
インターネット、SNSが普及してからマーケティングの方法は変化してきました。近年様々なマーケティングが活用されている中、「バイラルマーケティング」が注目を集めています。バイラルマーケティングはバズマーケティングやインフルエンサーマーケティングとよく似ていますが、本質は違います。
本記事では、バイラルマーケティングの意味から事例、バイラルマーケティングを成功させるコツをご紹介します。
バイラルマーケティングとは
バイラルマーケティングとは、口コミを利用して「バイラル(Viral)=ウイルス」のように人から人への伝達し、拡散させていくマーケティング手法です。バイラルマーケティングは「良い情報を知った場合、自分の周りの人や親しい人に教えてあげたい」という人間の心理を利用したマーケティング手法のため情報発信力の強い数名に有益な情報を発信することで、あとは企業が情報を拡散されるように誘導しなくても顧客が自動的に情報を拡散していき、売上額に貢献してくれるというメリットがあります。
バズマーケティングやインフルエンサーマーケティングとの違い
バズマーケティングやインフルエンサーマーケティングもバイラルマーケティングと同様に口コミを利用して消費者にサービスや商品の認知を高めるマーケティング手法ですが、企業自ら発信する「広めたくなるコンテンツ」をつくるというよりも、著名人やインフルエンサーを活用して「コンテンツを拡散させるための行動」をつくり、発信後も企業が積極的に拡散行動に関わっていく必要があります。コンテンツを重視したマーケティングか、拡散行動を重視したマーケティングか、が大きな違いといえます。
バイラルマーケティングの特徴
低コスト
バイラルマーケティングは良いコンテンツさえ作れば、広告費などかけずに人から人へと拡散されていきます。動画などを制作する場合にはそのコストはかかりますが、その後のコストは一切かからないため、マーケティングの予算が少ない企業でも始めやすくなっています。
印象が強い
バイラルマーケティングは企業側から推しだす受動的な広告とは違い、ユーザーが能動的に拡散をしていくため「参加している」感覚が強くなり、より興味がわき、印象に残りやすくなっています。また、ユーザー同士のやりとりとなるため、「押し売り広告ではない」という信頼感も得やすいでしょう。
コントロールができない
バイラルマーケティングで拡散される情報は良い情報だけとは限りません。ネガティブな口コミが広まることもあれば、予想を超える拡散となり企業側で対応しきれない可能性もあります。起こりうるマイナスの可能性を考慮して、準備をしたうえでのコンテンツを打ち出すことが大切です。
バイラルマーケティングの手法
1次的バイラルマーケティング
企業が発信した情報をユーザーが「面白い、広めたい、役に立つ」など興味を持ち、自発的にユーザーが友人などに拡散することで広まる手法です。そのために良質なサービスや商品を提供し、インパクトのあるコンテンツをつくる必要があります。
2次的バイラルマーケティング
「シェアすると割引クーポンがもらえる」など、ユーザーにとって利益となる特典をつけることで拡散を促す手法です。魅力的な特典をつけることでその拡散率は高まりますが、特典目当ての不正申込などに注意する必要があります。
紹介埋め込み
メールなどのWebシステムやアプリを利用すると自動的に周りにシェアをする、といったシステムが埋め込まれている手法です。多くのユーザーが利用することで拡散されていく仕組みです。
バイラルマーケティングの事例
YG Entertainment (江南スタイル)
韓国の音楽レーベルYG Entertainmentは江南スタイルを流行させるために、バイラルマーケティングを行いました。戦略のひとつとしてアメリカの有名レーベルと契約を結んでいたにも関わらず契約発表を1年間遅らせバイラルさせる最適なタイミングで発表しました。また、広告を使用せずにSNSのフォロワーを自然と増やすための投資を行いYoutubeのチャンネル登録数を250万人を獲得しました。そうした仕掛けをつくっておいたうえでポップで目を引く「江南スタイル」を配信したため、江南スタイルは爆発的に拡散され、世界中で流行させることに成功しました。
無印良品
無印良品は有楽町店10周年を記念して、「無印といえば、〇〇」という内容をTwitterやFacebookで投稿することで店頭での買い物が10%オフでできる、というキャンペーンを打ち出しました。単に割引サービスだけではなく、ユーザーによって商品の宣伝もできるこのキャンペーン期間中は通常の売上の2倍になりました。また、こういったキャンペーンを定期的に実施することでユーザーが他の競合他社に流れないように確保する、といった効果も生み出しています。
Apple
AppleはiPhoneからメールを送信すると自動的に「iPhoneから送信」というメッセージが挿入される紹介埋め込みタイプのバイラルマーケティングを行いました。iPhoneユーザーがメールを送信するだけで受信者にiPhoneの名前を認知されるようになり、現在に至るまでの人気を得ることができました。
成功させるコツ
強いコンテンツを作る
バイラルマーケティングで最も大切なのはユーザーを惹きつける印象と魅力がある「強い」コンテンツをつくることです。2次的バイラルマーケティングのようなキャンペーン形式のコンテンツは目を引きやすくわかりやすい一方、すでにありふれているためユーザーの目に止まらない可能性もあります。1次的バイラルマーケティングで成功する場合は、YG Entertainmentのように長い時間をかけて仕掛けをつくる必要もあるかもしれません。そのためには市場調査・分析をし、未来においてどのようなことが流行しているかを予測する必要があります。また、魅力的な強いコンテンツをつくるために市場調査だけではなく自社の分析も同時に行うとよいでしょう。
ネガティブな口コミ対策
バイラルマーケティングは口コミを利用するマーケティングですが、口コミにはポジティブなものだけではなく、ネガティブなものもあります。ネガティブな口コミの拡散力はポジティブな口コミより強い場合があるため、発見の遅れが命取りとなる場合があります。それを防ぐためには入念な下準備をし、ネガティブな口コミを出さないことはもちろんですが、ネガティブな口コミが出てしまっても早期発見をし早めの対策を打つことが必要となります。