
近年、AIテクノロジーは活用事例が増え注目が集まっています。
実は以前よりAIという概念は存在していたのですが、性能やコストの面から実用化には至っていませんでした。研究が進んだことや、コンピュータの高性能化やコストダウンの成功により広く普及し始めたのがここ最近という状況です。
しかしながら、AIは様々なことを実現できるすごいテクノロジーというイメージは広まってはいるものの、実際の利用シーンや活用方法については不明瞭な方も多いでしょう。いざ事業に適用したいという場合にも、参考となる事例は知っておきたいところです。
本記事では、AIの活用事例について具体事例を紹介するとともに、活用成功のコツについても紹介します。
AIとは
AIはArtifical Inteligenceの略で、コンピュータによる人間の思考のような複雑な判断を行う仕組みです。言語理解や推論、予測、各種の問題解決などもその処理対象となっています。日本語に訳すると人工知能となります。
基本的に、何もないところから何かを創出するのではなく、多くのデータをバックグランドに学習を行い、もっともらしい判断基準の精度を高めていく仕組みです。
AIによって進化した技術
AIによって進化した技術は多岐に渡ります。その事例について記載します。
画像認識
画像認識による判断は、AIを利用することにより正しい判断を導きやすくなります。例えば、各種の顔認証の仕組みでは、人の顔のデータパターンを集めることでより正確性を高められます。また、画像として認識できるモノに利用できるため製造現場での外観異常を検知する検品などにも利用されます。
異常データの察知
継続的、連続的に発生するデータに対し、異常値を察知し、問題の予兆を早い段階で掴むような利用方法もあります。例えば、工業で使う機器のデータを継続的に収集し、異常値やその予兆がでた際にはメンテナンスの実施を促すような利用方法が考えられます。
文章や絵の構築
情報を収集し、その傾向をまとめることもAIの得意とする機能です。例えば、特定のキーワードに関する画像イメージを集め、それを合成した絵を作成する、特定の人物の文章の特徴を抽出し類似する文章を作成するなどの利用方法が実現化しています。
各種の予測
特定のデータの動きを数多く集めて学習することで、AIは予測を行うこともできます。利用例としては、金融や株式市場の予測などに利用するケースが考えられます。
会話の構築
言語の理解とその回答を選択する利用方法もあります。つまり、簡単な会話を成り立たせることが可能です。これを利用した仕組みとしてチャットボットなどが実用化されています。
ユーザーの属性から関連したデータを抽出
適用範囲の広い技術として、特定の情報と関連深い情報を収集することもAIの得意とするところです。いわゆるレコメンド(おすすめ)機能はこの技術を利用しています。ユーザーの属性から、似た属性を持つユーザーの履歴を調べ、登場頻度が多い選択肢を提示することができます。
AI活用のメリット
AIの活用により得られるメリットとして下記が挙げられます。AIの利用方法によって様々な効果が期待可能です。
- 生産性の向上
- 人件費の削減と労働力不足の解消
- 作業の正確さの向上
- ユーザー体験の創出
- 新たな視点の発掘
AI活用成功事例6選
AIの活用成功事例について、具体的に6つご紹介します。
法務省入国管理局|顔認証ゲート
海外から日本に帰国する方に対し、空港における入国手続きは煩雑さを伴う作業です。その合理化に貢献するソリューションとして、法務省入国管理局はAIによる画像認識を用いた顔認証ゲートを導入しています。
パスポートに内蔵されたICチップ内の顔画像と帰国者の顔をAIを使って照合し、本人確認を行う仕組みです。パナソニック システムソリューションズ ジャパン株式会社により開発され、増加した外国人来訪に対応する入国管理局の業務効率化に貢献しています。
JINS|おすすめメガネのレコメンド
メガネの販売を行うJINSは利用者におすすめのメガネをレコメンドする「JINS BRAIN」を提供しています。利用者の顔の形や雰囲気からAIを利用して適するメガネの形や商品をおすすめし、画像として合成して見せてくれ、似合い度合いを教えてくれるサービスとなっています。
オンラインでの購入にも利用でき、近隣店舗の在庫などとも連携して、メガネの購入者をサポートしてくれる仕組みです。
メルカリ|AIによる出品の自動化
