
今では、デジタル技術の高度化により様々なデータが蓄積されています。ビジネスでも蓄積されたデータを有効活用する動きが活発ですが、日本では未だにデータ活用が遅れています。
今回はデータ活用について、その概要や日本でのデータ活用が遅れている理由、業界ごとの活用例を解説します。データ活用のメリットや活用時のポイントも解説しているので、ぜひ参考にしてください。
データ活用とは
データ活用とは、企業に蓄積された様々なデータをビジネスの成長・業務効率化・生産性の向上といった分野に活かすことで、業務や事業改善を行うことです。2020年に総務省が発表した「デジタルデータの経済的価値の計測と活用の現状に関する調査研究」によると、大多数の企業がデータ活用を行っています。今後のビジネスにおいては、データ活用への取り組みが必須といえるでしょう。
データ分析との違い
データ活用と混同しやすいものにデータ分析があります。データ活用の目的は企業に蓄積された様々なデータをビジネスへ活用することを指しますが、データ分析の目的は、対象のデータから得たい情報を抽出するために行います。
データは取得したままでは、ただの数字や文字列の集合体でしかなく、何の意味もありません。当然、取得したデータをそのまま活用するのも難しいです。対象データの加工や可視化をすることで初めて分析しやすくなります。さらに、データの規則性・相関関係など、より深く紐解いていくことでデータの持つ意味がわかってきます。
データ活用とデータ分析の目的は大きく異なりますが、データ活用のベースになっているのがデータ分析です。データ分析が欠けてしまうと効果的なデータ活用は難しいでしょう。
日本がデータ活用に遅れている理由
日本でのデータ活用が遅れている理由は、ビジネスそのものがデジタル化していないことがひとつの原因です。
単にデータ活用に取り組むだけでは、コスト削減程度といった期待以上の効果を得られずに終わってしまいます。目的がコスト削減なら問題ありませんが、ビジネスを伸ばす場合は一歩進んだデータ活用を目指しましょう。
例えば、顧客ごとに商品やサービスのプランを最適化(柔軟に変更・対応)したい場合は、過去の顧客データの分析や効果検証などが必要でしょう。これらのデータを得るにはビジネスそのものからデータを取得できなければいけません。
つまり各プランごとに導入した企業の変化を得る必要があります。企業規模や業界・業種など、様々なデータの取得が必須です。そして、ビジネスを通して得たデータは、デジタル技術によって正確なアクションを導き出すことで顧客に合う最適なプランを提案できます。
海外では、老舗化粧品メーカーのロレアルがDXに積極的な企業として有名です。同社はARを活用したコスメティックス・シミュレーションアプリの開発元を買収し、化粧品販売にAR技術を導入しています。その結果、顧客が商品への関心を持ちやすく、化粧品の使用前後をイメージしやすくなりました。ロレアルは従来の社内DXだけでなく、他社を買収することで、事業のさらなる拡大と市場の優位性を確立できました。
これからのデータ活用には、ビジネスからデータを得られ、分析結果に基づいて最適なアクションが取れるビジネスモデルが必要不可欠なのです。
データ活用のメリット
データ活用がビジネスに与えるメリットについて解説します。
戦略の策定や検証
データ活用は新たな戦略の策定や検証を行う場合も効果的です。社内の状況が明確になり、ビジネス上の課題を可視化できます。また、見つけた課題に対する戦略を立て、得たデータから効果検証も可能です。
現状把握や将来予測
経営上の判断をする上で、展開している事業動向や将来予測は重要です。データ活用では、事業の現状把握を短時間で行え、データに基づいた根拠ある将来予測ができます。
意思決定の速度向上
ビジネスでは意思決定の速度が重要です。データを活用できない時代では、経験や勘を頼りに意思決定することが多く、アクションに移るまでの期間が長期化していました。加えて、意思決定した内容が誤っていないかの検証も難しく正確性にも欠きます。データ活用に取り組むことで、根拠に基づいた意思決定や検証も行いやすくなります。
海外のビジネスを成功させている企業ではデータ活用をうまく行っている事例が多くあります。海外企業のデータ活用成功事例はこちらの記事をご確認ください。
データ活用のポイント
データ活用を行う上で重要なポイントを解説します。
活用可能なデータを知る
データ活用を行う際は、始めにどのようなデータを活用できて、どう活かせるのか知りましょう。顧客データを例に挙げると、セグメント分析やRFM分析などがあります。活用可能なデータを知ることが、事業の発展の第一歩です。
データ活用可能な領域を知る
データ活用可能な領域を知ることも重要なポイントです。総務省が2020年に発表した「デジタルデータの経済的価値の計測と活用の現状に関する調査研究」では、業種ごとにデータ活用に取り組んでいる割合を示しています。全体を通して、「経営企画・組織改革」「製品・サービスの規格、開発」「マーケティング」の分野でデータ活用が進んでいます。これらの情報もデータ活用する上で重要な要素となりえます。
「経営企画・組織改革」「製品・サービスの規格、開発」「マーケティング」の担当者は特にデータ活用に目を向ける必要があるでしょう。

業界別のデータ活用例
業界別のデータ活用例を紹介します。データ活用は様々な業界で取り組まれているのでぜひ参考にしてください。
医療業界
医療現場では、電子カルテを始めとして、検査・画像診断データ、レセプトデータ・研究データなど幅広く膨大なデータを扱っています。これらのデータを駆使した取り組みも活発で、その代表的な例として予防医療や病気の早期発見につながる発見があります。膨大な医療データの中から、同じ症状を持つ患者のデータを活用することで、病気の特定や進行状況も把握できます。最近は、新薬の開発や処方日数、処方量などの分析から手術や検査の必要性などの算出も可能です。
製造業界
製造業ではIoT(Internet of Things)が活発です。そのため、IoTを通して得られるデータを基に、工場の生産ラインを可視化でき、機器の状況を把握しやすくなりました。工場ではより効率的な生産が求められているため、管理の効率化や生産性の向上は重要です。また、過去のデータを参照することで、製品の不備や機器の不具合なども事前に察知できるため、不足の事態にも対応できます。
まとめ
今回はデータ活用の概要や日本のデータ活用が遅れている理由、メリット、活用時のポイントを解説しました。データ活用は活用の幅が多く残っており、これからはますます必要になるでしょう。
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