
「パーソナライズドマーケティング」という言葉をご存知でしょうか。
モノや情報があふれ、ありとあらゆる市場に競合が乱立し、他社との差別化に躍起になっている現代。
そんな成熟した市場において強力な武器となってくれるものが、この「パーソナライズドマーケティング」なのです。
この記事では、そんなパーソナライズドマーケティングについて分かりやすく解説します。
今のマーケティング手法に行き詰まりや伸び悩みを感じている方は、ぜひ最後までご覧ください。
パーソナライズドマーケティングとは
「個別最適化されたマーケティング」という意味を持つ、パーソナライズドマーケティング。
すべての人に同じ内容を提供するのではなく、顧客一人ひとりの属性や興味関心、購買行動などを元にして展開するマーケティング手法のことを指します。
パーソナライズドマーケティングの主な手法としては、以下の4つが挙げられます。
- リターゲティング広告
- レコメンド(広告)
- パーソナライズド検索
- パーソナライズドメール
リターゲティング広告
顧客の行動や閲覧履歴、購買履歴などに基づいて配信される広告のことです。
Google Adsの「リマーケティング広告」がその代表格で、もっとも身近なパーソナライズドマーケティングの例といえます。
レコメンド(広告)
顧客の行動や閲覧履歴、興味関心などに応じた情報を提示する機能のことです。
ECサイトや広告で使われることが多く、ECサイトでの活用事例としては、Amazonの「この商品を買った人はこんな商品も買っています」というレコメンド表示がイメージしやすいでしょう。
レコメンド広告としては「Criteo」がその代表格であり、さまざまな業界で高い反響を得ています。
パーソナライズド検索
顧客の過去の検索履歴や位置情報をもとに、パーソナライゼーションされた検索結果を表示する機能のことです。
たとえば、Googleなどの検索エンジンで「コンビニ」と検索してみましょう。
最寄りのコンビニが検索結果上位に表示されたのではないでしょうか。
このように、位置情報や登録情報に基づいた検索結果を表示してくれる機能が「パーソナライズド検索」です。
パーソナライズドメール
顧客の登録情報や行動履歴などをもとに、最適化した個別のメールを送るマーケティング手法のことです。
パーソナライズドマーケティングの中では比較的古くからある手法で、メルマガの冒頭に顧客の名前を入れるというシンプルなものも「パーソナライズドメール」の一種といえます。
会員登録している店舗から誕生月クーポンが送られてきたり、購入商品のレビューを促すメールが送られてきたり、さまざまな形で活用されます。

