
時代の変化と共に、様々なSNSが普及しています。SNSごとに利用する層やターゲットが違うため、企業でSNSマーケティングを行う際にはそれぞれの特徴を活かした施策、また企業としての注意すべきことがあります。
本記事ではSNSマーケティングの定義から効果、各SNSの特徴やSNSマーケティングの注意点などをご紹介していきます。
目次
SNSマーケティングとは
SNSマーケティングとは、TwitterやFacebookなどのSNSを活用したマーケティング手法です。
SNSマーケティングでは顧客と直接的なコミュニケーションがとれるため、企業や商品のブランディングに繋がることからSNSマーケティングを導入している企業は年々増加しています。


(参照:総務省)
SNSマーケティングは具体的に以下のような方法があります。
- SNSアカウントの運用
企業の公式SNSアカウントを運用することで自社ブランドに関する情報発信を行います。企業とユーザーの接点を増やし、認知度を高め、企業や商品のブランディングを行うことも可能です。 - SNS広告配信
各SNSごとに独自の広告配信サービスがあり、それを利用して広告をうつことができます。
テキストだけではなく、画像や動画を用いた訴求力の高い広告をユーザーへ見せることができます。 - SNSキャンペーン
ユーザーにハッシュタグをつけてもらったり、リツイートしてもらうなどユーザー参加型キャンペーンです。企業アカウントのフォロワー以外にも知ってもらえ、新規顧客をうみだすことができます。 - インフルエンサーマーケティング
人気のインスタグラマーやYoutuberに企業の商品やサービスを宣伝、レビューしてもらうマーケティングです。インフルエンサーが抱える多くのフォロワーに情報発信でき、またインフルエンサーはSNSのプロなので高い訴求力をもっています。 - ソーシャルリスニング
SNS上にあるデータを収集し、ユーザーの意見をとりいれリサーチができます。リサーチだけではなく、他のSNSマーケティングを行う際にデータを元にした施策を打つための基本的な手法となります。
SNSマーケティングの効果
SNSマーケティングを導入することで企業が得られる効果は主に3つあります。
①企業や商品の認知度アップ
SNSの大きな特徴は「シェア」などの機能によって企業名や商品が多くの人の目にとまりやすくなることです。WebサイトだけではGoogleなどで当てはまる検索ワードを入れない限り知られることはありませんが、SNSでは友人の投稿、流れてくる投稿などで自然と目に入り、気になる場合はさらにそこから検索してもらえます。企業のことや商品を全く知らないユーザーにもリーチし、認知度をアップさせることができます。
②ファンの獲得、ブランディング
SNSはユーザーとの距離が近く、フォローしてくれたユーザーが共感できる発信をすることで根強いファンを獲得し、ブランディングに繋げることができます。SNS上で投稿内容の統一を図るなどして世界観を作り上げることでユーザーを惹きつけ、そこからシェアを広げていくことでファンを獲得することもできます。
③ユーザーの生の声を聞いて戦略に活かせる
ソーシャルリスニングや各投稿の反応を見ることでリアルタイムでユーザーの声を聞くことができるため、企業ブランディングや商品企画、広告の打ち出し方などの戦略に活かすことができます。また、自社に関してだけではなく、競合他社についても把握できるところがSNSマーケティングならではです。
SNSマーケティングで使われる主要SNSの特徴
ユーザーの年齢層:10代~40代
向いているSNSマーケティング:SNSアカウントの運用、SNSキャンペーン、ソーシャルリスニング
特徴:世界トップクラスのユーザー数で、ユーザーの年齢層は10代~40代が多く、気軽に他社の投稿をシェアできるリツイートで情報が拡散されやすいという特徴があります。
リプライなどでユーザーと直接コミュニケーションがとりやすく、ユーザーに親しみを持たせることができると同時にユーザーの声を直接聞くこともできます。また、その気軽さからリアルタイム性が高くトレンドや話題を生み出しやすいのも特徴です。
