出力されます。「分類」の代表的な例は、迷惑メールの識別です。メールの受信後にAIが、怪しいメールや迷惑メールをフォルダー分けしているのはこの技術を活用しているからです。「回帰」に関しては、降水量や株価の予測などの未来予測を可能にします。これまでの連続したデータを基に、未来の数値も予測します。「教師データあり」学習は、新規で入力したデータをすでに学習された正解データと照らし合わせて、「分類」と「回帰」をおこなうことです。
教師データなし
「教師データなし」学習は、「教師データあり」学習と異なり正解となるデータが与えられません。「教師データなし」学習には、大量のデータを吸収させます。その後、アルゴリズムに基づいて、似ているデータを「クラスタリング」します。クラスタリングとは、似通っている特徴のデータをグループ分けすることを指します。例えば、消費者の購買傾向を分析するために、商品を購入した人の年齢や性別などの属性を分けてくれます。このことで、人間が見落としがちなパターンもAIが抽出してくれます。
強化学習
「強化学習」とは、コンピューター自身が思考錯誤をしながら目指すべき価値を最大化する精度を高めていくことです。強化学習は、例えば、囲碁や将棋などのゲームで用いられています。囲碁や将棋のようにルールが設定されていて、勝利するという価値が決定しているゲームでは有効です。一手、一手を指す際に、AIが勝利に近づく確率を計算しています。相手がどのような手を指しても、最も勝利という価値に近い手を指していきます。データを覚え込ませれば、覚え込ませるほど計算の制度を自ら高めていけます。
ディープラーニング
ディープラーニングとは、人間の脳の構造を模倣して作られた学習方法です。ディープラーニングをおこなう技術のひとつであるニューラルネットワークは、データの出力層と入力層を何層も重ねたものです。入力したデータの特徴量を捉えて、与えられたデータを認識します。ディープラーニングによってAIが自ら知識を吸収して、自ら特徴量を獲得していきます。ディープラーニングの登場で、画像の認識精度は飛躍的に向上しました。
AI(人工知能)でできること
AIが実際にできることは、主に以下の6種類をあげることができます。
- 画像認識
- 音声認識
- 自然言語処理
- 異常検知
- 分析・予測
- 単純作業
それぞれについて解説し、具体的にどのような使い方ができるのか紹介します。
画像認識
画像認識とはAIが、画像に映っているヒトやモノを認識する技術のことです。AIの画像認識方法は、人間がヒトやモノを認識する方法とは異なります。画像に映っている「形状」や「色」などを読み込んで差異を特定します。この作業を繰り返すことで、ヒトやモノの特徴を抽出することができます。特徴を抽出することで、AIは画像を認識します。画像認識はスマホ等の顔認証にも使用され、主にセキュリティや防犯の分野で活用されています。
音声認識
音声認識とは、AIによって人間が話した声を読み取りテキストデータへと変換させる技術のことです。人間同士が会話をする際には、テキストベースでのやり取りは多くありません。声(音)を発することでコミュニケーションを取ります。AIにあらかじめ、人間の会話データを覚えさせて音声(音素)の特徴量を抽出させます。この特徴量によって、音の差異を認識します。このことで、言語が持っている音を差別化して、テキストに変換します。スマートフォンでは、「Siri」にこの技術が活用されています。
自然言語処理
自然言語処理とは、AIが大量のテキストデータを分析することです。自然言語とは、人間が普段使用している言葉のことであり、コンピュータ―プログラミング言語のような人工の言葉とは違います。AIは、自然言語の大量のデータを読み込み特徴量を抽出します。そして、自然言語が持っている意味を解析していきます。この自然言語処理の技術が向上することで、Google翻訳などの精度が上がっています。
異常検知
異常検知とは、あらかじめAIに正しいデータを覚えさせておいて、正しいデータと検知している対象に差異がある場合に異常と認識する技術です。異常検知の技術は汎用性が高く、幅広い分野で活用されています。IT業界では、スパムなどに対するセキュリティ機能として利用されて、情報漏洩やハッカーからの被害を未然に防いでいます。また、工場では製品を検品する際にAIが活用されています。人間の目で見るのは大変ですが、AIが目の役割を担うことにより不良品を販売してしまうリスクを軽減しています。
