
SNSマーケティングを始めたいと思ったときに、その手法のひとつとして「ソーシャルリスニング」ということばを聞くことがあるでしょう。ソーシャルリスニングはSNSマーケティングを行ううえで欠かせません。では、ソーシャルリスニングにはどんな意味や効果があるのでしょうか。本記事ではソーシャルリスニングの基本からソーシャルリスニングの活用方法までをまとめました。
ソーシャルリスニングとは
ソーシャルメディア(SNS)からユーザー(消費者)の生の声を収集、分析し、マーケティング施策に活用する手法を指します。消費者の声を収集するにはアンケートを活用することもありますが、収集するのに時間がかかる、得られる情報はアンケート内容のみ、など限界があります。一方SNSにある消費者は自由に発言をするため、数、内容ともに限りがありません。
SNSマーケティングで重視される理由
消費者は口コミ掲示板やSNSの情報を重視して商品を買う

(参照:総務省)
インターネット、SNSが普及した今、どの年代でも6割以上が商品を購入する際にレビューを参考にする、というデータが出ています。レビュー、つまり消費者の声はマーケティングを行う際に無視できない存在となっています。
従来よりもスピード感のある分析がマーケターに求められる
SNSはリアルタイムで消費者の声を反映します。また、SNSでの消費者の声は投稿やシェア、コメントが1秒ごとに流れ増加していきます。そのためマーケターはその声を素早く理解し、マーケティング戦略に反映させる必要があります。
消費者の声をもとに商品開発・宣伝活動・サービスの改善などを迅速かつ柔軟に進めるために、ソーシャルリスニングはかかせないマーケティング手法といえるでしょう。
ソーシャルリスニングでわかること
ブランドイメージ
SNSで企業、自社製品やサービスについて投稿された内容を分析することで、よりリアルな消費者から見たブランドイメージを把握することができます。分析の結果、企業が考えているブランドイメージと違う場合は消費者のニーズに合わせてブランドイメージを再構成する必要があるかもしれません。
顧客の潜在的なニーズ
ソーシャルリスニングではアンケートで得られない消費者がどのような行動をとり、どのような商品を購入し、どう思ったのかなど、消費者の購買までの行動とその時々の心理状況がわかります。消費者の行動から、今まで知り得なかった隠れたニーズを見つけ出すことができます。
プロモーションの効果
ソーシャルリスニングで企業が展開している広告やキャンペーンなどのプロモーションに対する反応を分析することができるため、どのキャンペーンが、いつ、どれぐらいの効果を挙げているのかを知ることができます。
風評被害や炎上などのリスク
SNSでより多くの人が情報発信できるようになったため、風評にはより一層注意をする必要があります。ソーシャルリスニングを行っていると、風評による炎上リスクのある投稿をいち早く発見することができるため、素早い炎上対策を打つことができます。
業界のトレンド
SNSの普及によりトレンドの移り変わりが激しくなっています。SNSに投稿される消費者の声を手がかりに、商品のトレンドや景気動向を分析し、リアルタイムに変動していく業界のトレンドを把握することができます。
ソーシャルリスニングのやり方
数値分析
検索キーワードを含んだ投稿数、リーチ数、投稿された内容のポジティブ・ネガティブ度の割合などを日別や月別にグラフ化し、前月・前年といった時系列での比較、競合ブランドや商品カテゴリとの比較をしていきます。データ全体を見て大きく数字が変化している部分に注目し、原因を特定することで今後の施策に活用できる情報を得ることができます。
投稿、アカウント分析
検索キーワードで抽出した投稿の中から、頻出ワードの割り出しや、影響力の高い投稿者(インフルエンサー)を割り出します。頻出ワードによって商品やキャンペーン等がユーザーにどんな感情をもたらしたのかがわかります。また、投稿に関連したインフルエンサーのプロフィール等の属性、リツイートからSNS上でトレンドを生み出す傾向がわかります。
セグメント分析
数値分析や投稿、アカウント分析で分析したデータをさらに「興味」「関心」「購入」など消費者の行動段階、またそれをポジティブ・ネガティブ、に分けて分析をします。これによって、行ったキャンペーンや施策がどの段階で成功しているか、また狙ったとおりの成果がでているか具体的に判断することができます。
ソーシャルリスニングの活用事例
東急ハンズ
東急ハンズTwitterアカウント担当者は、視覚過敏の女子高生の、「目に優しいグリーンノートを作って欲しい」というツイートしているのを発見しました。当ツイートには3万件を超えるいいねが付き、「自分も似た症状で困っている」、「視覚過敏ではないが、こっちの方が目に優しそうだから使ってみよう」などのコメントが寄せられ、多くのユーザーのニーズが顕在化されていたため、東急ハンズでは5日後にグリーンノートを店頭に販売し始めました。消費者の声に耳を傾けたグリーンノートは1カ月で約3300冊も売れた人気商品となりました。
ハーゲンダッツジャパン
ハーゲンダッツジャパンが行った「ハーゲンハート」はソーシャルリスニングから生まれたイベントです。アイスの蓋を開けたときにできる形がまるでハートのようだと話題になったことから、それを用いたキャンペーンや占いなどのコンテンツを立ち上げたことからさらなる話題を生み、企業全体を盛り上げることとなりました。
簡単にはじめるには
企業、ブランドにとって大きなプラス効果を生み出すソーシャルリスニングに取り組むにはまずSNSのデータ収集、そして数値分析など複雑な分析を行う必要があります。SNSデータは日々増え、常時収集していくことが難しいデータです。自社で取り扱うのが難しい、と思う場合は簡単に始められるSNS分析ツールの導入や、無料で相談できるサービスを活用することもできるので、まずはツールやサービスを確認してみましょう。