
日本国内の企業と海外の企業を比較してDX化が遅れていることは、多くの識者が指摘するところです。スイスの国際経営開発研究所の調査(世界デジタル競争力ランキング2020)によると、日本のDX競争力は主要63ヶ国の中で27位と決して上位ではありません。アメリカや中国、ヨーロッパ各国はDX化によって経済発展しています。もちろん、これらの経済発展が目覚ましい国々だけではなく、その他の新興国でもDX化は着々と進んでいます。では、日本でもDX化を進めるにはどうすればよいのでしょうか。日本国内でDX推進するためには、海外の成功事例に学ぶことが近道です。
今回は、DX化して経営にデータ活用をしている海外事例を紹介します。この記事を参考にして、自社のDX化や経営に活かして下さい。
海外のデータ活用事例5選
海外のデータ活用事例を具体的にイメージできれば、自社のビジネスにも適用できます。まずは、海外のデータ活用事例を5つ紹介します。データを収集し、経済的な利益に変換していく方法の参考にしてください。
「MedMining」ヘルスケアにデータを活用
MedMiningはアメリカにある会社です。親会社が医療サービスを提供しているため、電子医療記録データが蓄積されています。MedMiningは、製薬会社や医療機器メーカーが必要としている匿名化された電子医療記録データを販売しています。製薬会社や医療機器メーカーは、購入したデータを分析することで、創薬や在庫の調整が可能になります。匿名の患者のデータを共有することで、医療品の過不足が無くなり患者のヘルスケアが円滑になります。
「VerizonWireless」デモグラフィックデータを活用
VerizonWirelessは通信会社から得られるデータによって、契約者のスマートフォン利用情報を活用しています。スマートフォン使用者のデモグラフィックデータ(年齢、性別、住所、職業、位置情報)の収集だけではなく、アプリのダウンロードなどのデータも収集します。このことで、消費者のグループ分けと、それぞれのニーズの方向性を把握できます。これらのデモグラフィックデータを、個人情報がわからないデータに加工してから広告代理店や小売業などに販売しています。データを購入した広告代理店や小売業者は、購買が望めるターゲットに向けた営業ができます。
「Twitter」SNSをマーケティングに活用
Twitter社では、広告代理店などにデータの提供サービスをしています。Twitterは、利用者の多い大きなSNSの一つであり、主にテキストデータが日々蓄積されていきます。日々更新される「tweet(つぶやき)」は、消費者の生の声が現れるため商品販売の参考にできます。
そのため、広告業や小売業、エンターテイメント業に至るまで幅広い業界でTwitter社から得られるデータを活用できます。Twitter社自体はデータの販売によって収益化し、データを購入した会社は経営に役立てられます。
Twitterデータの取得・商用利用する際には、NTTデータのサービス(※)を利用する必要があります。
※NTTデータのサービス:「Twitterデータ提供サービス(インテグレーション)」
「各信用情報機関」信用情報を共有
クレジットカードの国際ブランド(VisaやMasterCard)では消費者の購買行動データや決済データを蓄積しています。蓄積されたデータは各信用情報機関に保存されています。この蓄積された信用情報を活用して新しいサービスを展開するのが、クレジットカードの国際ブランドです。クレジットカードには付帯される保険や、加算されるポイントなどサービスが多様です。個人やターゲットに最適なクレジットカードを提供できます。また、クレジットカードの新しいサービスを開発するための素材としても活用しています。信用情報機関では、蓄積された信用情報を共有しています。そのことで、個人のクレジットカード発行やローンの審査を迅速にしています。
「セブンイレブン」購買データを収集分析して消費者データを活用
1927年、アメリカ・テキサス州で誕生したコンビニエンスストアの大手セブンイレブンでは、購買データを収集分析することで営業に活用しています。セブンイレブンでは、購入者のデータをPOSシステムで蓄積できます。購入者の年齢や性別、地域までデータとして収集できるので、消費者の動向を細かいセグメントに分けて分析が可能です。蓄積されたデータからトレンドを分析して、在庫管理や売上の向上、新規商品の開発に役立てています。

社内をDX化してデータ活用するためのステップ
社内のDX化とデータの収集をしても、使用する目的と体制が用意されていなければ意味をなしません。データ活用の具体的な事例を紹介してきましたが、すべての成功事例には成功に至るまでに必ず通るステップを経ています。ここからは、データを活用するまでのステップを解説します。
データ活用の目的を設定
会社でデータ活用の目的をきちんと設定することは、最初のステップであり大事な部分です。会社が向かうべき目的に合わせてデータ活用の方向性を決めなければ、データを集めてもなにに使用するかわからないため意味がありません。データの収集をはじめる前に、活用の目的を設定して社内の意思を統一させてください。
データの収集や分析をする人材の確保
データの収集から分析をするための人材を確保することが次のステップです。データの収集や加工、さらに分析をするには専門的な知識や経験が必要です。データの活用は、経験の無い素人ができる技術ではありません。データサイエンティストやアナリストなどの専門の人材を確保しなければ、データ活用をした経営や利益の向上は成立しません。データ収集や分析の専門人材とプロジェクトチームを構成しましょう。
データの収集と加工をして新規企画を練る
データを収集した後は、分析に可能な形に加工するステップに進みます。生のデータはそれ自体で分析することは難しいです。収集したデータを分析がしやすいように選り分けて加工しなければ、正確な予測や事実の把握はできません。データ分析ができたら、効果の認められそうな企画を練って実行に移します。新規の企画を実行に移した後は、データを収集しながらその効果測定も継続していきます。効果測定しながら改良と改善を繰り返します。
データ活用ができるまでには問題点も多い
データを活用して会社の利益にまで繋げるには、ステップも多く問題が生じることも数多くあります。特にデータをスクレイピングする際には、リスクも生じます。データのスクレイピングをするには、専門の人材を雇用しなければいけませんし、プロジェクトチームを編成することも必要です。このデータ収集や加工など、データスクレイピングに時間がかかりすぎると、経営のためのデータ分析や新規企画の立案に集中できません。
データのスクレイピングは専門の会社に委託できる
データのスクレイピングをするステップは、専門の会社に委託する方法もあります。先述した通り、データスクレイピングのステップではリスクもありますし、手間や時間、支出も多くなります。データの収集と加工の部分を委託してしまえば、データ活用へのステップが効率的になります。データのスクレイピングのステップは専門の会社に委託して、加工されてすぐに分析ができる状態にしましょう。
まとめ
海外で利益を向上させている会社は、データの活用に投資しているところが多いです。日本国内の会社は、DX化が遅れていると言われていますが、海外の成功事例に学べばデータ活用もできるようになります。
海外の会社では、蓄積したデータを広告業者や小売店に販売しているところがあります。また、データを収集することで、消費者のニーズを細かく分析できます。データを活用して利益に繋げるまでには、データ使用の目的設定から収集と分析、新規企画を練って実行にうつるまでのステップがあります。特にデータを収集する段階では、支出や手間も多く時間がかかります。
データスクレイピングは効率的ですがリスクもあります。データスクレイピングのステップだけ専門の会社に委託すれば、支出やリスクも最小限に抑えられます。データスクレイピングは、専門の会社に委託して新規企画開発で利益を向上させましょう。