分析・予測
分析・予測をおこなうこともAIが得意とする技術です。AIは人間と違い、大量のデータを吸収して分類することが可能です。本来、データ分析は人間によるものが主流でした。しかし、AIは、人間が見逃してしまう細かいデータの偏りも認識して分析します。さらに、分析結果を元に、将来の予測も迅速におこないます。ECサイトを運営している会社では、AIがおこなった分析と予測により、消費者の好みに合わせて商品販売や開発ができます。
単純作業
AIは、単純作業を任せることも可能です。コンピューターが得意とする分野は計算や単純に繰り返される作業です。これで人間がおこなっていた事務的で機械的な作業をすべて任せられます。AIはコンピューターなので24時間365日休むことなく単純作業を繰り返すことができます。さらに、コンピューターは与えられた命令だけを確実にこなすため、計算間違いを起こすことも人間に比べて少ないです。
AI(人工知能)のビジネス活用事例
AIは、すでに幅広い範囲でビジネス活用されています。多くの方が持っているスマホには、AIの技術が応用されています。スマホのようにAIは、身近な生活に多く浸透しているため、それらを自社ビジネスの参考にすることも可能です。ここからは、実際のAIビジネス活用事例を研究します。事例研究を通して活用方法を学べば、自社のビジネスにも活かせます。
ECサイトのレコメンド機能
ECサイトのレコメンド機能は、AIを利用したサービスです。消費者が過去に購入した履歴や検索した履歴、内容を吟味している商品を個人別にレコメンド(おすすめ)します。膨大な種類の商品がある中で、個人に適した商品を選ぶことができます。また、過去に購入した商品から、さらに関連する商品もレコメンドしてくれるので、消費者にとっては買い物が便利になります。商品を提供する側の会社もこのレコメンド機能があることで、購買率の増加を期待できます。
画像認識によるセキュリティ
画像認識によるセキュリティ機能は、AIの技術が向上したことによって可能になりました。例えば、スマートフォンの顔認証機能は、画像認識を応用した新しいセキュリティサービスです。インターネットの普及は、便利になった一方で個人情報の流出の問題も引き起こしました。スマートフォンは、電話やメールができる携帯電話ではありません。小さなパソコンであり、アプリによっては決済や銀行へのアクセスも可能です。スマートフォンの紛失や盗難にあった場合でも、顔認証に設定しておけば他人が自分のスマートフォンを使用することができません。
病気のリスクを予測して健康維持
医療分野でもAIは活用されています。高齢化が進んでいる日本国内では、病気の予防は大事な課題の一つです。AIは、過去のカルテや診断データを読み込ませて病気のリスクを予測します。また、AIによってレントゲンの画像分析をおこない、医師でも気づくことができなかったリスクを察知することができます。病気にかかってしまう前に、あらかじめリスクを知っておけば重病を未然に防ぐことも可能です。AIは、大きな病気のリスクを認識できます。そのため、個人の健康を維持することができて、医療費の負担額を抑えることにも繋がります。
AI(人工知能)の将来
AIは、すでに多くの分野や企業で活用されています。さらに技術が向上していけば、将来はAIによる自動運転が普及し、人間が車を運転する必要が無くなるかもしれません。また、ECサイトでの商品購入後は、無人のドローンが家まで商品を配達してくれるかもしれません。日本国内の大きな問題である少子高齢化による労働者不足も、AIやロボット技術の向上により解消させる解決策になることが予想されています。AIは、未だ発展を続ける技術であり、社会への応用やビジネスでの活用が多いに期待できます。
まとめ
AIが搭載されている製品はすでに広く出回っています。AIは、今後のビジネスを効率化させるのに有効な技術です。人間がおこなっていた単純な作業を代替してくれますし、複雑なデータの分析や予測もしてくれます。ただし、AIを活用するには、有効なデータを覚えさせなければいけません。PigDataでは、教師データに有効なWebデータ収集することを専門的におこなっています。AIを活用したサービスや製品を開発する際には、ぜひご相談ください。