
さまざまなものがデータとして可視化されるようになった昨今。
顧客の日々の行動も「行動データ」として蓄積することが可能になり、行動データに基づいたマーケティングに力を入れる企業も増えています。
この記事では、行動データの基本と主な種類についてご紹介。行動データをマーケティングに展開する活用イメージも具体的にご紹介していますので、、「せっかく行動データを取得しても、どう活かせばいいか分からない」という人にこそお読みいただきたい内容になっています。
早速見ていきましょう。
行動データとは
行動データとは、顧客の行動を数値などのデータで表したマーケティング用語です。
行動データはオンラインとオフラインに分けられ、
オフライン:店舗への訪問回数や滞在時間、購入商品や購入金額など
が行動データとして記録されます。
デジタルテクノロジーの発達により、インターネット上での「オンライン行動データ」の収集はもちろん、スマホのGPS位置情報などによって「オフライン行動データ」も詳細に取得できるようになった現代。年々複雑化していく購買プロセスに対応し、市場において優位なマーケティング戦略を展開していくためにも、今や、こうした行動データの活用は欠かせないものとなっています。
行動データの種類と活用イメージ
早速、行動データの具体的な中身について見ていきましょう。
「データ化できる顧客の行動」はすべて行動データとみなすことができ、その種類は極めて多岐にわたりますが、とりわけマーケティングにおいて重視される主な行動データは以下の4つです
- SNSにおける顧客の行動
- 自社サイト上における顧客の行動履歴
- ECサイト上における顧客の購入履歴
- スマホから取得されるGPS情報
それぞれの詳細と、その活用方法について見ていきましょう。
SNSにおける顧客の行動
SNSが生活の一部として深く根ざすようになった現代。
顧客の「生の声」がリアルタイムで取得できるSNSは、行動データの宝庫といえます。
- 自社プロモーションに対する顧客の発言
- 自社商品購入後に投稿された使用感へのクチコミ
- 自社投稿に対する顧客のエンゲージメント
- 自社商品について言及している顧客の属性
など、SNSからは膨大な量の行動データを取得することができます。
たとえば、化粧品会社の例を見てみましょう。
この化粧品会社は、20~30代女性をメインターゲットとしたブランドを主力としています。
SNS上で自社商品について言及している顧客の属性もおおよそ20~30代が中心でしたが、SNS上の行動データを詳しく分析してみると、自社投稿やプロモーションに対しては、10代後半の若年層も多く反応を示していることが分かりました。しかし、10代後半女性が実際に化粧品を使用したクチコミはほとんど見当たりません。
そこで、自社商品について言及している10代後半女性の行動データを詳しく分析してみた結果、「高い」「憧れ」「小遣い」といったキーワードが目立つことに気付きました。
この結果を受け、10代後半女性をメインターゲットにした若者向けブランドを新設。主力ブランドの魅力は引き継ぎつつも、若年層でも手を出しやすい価格帯に設定し、主力ブランドに憧れを持つ10代後半を取り込むことに成功しました。