オンラインフリマアプリ「メルカリ」では様々な分野でAIの活用を進めています。その中でも、特に利便性の高いサービスとして「AI出品」が挙げられます。
AI出品は、出品する対象の商品画像から商品の情報を自動的に検索して各種の情報を付与してくれる仕組みです。製品名、ブランド、商品カテゴリなどを独自のAIカタログに持ち、画像からAIが製品を特定してユーザーの出品作業を補助してくれます。ユーザーの利用ハードルを下げ、利便性をもたらしてくれるAIの活用方法といえるでしょう。
NETFLIX|オリジナル作品のキャスティング
動画コンテンツ提供サービスを運営するNETFLIXでは、ユーザーに視聴中のコンテンツ関係のあるコンテンツをオススメするレコメンドの仕組みを以前より取り入れています。ユーザーの属性や利用履歴から、NETFLIXの持つ膨大なユーザー情報と照合して、関連性の高いコンテンツをおすすめする仕組みです。ユーザーによるコンテンツの再生は8割がレコメンドによるものとも言われ、当社のビジネスの根幹を成す技術といっても差し支えありません。
そんなレコメンデーションの仕組みをさらに発展させた取り組みとして、映像作品制作におけるAIによるレコメンドの導入があります。ユーザーの膨大なデータから、新たに作成するコンテンツについて映像化させる作品選びやキャスティングなどの面でAIが適したものを探すという仕組みです。効果や利用度合いについては公開されていないものの、ユーザーのニーズに従ったビジネス構築へのAI活用の一つといえます。
ソフトバンク|新卒採用の選考
ソフトバンク社では2017年より新卒人材の採用において、エントリーシートの評価を行うためにAIの活用を始めています。IBMの開発したAI、IBM Watsonを利用し、人事採用担当者の作業の75%を削減する効率化策として発表しました。
アスクル|チャットボットによる問い合わせ対応
法人向けオフィス用品などの通販・EC事業を行うアスクルでは、LOHACOというEC事業において問い合わせにAI型チャットボット「マナミさん」を導入しています。24時間の問い合わせ対応を実現し、省人化の実現にも役立てています。チャットボットはAI技術を利用し、問い合わせ履歴を学習データとして理解を深めていくため、活用を続けることでもより精度を高めることが可能です。問い合わせ担当者は実際の顧客対応に注力して顧客満足度向上を図れる施策としています。
AI導入に失敗したケースの原因
手段と目的をはき違えている
AIを導入することは、あくまで手段であり、AIを利用することで効率的に問題を解決できるから利用するというのが本来の筋道です。「AIを導入する」ことが目的となり、その活用方法がおざなりになってしまうと、ゴールとなる成果が正しく設定できなくなり、失敗につながるケースが多くあります。
アイデアが先行し過ぎている
AIを利用したソリューションを実証実験段階から始めるようなケースにおいて、アイデアが先行しあまりにも鮮やかな活用方法が予定されている場合には注意が必要です。実証実験から業務活用まで、AIの活用プロジェクトを導くには、予算や上層部の了解が必要です。予算や上層部の理解を取り付けるため、見栄えの良い、耳障りのよい派手なAI活用が早い段階で設定されてしまうと、AIを活用する上での柔軟性が失われ、上手くいかないケースが存在します。
AIでできること、できないことが把握できていない
現状、AIは汎用的ではなく、特定パターンに沿った利用が前提となります。AIは何でもできる魔法のような便利なものではありません。目的に沿った利用が必要です。
AIを利用して、できること、適したことを把握し、それに基づいた利用プランをたてて活用に挑みましょう。課題を解決できるブラックボックスと考えて利用すると失敗に繋がります。
AI活用成功のコツ
AIの活用を検討する場合、ネックとなりがちなのがAIに学習させるためのデータの準備です。
データをどこからどのように収集するかを算段に入れておきましょう。求める結果を導き出すのに適確なデータを用意する必要があります。さらに大量に学習することでAIは精度を高めることができるため、量も重要となります。
また、データを集めてもそのままではAIの学習には利用できません。データをAIが学習しやすい形に整形することも一つのコツとなります。
株式会社インディゴデータの提供するPigDataはビッグデータ向けのデータ収集サービスです。PigDataならデータを収集するだけではなく、整形する機能も提供していますのでAIの学習用データに向けても活用が可能です。