ユーザーの年齢層:30代~50代
向いているSNSマーケティング:SNSアカウントの運用、SNS広告配信
特徴:世界で最もユーザーの多いSNSで、若い層へのアプローチは不向きなものの、実名登録制のため学歴、仕事、ライフステージなど様々な情報をもとにしたターゲティング精度の高い広告配信を行うことができます。
また、Facebookページではイベントの作成など集客を行うこともできるため、HPのような役割を持たせることも可能です。
ユーザーの年齢層:20代~40代
向いているSNSマーケティング:SNSアカウントの運用、SNS広告配信、インフルエンサーマーケティング
特徴:画像や動画をメインとして配信できるSNSで、若い世代には検索エンジン代わりにも使われることも多く、ハッシュタグで投稿をヒットさせるのも大切です。また、親会社であるFacebook社のユーザーデータを元にした詳細なターゲティング広告を活用できる点も強みとなります。「インスタグラマー」と呼ばれるインフルエンサーの活動が盛んで、インフルエンサーマーケティングを行うのに最も適したSNSです。
LINE
ユーザーの年齢層:10代~50代
向いているSNSマーケティング:SNSアカウントの運用、SNSキャンペーン
特徴:日本にて最も月間ユーザー数の多いSNSで、幅広い年代に利用されています。LINE公式アカウントの運用で、「友達」になったユーザーに限定したスタンプやクーポンの配信ができるため、ファンの獲得、根強いファンをつくりやすいのが特徴です。
Youtube
ユーザーの年齢層:10代~40代
向いているSNSマーケティング:SNS広告配信、インフルエンサーマーケティング
特徴:世界的に人気な動画配信プラットフォームで、幅広い年齢層に親しまれています。「ユーチューバー」と呼ばれるインフルエンサーはエンタメから専門的な話題まで幅広い話題を取り扱っており、テレビなどに出演することも多いことからインフルエンサーマーケティングの市場規模が大きいことが特徴です。
企業でSNSマーケティングを行う際の注意点
明確な目的を定める
SNSマーケティングは単に企業アカウントをつくり、投稿を続け、フォロワーが増えていればいいというわけではありません。KPIを設定するなどアカウント運用の先のゴールを見据えて、SNSマーケティングを始める必要があります。
ターゲットに合った媒体を使う
各企業の商材やサービスによって相性の良いSNSが異なります。SNSごとに利用者の年齢層も違うため、自社商品やサービスのターゲット層の利用者が多いSNSを活用することが大切です。年齢だけではなく各SNSの特徴を把握し、どのように消費者とコミュニケーションをとるか、どのような世界観をつくり自社ブランディングするかをあらかじめ決めておくとよいでしょう。
一方的な宣伝だけではいけない
SNSマーケティングの特徴は「ユーザーとの距離が近い」ことです。商品の情報ばかりを宣伝していては一方的な投げかけにしかならず、ユーザーにうっとおしがられたり、飽きられてしまいます。商品やサービスの情報をユーザーにとって「面白い」「役に立つ」ものとしてアレンジすることによって興味をもってもらい、拡散へとつなげることができるでしょう。
徹底したSNS運用のルールが必要
SNSは拡散性が高いため、良い情報も悪い情報もすぐに広がります。ひとつの不用意な発言が「炎上」に繋がることもあるため、社内でSNSを運用する際には徹底したルールを作る必要があります。
ターゲットに合った媒体を使う
各企業の商材やサービスによって相性の良いSNSが異なります。SNSごとに利用者の年齢層も違うため、自社商品やサービスのターゲット層の利用者が多いSNSを活用することが大切です。年齢だけではなく各SNSの特徴を把握し、どのように消費者とコミュニケーションをとるか、どのような世界観をつくり自社ブランディングするかをあらかじめ決めておくとよいでしょう。
担当者をつくり、継続的な運用が必要
SNSの自社アカウントを運用する場合、ユーザーに飽きられないためにも定期的に工夫した内容を投稿しなければいけません。そのため専任の担当者を配置する必要があるため、継続運営するためのコスト負担がかかります。予算内でどのくらい力を入れていくかをあらかじめ把握したほうがよいでしょう。