パーソナライズドマーケティングがもたらすメリット

2019年にはAdobeのマーケティング予測で注目トレンドとして挙げられたこともある、パーソナライズドマーケティング。
今後、企業が熾烈な市場争いで戦っていくためには決して欠かせないマーケティング手法のひとつですが、そのメリットはどこにあるのでしょうか。
- 最適なタイミングで最適な情報を届けることができる
- ユーザーロイヤリティを高めることができる
- 成熟化した市場で戦い抜く「武器」となってくれる
それぞれについて、詳しく見ていきましょう。
最適なタイミングで最適な情報を届けることができる
パーソナライズドマーケティングがもたらすメリットの最たるものは、顧客にとって「最適なタイミング」で「最適な情報」を届けることができるという点です。
たとえば、内容量が約1ヶ月分の化粧水を購入した顧客がいたとします。
購入から25~26日が経過し、「そろそろ化粧水がなくなりそうだな」と思っているときに、同商品の購入ページが記載されたメールが届いたらどう思うでしょうか。
さらに、そのメールでしか加入できないお得な定期コースが案内されていたり、同シリーズの乳液やクリームとのセット販売ページが記載されていたらどうでしょうか。
顧客がその商品に満足していれば、きっと「今まさにこんな情報がほしかった!」と思ってもらえることでしょう。
このように、パーソナライズドマーケティングを活用すれば、過去に購入してくれた顧客や、ギリギリのところで購入に至らなかった顧客に対し、最適なタイミングで「気付き」を与えることができます。
その結果、他の一般的なマーケティング手法よりも効率的に、既存顧客のクロスセルやアップセル、あるいは新規顧客の獲得が可能になるのです。
ユーザーロイヤリティを高めることができる
顧客に「特別な体験」を与え、「有益な情報」を届け続けることができれば、ユーザーロイヤリティを高め、顧客生涯価値(LTV)を引き上げることができます。
顧客一人ひとりに最適化した情報を届けるパーソナライズドマーケティングは、こうしたユーザーロイヤリティ向上に極めて有効な手段です。
人は、自分と関係がない情報には心を動かされません。
それどころか、興味のない情報を押し付けられると多大なストレスを感じてしまいます。
その一方で、自分に合った、今の自分に必要だと感じる情報が届けられると喜んでその情報を受け取り、役立てようと考えます。
そして、その経験を繰り返すうちに、有益な情報を届けてくれる企業やブランドに好感を抱くようになります。
たとえば、妊娠中のプレママをターゲットにしたサービスがあったとします。
「妊婦さん&ママ限定! 100名様に○○が当たるキャンペーン」
のように、対象がかなり広いコンテンツにはあまり興味を引かれません。
しかし、登録している自身の妊娠週数に応じて、
「【先輩ママの体験談】妊娠初期のつわりや不調の乗り切り方」
「いよいよ妊娠9ヶ月!今のうちに揃えておきたい出産準備品リスト」
など、今の自分に合った情報が届けば「見てみよう」と思うのではないでしょうか。
このように、パーソナライゼーションした有益な情報こそが、ユーザーロイヤリティの向上に繋がるのです。
成熟化した市場で戦い抜く「武器」となってくれる
デジタルテクノロジーの発達により、日々膨大な量の情報に晒されるようになった現代。
顧客はありふれたコンテンツやプロモーションの押し付けに飽き、旧来のマーケティング手法だけでは、なかなか心を動かすことができないようになってきました。
そんな時代において、顧客一人ひとりに寄り添い、その興味関心などを尊重するパーソナライズドマーケティングは、顧客に貴重な体験や情報を提供し、その心を鷲掴みにする、強力な「武器」となってくれます。
「ずっとこのやり方でうまくいっていたのに、最近なんだか効果が伸び悩んでいる」
「競合が増え、新しい手法を模索しているが、なかなかこれと思えるものがない」
そんなふうにお悩みの方は、ぜひ、パーソナライズドマーケティングの活用をご検討ください。
ビッグデータを活用してパーソナライズドマーケティングを成功させよう

パーソナライズドマーケティングを可能にしたのは「ビッグデータ」です。
登録された顧客情報や、サイト上での閲覧・検索・行動履歴はもちろん、SNS上での行動や発言といったビッグデータを収集分析し、顧客の属性や興味関心を明らかにすること。
それが、パーソナライズドマーケティングを支える屋台骨といっても過言ではありません。
顧客情報をもとにした属性の判別は簡単ですが、顧客の行動履歴などから「今、何を求めているのか」を探るのは至難の業です。
さまざまなビッグデータを収集・整理して分析しなければなりませんし、顧客の興味関心は日々移り変わっていきますから、定期的にビッグデータを分析できる環境を構築する必要があるのです。
データサイエンティストが所属している会社であれば、こうした作業も苦ではないかもしれません。
しかし、稀少な人材であるデータサイエンティストを囲えている企業はまだまだ少ないというのが実情です。
そんな時には、ビッグデータ活用を専門とするサービスの利用がおすすめです。
ビッグデータの収集・整理・分析はもちろん、どのように可視化するべきか、どう活かしていくべきかなどのコンサルティング部分からお手伝いしてくれるサービスもあります。
定期的に自動でビッグデータの収集整理をしてくれる環境の構築や、データサイエンティストによる個別分析サービスを行ってくれるものまであります。
パーソナライズドマーケティングを行ううえで心強いパートナーとなってくれる、ビッグデータ活用のコンサルティングサービスの活用も検討してはいかがでしょうか。
まとめ

顧客一人ひとりに最適な情報を届けられる「パーソナライズドマーケティング」。
かつての主流であったテレビCMや雑誌広告などが「大枠でセグメントされた層に対し、一括で情報を配信する」であったことを思えば、マーケティング手法の劇的な進化に驚かされるばかりです。
そんなパーソナライズドマーケティングを可能にした「ビッグデータ」の活用は、パーソナライズドマーケティングに留まらず、今後もあらゆる場面で活用されていくと想定されます。
今や、そういっても過言ではない時代になったのです。
ビッグデータの活用が叫ばれる昨今。
今のマーケティング手法にお悩みや懸念をお抱えの方は、ビッグデータ活用を取り入れた施策も視野に計画を立ててみるとよいでしょう。