
昨今はWebサイトやアプリケーションから様々な情報を取得できるようになりました。その結果、顧客行動の複雑化や市場競争の激化を招いています。デジタル技術が発展したことも重なり、従来のマーケティングでは市場変化に遅れをとる可能性が高まりました。そこで注目を浴びているのが、ビッグデータを活用したデータマーケティングです。
今回は、データマーケティングとは何なのか、その重要性や実際の活用事例を解説します。
データマーケティングとは
データマーケティングとは、顧客の購買行動を顧客データを元に収集・分析し、顧客の視点に立って顧客体験や製品を提供するマーケティング手法のことです。データマーケティングで活用される顧客データは、年齢や性別、職業などの個人情報だけでなく、購買履歴や来店情報、購入製品の傾向などの行動データを含みます。そのため、様々なデータを複合的に収集・分析・活用することが必須であり、収集するデータ量が多いほど高精度なプロモーションを行うことができます。
データマーケティングの重要性
昨今の市場は新型コロナウィルスの流行に伴い、世界的に見ても製品や部品の流通量・頻度が減少しています。そのため、限られたリソースの中で今まで以上の成果を出すには、全社通じてデータ活用を推進する動きが活発になりました。しかし、効果的にデータ活用ができている企業は少なく、全体の60%弱程度に留まっています。

(出典:クロス・マーケティング「企業のデータ活用に関する実態調査」より抜粋)
また、デジタル技術の発展により、市場変化の加速や顧客行動の変化が顕著となったため、従来のマーケティング手法では対応できなくなりつつあります。
デジタルマーケティングを活用することで多様化する市場に適切なプロモーションを行うことができます。
データ収集元の拡大
デジタル技術が発展したことで、データの収集元が拡大しました。例えば、業務にモバイルデバイスを活用したり、企業単位でSNSの運用が一般化、動画や音声を活用した市場の拡大などが挙げられます。データの収集元が拡大することで、ビッグデータとして分析・活用することができます。より効果的な分析を行うためには、専用の分析ツールを導入することも視野に入れましょう。
顧客の購買行動の複雑化
市場変化が激しい中、顧客の購買行動が大きく変化しつつあります。新型コロナウィルスの流行に伴い、従来の店舗型購買から、Webサイトやアプリケーション上から製品を購入できるオンライン購買が主流となりました。顧客の購買行動を適切に分析するためにもデジタルマーケティングが必須なのです。
市場変化の高速化
取得できる情報量も急激に増加したため、ブランドの認知や購買に関する顧客価値が多様化しました。その背景に、デジタル技術の発展が顕著であることが挙げられます。購買行動の複雑化と高精度なプロモーションを維持するためには、顧客や市場の変化するニーズに迅速に応える必要があります。デジタルマーケティングを活用することで正確かつ迅速なアプローチができます。
データマーケティング時の注意点
データマーケティングを実施する上でいくつかの注意点があります。特に重要な2点を解説します。

データ収集・分析の明確化
単にデータを収集・分析するだけでは、マーケティングは成り立ちません。何のためにデータを集め、どのように分析するのか明確化する必要があります。効果的なマーケティングを行うためには、適切なデータを収集し、そのデータの持つ意味を把握することが重要です。
また、データの収集・分析・活用を行った後は、必ず改善策を見出しPDCAサイクルを回すことも忘れずに行いましょう。マーケティングの世界には正攻法が存在しないため、PDCAサイクルを繰り返すことが最適解への近道です。
客観的な分析を意識
データ分析を行う上で、主観的な分析は可能な限り排除しましょう。市場や顧客のニーズは主観では測れない可能性が高く、誤ったプロモーションに繋がってしまいます。
市場の動向や顧客の購買行動を取得したデータの精査や、社内の従業員で試験的な調査を行うなど、客観的な分析を行った上で策を講じることが重要です。
データマーケティングの事例
実は、データマーケティングはよく知られた企業でも導入されています。特にビッグデータを扱ったマーケティングを行っている企業の事例を2つ紹介します。
Amazon
Amazonでは、顧客の行動ログや検索履歴からデータを収集し、購買に関するデータを蓄積しています。収集したビッグデータを元に、全世界の顧客ひとりひとりの好みを分析し行動パターンを予測することで、最適な商品を表示させます。ビッグデータを適切に活用することで、顧客の購買意欲を高める商品を提示することができ売上向上に繋がっています。
スシロー
大手寿司チェーンのスシローでは、レーンに流れる全ての皿にICチップを付け、寿司の鮮度や寿司毎の売上などをビッグデータとして収集します。主に「いつ」「どの寿司を」「どのくらい手に取られたのか」といった情報を収集することで、人気の高い寿司を分析することができ、レーンに流すべき寿司を特定します。その結果、顧客の「食べたい寿司が回ってこない」といった不満を解消すると同時に、廃棄によるロスを従来の4分の1にまで削減することに成功しました。ビッグデータの活用は、顧客満足度・売上・食品ロス削減の向上に大きく貢献しています。

まとめ
今回は、データマーケティングとは何なのか、その重要性や実際の活用事例を解説しました。最適なデータマーケティングを行うためには、様々なデータを組み合わせて取り組むことが重要です。データ量が多いほど、市場や顧客ニーズに合うプロモーションが可能になるため、自社のリソースでデータ活用が難しい場合は、専門の企業に相談してみることをおすすめします。