
RPAツールの種類や出来ることを紹介してきましたが、やはりまだ確認や判断を人が行わなければいけないフェーズは残っています。
「AIで全部自動化出来ないの?」と思うところは多くあるかもしれませんが、今回はRPAとAIの関係性やRPAで今後出来ることについてお話ししたいと思います。
RPAのクラス
RPAを導入するとなると、まずはどこに入れるか、デジタルレイバーをどこで働かせるか、ということを考えなければなりません。
クラス1:RPA(Robotic Process Automation)
人間が行ってきた定型作業や単純作業をロボットが代行することによって自動化を図るアプリケーションのことを言います。シナリオと呼ばれる、ルールを作成し、その通りロボットが稼動します。そのため、善し悪しといった判断をロボット自ら行うことには対応できません。
クラス2:EPA (Enhanced Process Automation)
AI技術を用いることによって非定型作業の自動化を図ることが可能になります。非構造化データの収集から、分析し出力することが出来ます。
例えば、傾向分析やカテゴリ分けなどをAI自身で判断し処理します。RPAでは困難であった、“判断”することがきるので、より人間に近い作業が可能となるのです。
クラス3:CA(Cognitive Automation)
さらに高度なAIを用いている為、自立した判断、また意思決定やプロセスの分析など流動的な判断を行うことが可能です。結果から学習し最適な結果を判断することで、時代にとらわれずに使用することが考えられ、今の日本に求められています。
当初業務効率化を図るために使用されることが多くありましたが、CA自体が主体的な存在となりうることが想定されます。

参考:総務省 RPA(働き方改革:業務自動化による生産性向上)http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/02tsushin02_04000043.html
現在、RPAの多くはクラス1が多く、定型業務の自動化に対応しています。今後EPA(クラス2)、CA(クラス3)が求められてくる中、同時に優れたAIの技術も求められてきます。
マーケティング部門で使用の場合
マーケティング業務に当てはめた場合、どんなことがRPAで叶えられるでしょうか。
クラス1:RPA(Robotic Process Automation)
◎競合ECサイトの価格比較の情報収集
◎Webデータから営業リスト作成
◎営業リストから固有情報の自動転記
◎見積書、注文書など書類作成の自動化
◎各種手続きの照合処理の自動化
クラス2:EPA (Enhanced Process Automation)
◎非構造Webサイトのデータ自動取得
◎Webサイトのログ自動解析
◎売上自動予測
◎見込み客のホットリスト自動作成
クラス3:CA(Cognitive Automation)
◎問い合せメールの返信対応
◎サイトブログ作成の自動化
◎適切なSEO設定の自動化
◎Webサイト作成(デザインからコーディングまで)
クラスが上がるほど高度な処理を行うことが出来ます。
マーケティング業務には調査作業や資料作成は付帯作業が多く存在します。
生産性を向上させるためにも、付帯作業を自動化し、効率よく人間が主体作業を行うことが理想的です。
また、マーケティングも時代に合わせて進化しています。AIを搭載したRPAは変化に合わせて動くことが可能です。ロボットと人間のそれぞれの性質や得意とすることを考え、ロボットに任せる部分と人間が行う部分の切り分けがしっかりできるように心がけることが大事になってきます。
RPAが求められる日本の背景
日本は少子高齢化が進み、人口も減少傾向にあります。
内閣府が公表している「平成30年版高齢社会白書」によると、日本人の15~64 歳人口は、平成7(1995)年に8,716万人でピークを迎え、その後減少に転じ、平成25(2013)年には7,901万人、昭和56(1981)年以来32年ぶりに8,000万人を下回っています。
それとは反対に、75 歳以上人口に関しては昭和25 (1950)年には5%に満たなかったが、平成29(2017)年には27.7%までに達しています。図1-1-2を見ても分かるように、今後15~64 歳人口は減少傾向にあり、反面75 歳以上人口は増加傾向にあります。

参照:内閣府 http://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2018/zenbun/pdf/1s1s_01.pdf
この先全体を見ても日本の人口は減少傾向にあると予測されます。またその中でも少子高齢化が進み、若手の人材が不足することが考えられ、働き手が不足することが恐れられています。このような現状を打破するためにRPAを使用する、使用したいと考える経営者も多いのではないでしょうか。
生産性向上のために外部委託や派遣社員などの力を借りて進めてきたビジネスも人がいなければなり立ちません。現状では、RPAで物事を判断することが困難ですが、上記で述べたようにEPAやCAが世に出回れば可能となります。
また人間と違い、育成コストや離職のリスク、休憩時間や休暇といったコストやロスタイムなどもカットすることができます。また、ヒューマンエラーがないため、工数の削減やクオリティーも落とさず行うことが可能です。人間が行う業務をロボットが代行できるようになれば、人件費を削減し、生産性が向上することが出来るでしょう。ロボットを使用した新たなビジネスが増えることや今では想像もつかない仕事が増えることが期待できるので楽しみです。