SNSの分析を行い戦略を立てる
SNSマーケティングについて調査し目的に合わせた運用を始めてもなかなか成果がでない、ということもあるでしょう。SNSマーケティングは日々変化し続ける流行やリアルタイムでのユーザーの声などのデータを収集・分析したうえでデータに基づいた戦略を立てて行わないと効果が出ません。専用のツール等を使ってデータ分析をすることもできるでしょう。
SNSマーケティングで使えるツール
うえに述べた注意点はSNSマーケティングに役立つツールを使うことで回避することもできます。
SNSマーケティングツールを使うとSNSデータの取得、SNSデータの分析・可視化、ができ、SNSマーケティングの戦略を立てるのに役立てることができるでしょう。
SNSマーケティング成功事例
ハーゲンダッツジャパン
ハーゲンダッツジャパンは2013年7月3日~9月3日の間「あのフレーバーをもう一度 “フレーバー復活選挙”」を実施しました。FacebookやTwitter、mixiなどの各SNSアカウントで1日1票、過去に販売したミニカップ24種から”復活してほしいフレーバー”に投票し、1位に投票した人の中から抽選で1,000名に1位のフレーバーをプレゼントするという内容です。公開からわずか1カ月で約16万票を集め、注目を集めました。
このキャンペーンは投票した人のみに当選する仕組みのため、ハーゲンダッツのアカウントの認知度を上げることにもなったSNSマーケティングの成功事例です。
SNSマーケティングは単に企業アカウントをつくり、投稿を続け、フォロワーが増えていればいいというわけではありません。KPIを設定するなどアカウント運用の先のゴールを見据えて、SNSマーケティングを始める必要があります。
日本コカ・コーラ
2015年10月に発売した「い・ろ・は・す もも」では、発売1ヵ月半前にTwitterで消費者が新製品のフレーバーを当てる4択クイズに参加し、正解である「もも」の投稿をリツイートした人の中から発売前に抽選で1,000名に試飲ボトルをプレゼントする、という内容でした。投票に参加した人は1万人を超え、「新フレーバーにももが加わる」という投稿のリツイート数は10万件に上りました。
また、当選した人に届いたのは、思わず写真に収めたくなるような桃の形をしたケースから桃太郎のように試飲ボトルが出てくる、という遊び心溢れるフォトジェニックなプレゼントであったため指定のハッシュタグ付きで感想の投稿を依頼すると、当選した1,000人の中の過半数が写真付きで感想を投稿しました。
このキャンペーンで発売日までに新商品の関連ツイートが16万件に達し、初動の売上は他のフレーバーの倍近いスタートを切ることができました。Twitterの拡散性を上手く活用した成功事例です。
グリコ
11月11日はポッキーの日、で知られるよう、グリコはTwitterのポッキー公式アカウントで【ギネス世界記録に挑戦】と表しTwitterで1日にどれだけの人が「ポッキー」を含めたつぶやきをしたかで世界記録を狙おう、というユーザーを巻き込むことでユーザーとの距離を縮められる企画を行いました。最終的にはツイート総数300万件以上となり、メディアでも取り上げられ検索件数も上昇することとなりました。プレゼント等を用いずとも製品の特徴を活かしユーザーに親近感をわかせることができ、話題性を掴んだ成功事例です。
SNSマーケティングは分析、戦略が命
SNSマーケティングを導入することで「拡散」などの特性、ユーザーの多様性により他の媒体では得られなかった多くのターゲットにアプローチをすることができます。しかし実践するにはまず目的を明確にする、利用するSNSの選定をする、データを分析し新たに戦略を考える、などやるべきことはたくさんあります。また、炎上等のリスク回避も視野に入れておかなければなりません。
大変そう・・・と思うかもしれませんが、それ以上にメリットも多くあるので、経験がない企業でもツールやサービスを用いてSNSデータを分析し、戦略を立ててみてはいかがでしょうか。