自社サイト上における顧客の行動履歴
自社サイト上で収集できる行動データも、マーケティングに大いに役立てることができます。
収集できる行動データとしては、
- サイトの訪問回数
- サイトの滞在時間
- サイト内ページごとの閲覧回数
- サイト内ページごとの直帰率
- サイト内検索ボックスでの検索履歴
などが挙げられます。
こうした行動データは、どのように活用すればいいのでしょうか。
ある自動車販売店のサイトを例に取ってみましょう。
ある自動車販売店では、サイト全体の離脱率が高いことに悩みを抱えていました。流入数は比較的多いにも関わらず、顧客があまりサイト内を回遊してくれないのです。
サイト上の行動データを分析してみると、サイト内の検索ボックスにおいて、特定の車種に関する検索数が非常に多いことが分かりました。この車種に関するページもあるにはあるのですが、サイトトップからは何階層か遷移しなければ辿りつくことができません。
そこで、検索数が多かった車種ページへのリンクを、サイトトップの目立つ場所に設置。サイトの離脱率が大きく減少し、回遊率を大幅に高めることができました。
ECサイト上における顧客の購入履歴
ECサイト上における購入履歴は、売上に直結する貴重な行動データです。
「何を購入したか」という基本的なデータ以外にも、
- 一度の購買活動で利用した金額
- 一緒に購入した商品の種類
- 購入した顧客の属性
- 購入に至るまでのステップ
- 前回購入時からの期間
など、顧客の購買活動を分析するうえで重要なデータをたくさん取得することができます。
こうした行動データを活かし、アップセルやクロスセルを狙う活用例を見てみましょう。
自社ECサイトでサプリメントの販売を行っている、ある会社の例です。この会社のサプリメントは、どれも内容量が30日分となっています。そのため、サプリメントがなくなる直前を狙い、購入後27日時点で再購入を促すメールマガジンを送付していましたが、なかなか開封率を上げることができずにいました。
ECサイト上での行動データを詳しく分析してみると、リピーターの多くが、前回購入時から40日後に商品を購入していることが判明。
飲み忘れなどにより、再購入のスパンが想定よりも長いことが分かりました。
そこで、メールマガジンの送付タイミングを購入後37日時点に変更。
開封率・リピート率向上に繋げられたことはもちろん、「飲み忘れ防止ピルケース」を購入特典としてプレゼントすることにより、ユーザーロイヤリティを高めることにも成功しました。

スマホから取得されるGPS情報
GPSの位置情報も、顧客のオフラインでの行動を把握できる重要な行動データです。広い範囲の位置情報であればGPS、屋内などのより詳細な位置情報であればビーコン機器を利用して取得するのが一般的です。
こうした位置情報を取得できれば、
- 顧客がリアルタイムで訪れている場所
- 顧客が過去に訪問した場所や頻度、回数など
- 顧客が今店舗内にいるかどうか
- 顧客が店舗内でどのような動きをしているか
などを把握することができます。
これらの行動データをうまく活用すれば、実店舗の売上拡大も狙うことができますよ。
実店舗を多く構えるアパレル店では、オフラインの行動データを駆使したマーケティング戦略を展開。
実店舗がある駅付近にいる顧客に対しては来店クーポンを送付し、来店を促進。実店舗内にいる、あるいはそのごく周辺にいる顧客に対してはタイムセール情報などを送付し、近くにいる顧客の呼び込みと購入に繋げています。

行動データをマーケティングに活用するには
位置情報を取得するためには専門の機器が必要になりますが、インターネット上の行動データは、スクレイピングという技術によって簡単に収集することができます。環境さえ構築してしまえば、定期的に行動データを自動収集することも可能になります。
とはいえ、膨大かつ種類が多岐にわたる行動データを取り扱うのは難易度が高いもの。
そこで、スクレイピングサービスを選ぶ際は、行動データの収集だけでなく、
- 行動データの収集整理のための環境構築
- 行動データの分析代行
など、行動データ活用に向けたコンサルティングまで対応しているスクレイピングサービスを選ぶことをおすすめします。
データ分析や活用実績が豊富なスクレイピングサービスとタッグを組めば、自社でどのように行動データを活用していけばいいか、それに適したデータ形式はどのようなものかなど、幅広い分野で相談できて効果的にマーケティング施策を実施できるでしょう。
まとめ
今回は、これからのマーケティングに欠かせない「行動データ」についてまとめました。行動データの意味や種類、その活用イメージへの理解は深まりましたでしょうか?
デジタルテクノロジーが発達し、ライバル企業がこぞってデジタルマーケティングに力を入れる現代において、行動データに限らず、データ全般の収集・分析・活用は決して欠かすことのできない技術です。
社内に優れたデータサイエンティストがいれば心強いですが、そうした存在がいない場合には、ぜひデータ活用を専門的に扱っているサービスの活用をご検討ください。