
企業は利益拡大を目指して日々努力をしていますが、そのためにはコスト削減が必須となります。しかし、コスト削減は簡単にできるものではありません。「売上」と「コスト」は表裏一体となっているので、コストを削減して売上が下がってしまうようでは意味がないので、売上を伸ばしたままコスト削減を意識的に行う必要があります。
本記事ではコスト削減の方法や、コスト削減に成功した事例からわかるコツをご紹介します。
コスト削減とは
企業におけるコストとは、営利活動に必要な費用のことです。そのコストには家賃や人件費、光熱費など可視化できるものもあれば、時間や労力など可視化できないものもあり、利益と大きく関わってきます。企業の利益は以下の計算式で成り立ちます。
企業の利益=売上 – コスト
つまりコストが削減できればおのずと利益もあがります。
企業におけるコスト削減とは、上記のコストの中から無駄なものを見極め、省いていくことを示します。
コスト削減で得られるメリット
利益向上
コスト削減を目指す一番の目的は利益の向上です。売上を上げるためにかかる費用や手間は今あるコストを削減するよりも未確定で難しい可能性があります。利益を単純に少しでも増やすためにはコスト削減から考えるとよいでしょう。
従業員の生産性の向上
コスト削減と聞くと従業員は人件費を減らされる、利用していたものが使えなくなる、などマイナスのイメージを持つ人もいるかもしれませんが、そうではありません。無駄な仕事を減らす、コストを見直すことで従業員の生産性向上が見込めます。
業務効率化
コスト削減を実行していくと、結果として業務効率化に繋がることが多いです。中には単純にお金の問題だけではなく、業務効率化のための手段としてコスト削減を目指す場合もあります。うまくコスト削減することで業務効率化ができれば従業員のストレスも減り、モチベーションもあがるでしょう。
コスト削減方法5選
コストの見直し
家賃、人件費、光熱費など可視化できるコストの中に無駄がないかを見直します。例えば、複数の部屋に分かれてガンガンにエアコンをつけて仕事をする、など小さなことかもしれませんが積み重ねると大きなコストとなってきます。また、従業員が快適に集中して仕事ができる環境であるか、などオフィスでの仕事環境を整えることで、仕事効率も上がり、結果としてコスト削減にも繋がります。
アウトソーシングの活用
一部の業務を外部委託することで、内部の従業員の残業コストを減らしたり、より最適な人員配置ができたりします。また、業務によっては外部のプロフェッショナルに頼む方が早く正確に業務をすすめることも可能です。アウトソーシングすることで一時的なコストはかかりますが、戦略的に取り入れることで企業の生産性を高め、かけた費用以上にコスト削減の効果を得ることができます。
税理士に相談
税理士に相談することで、無駄に支払っていた税金の節税を見込めます。もちろん税理士への支払いは生じますが、節税額が大きくなるほど利益が増えるため、コスト削減ができるといえるでしょう。
インターネット広告の活用
紙媒体で場所を借りた広告ではなく、インターネットを利用した広告にすることでよりターゲットを絞った費用対効果の高い広告をうつことができます。紙媒体の広告はチラシなどの場合冊数を増やすごとにそのコストも増えますが、インターネット広告は定額で継続的な宣伝をすることが可能です。
業務の自動化
ツールやシステムなどのテクノロジーを利用することで、アウトソーシングと同様に時間的コストや人件費を削減することができます。今や多くの業務がPC上で行われています。そういったPC上の業務で定型業務、または人手がかかる業務の場合はテクノロジーを駆使して自動化することで従業員がより効率よく仕事を行うこともでき、生産性も向上します。
コスト削減の成功事例
ダイキン工業株式会社
ダイキン工業株式会社は製造コストを見直した結果、販売する国や地域によって複数のモデルがあることに着目しました。そこでメイン事業の1つである空調の製造において、世界共通で使用可能なエアコン母体構造である「ベースモデル」を開発しました。そうすることで販売する市場ごとに構造を造り分ける必要をなくし、製品を一括大量生産することができるようになったため、質を保ちながら製造コストを30%下げることに成功しました。
株式会社ニトリ
株式会社ニトリは人手で行っていた物流における定型業務によるコストに着目しました。そこで、2016年にロボット倉庫「Auto Store」を国内で初めて導入すると同時に、梱包用段ボールの自動裁断機「BOX ON DEMAND」を導入しました。これにより作業効率の飛躍的な向上と在庫面積を削減ができたことで、物流の効率化を図ることにも成功し、販管費を大幅に削減しました。
グリー株式会社
グリー株式会社では、年々増加するデータ量によるファイルサーバーの容量枯渇問題に直面していました。そこで、クラウドストレージを活用することでサーバーの運用コストを削減し、さらに従業員の利便性向上を図ることができました。
株式会社ライフエスコート
株式会社ライフエスコートでは大型案件の受注量が増えたことにより、常に時間が終われコア業務以外の業務がおろそかになっていました。それを解決するためにアウトソーシングでレポート作りを外注したことにより、今までそこに割かれていた時間を納品物作成へ向けられるようになりました。また、リサーチや集計についても上がってきた結果のチェックだけで済むようになったため、大幅な工数削減につながりました。
コスト削減のコツ
まずコストを見直すためにコストの洗い出しが必要
先に述べた事例から考えても、コスト削減に最も重要なことはコストの洗い出しといえます。見直すべきコストは可視化できるものだけではなく、従業員の「手間」や「ストレス」なども考慮した業務の見直しを行うことが大切です。
コスト削減について従業員への周知が大切
突然コスト削減のために〇〇しましょう!と言われても従業員の理解を得られないことがあります。コスト削減が結果として生産性の向上、業務の効率化につながり従業員の利益にもなるということを周知させることで従業員の協力も得やすいでしょう。
従業員の「業務効率化」を最優先に考える
単純に光熱費などの額面を減らすだけではよいコスト削減はできません。会社は従業員が業務を効率よく行うことで利益を上げることができます。コスト削減が従業員のストレスになり、離職となればリクルートのための費用がかさむことになります。業務効率化のためのコスト削減を目指すことが経営者にとっても、従業員にとっても最適なコスト削減となるでしょう。
これらのコツを踏まえると、コスト削減に「従業員への配慮=業務効率化」は欠かせないものということがわかります。しかし新たに何かをはじめることは大変です。今ある業務の手間を減らし業務効率化を行う第一歩として、定型業務にはアウトソーシングやツールを活用してみてはいかがでしょうか。