
前回のブログで可視化の種類をお伝えしました。
可視化の目的はそのデータが何を表現しているのかを素早く知るためです。そして、その結果をプレゼンや社内会議で他の人に見せる際に、よりわかりやすく説明するための資料にもなります。他人に見せる際には、可視化をより見やすくする工夫が必要です。
押さえておきたいすべての可視化に関わる2つの基本
色の基本
1. 強調したいところだけに色をつける
データを色で区別する際には、単に種類ごとに違う色をつければいいわけではありません。例えば、図1のように地域ごとの各社同類製品の売上を表した棒グラフがあります。このようにカラフルだとこの資料で何を一番に伝えたいのかわかりづらいです。
(図1:色が多すぎる)
一部だけに色をつけ、伝えたい要素を表現します。(図2)
今回は図1のグラフの中で強調したい要素だけに色をつけました。これで、他社製品と比べて自社製品の一番売上が高い地域と低い地域が一目瞭然になりました。この時、色が持つイメージの色を配置することも大切です。
青はプラスのイメージがあり、反対に赤は赤字のようにマイナスのイメージがあります。使用する色によって、グラフの見え方も変わってきます。

2. ひとつの色にはひとつの意味を
また、違うグラフを2つ以上並列させる際にはひとつの色がひとつの意味を持つように、色の重複に気を付けましょう。違う意味の要素に同じ色が使われている(図3)と、読み手が色で関連づけてグラフを読み違える可能性があります。色の重複がなければ読み手の混乱を避けることができます。(図4)

(図3:同じ色に2つ以上のグラフの値がある)

(図4:ひとつの色にはひとつの値をつけている)
3. グループ化して色の数を少なめに
比較項目が多く、すべてに色をつけて可視化したい場合、可能な限りグループ化して色数を絞り込むことが大切です。
例えば、都道府県すべての比較をしようとすると47項目、47色になりますが(図5)、地域ごとにまとめると6項目程度になり、どの地域の売上が高いのか見やすくなります。(図6)
グループ化することで詳細な分析をすることはできなくなりますが、多くのデータからおおよその結果をわかりやすく得ることができます。

(図5:ラベルが多すぎて見づらい)

(図6:ラベルの数が少ないためラベルに対する値が見やすい)
他にも、色の彩度の工夫や誰にでも見分けやすい色を選ぶことで、可視化表現がより豊かになるでしょう。
装飾の基本
1. 無駄な装飾はつけない
データ可視化をする際に、見やすくしようと装飾をつけることで本来の目的である「変化を見る」ことや「比較する」ことの妨げになる場合があります。
例えば、棒グラフでそれぞれのデータ量を比較したい場合、そこに装飾があると本当にわかりたい棒の長さよりも装飾に目がいってしまいます。(図7)また、データ以外のメモリ線や枠線が目立つことも好ましくありません。(図8)

(図7:模様で見づらい)

(図8:メモリ線や枠線が強い)
2. 3Dにしない
資料に3Dイメージがあると立体感が出てインパクトがある、と利用する人もいますがデータを可視化する際に3Dは使ってはいけません。量などを正確に見るためのグラフが歪み、正確な情報が入ってこないからです。
図9を例にみてみると、実際にはAの方が30%と割合が大きいのに、手前にある25%のCの方が大きく見えます。このように3Dの歪みが事実と違う印象を与えてしまう可能性があります。

(図9:正確な量の比較ができない)
3. ラベルは必要最低限にする
グラフ内で詳細な数値が見たいときにはラベルをつけます。しかし、ラベルをつけすぎるとデータが読みづらくなります。(図10)
ラベルをつける際には、一番数値が高い箇所のみなど知りたい場所だけにラベルをつけるようにして、重要な要素の数値を正確に伝えられるようにした方がよいでしょう。

(図10:ラベルが多すぎて見づらい)
他にも、線の太さや背景、枠線の有無など、必要最低限にすることで見やすい資料を作成することができます。
最高の可視化はツールだけではダメ!ではどうする?
可視化自体はゴールではなく、データの特徴を大まかに把握するための手段です。もちろん、エクセルやBIツールを駆使すればデータ可視化をすることは可能ですが、ツールを使って出てきたままのグラフは可視化の目的まで理解しないため色や装飾が求めているものではなく、そのままプレゼン資料に使えることは少ないでしょう。社内用、社外用など用途に合わせて必要な色や装飾を施し、何を伝えたいかを明確にしてシンプルな可視化を目指しましょう。
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