
「Society5.0」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?Society5.0は、日本政府が打ち出している科学技術政策であり、これまでの「Society4.0」が抱えている課題を解決させた社会です。Society5.0の社会を実現させることで、これまでよりも人間が暮らす社会をより良くできます。
この記事では、Society5.0とはそもそも何か解説し、新しい社会を実現させるために重宝される技術10選を紹介します。Society5.0は、今後の全体的な社会の動きになりますので、経営者の方や新規企画を練る方はぜひ参考にしてください。
目次
Society5.0とは?Society4.0までとの違い
Society5.0とは、Society4.0(情報社会)までに抱えていた課題を解決した社会です。それでは、Society4.0(情報社会)まではどのような社会だったのでしょうか?Society5.0とSociety4.0とでは、どのような点が異なっているのでしょうか?これまでの社会と比較して、Society5.0を解説します。
Society4.0までの社会発展とは
ここで、Society4.0までの社会発展を振り返っておきましょう。過去を俯瞰的に見ていくことでSociety5.0への理解も深まります。Society5.0までの社会的な発展は以下の通りです。
- Society1.0(狩猟社会)
- Society2.0(農耕社会)
- Society3.0(工業社会)
- Society4.0(情報社会)
狩猟採集(Society1.0)を中心とした社会では、食料を確保するために常に狩猟を続けなければならず、冬になると飢餓が深刻でした。農耕社会(Society2.0)に発展したことで、食料を保存できるようになりました。食料を保存できるようになると、狩猟だけに頼ることなく冬場も飢えることなくしのげます。工業社会(Society3.0)とは、人々の生活に便利な大量の商品を生産できる社会です。そして、Society4.0では、インターネットによって情報にいつでもアクセスできるようになりました。人間の生活をより良くするために社会は発展してきています。Society5.0は、Society4.0(情報社会)から得られた情報を実社会に活かして、人間の生活を良くするために目指すべき社会です。
Society5.0とは人とネットが繋がる社会
Society5.0は、サイバー空間とフィジカル空間を融合させた社会のことです。これまでのSociety4.0(情報社会)では、インターネットが世界規模で広がったものの、ネットを人の活動に適用することができませんでした。インターネットを通じて情報に触れられるものの、分野を超えた情報の共有も難しい問題があります。
Society5.0では、ロボットや自動運転によって、労働者への体力的な面の年齢制限を無くします。日本国内の少子高齢化に向けて、単純労働に割いていた人材を生産的な分野に配置できます。

Society5.0で重宝される技術10選
Society5.0は、新しい技術によって実現します。今後、Society5.0で重宝されていく技術を10個紹介します。
- IoT・IoB
- ビッグデータ
- AI
- 5G
- ロボット
- ドローン
- 自動運転
- キャッシュレス決済
- VR
- ブロックチェーン
新しい技術を知って、技術を基盤としたサービスや商品を企画して開発できるようにしましょう。
IoT・IoB
IoTによって家電製品とインターネットがつながり、家での生活が便利になります。スマート家電やスマートハウスの出現で、全ての意思決定を人間がする必要が無くなり、生活の補助もしてくれます。IoBではさらに個人の生活がより健康的で便利になります。これまでの行動記録や購買記録をデータとして保存し、個人の生活に最適な情報を提案してくれます。
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ビッグデータ
個人の位置情報や購買情報などは、ビッグデータとなってデータベースに蓄積されます。そのデータ解析によって、個人や社会に最適化された情報がフィードバックされて、社会の全体的な動向を把握できます。
AI
AI(人工知能)の発達によって、人間では処理不可能なレベルの高速情報処理が可能です。データの解析からの予測など、人間ではできなかったこともAIならできます。また、顔認証や自動言語翻訳、自動運転などの技術はAIを搭載することで機能します。
5G
通信技術の発展により、物理的な距離があっても情報の送受信に遅延が生じません。スマホは広く人々の生活に浸透しています。電波の届きにくいような場所でも5Gによって、使用可能になります。さらに、5Gなら複数以上のデバイスで同時に接続が可能で、オンライン会議も快適です。
ロボット
ロボットが登場することで、製品製造や単純労働をすべてロボットに任せることが可能です。介護や医療など、対人コミュニケーションを重視するものの体力を要する分野では人手不足が深刻です。ロボットによって体力的な部分の補助をおこない、経験の長い人材に長く働いてもらえます。
ドローン
ドローン技術と法整備が進めば、移動が困難な方でも荷物を家で受け取れます。インターネットで注文した商品や病院で定期的に処方される薬も、ドローンが家まで配達してくれます。また、農業では農薬の散布など人体に危険が及ぶ作業は、無人ドローンがおこなうことでリスクを下げることも可能です。
自動運転
自動運転もSociety5.0を支える重要な技術の一つです。自動運転が可能になれば、運転手だけではなく歩行者を巻き込んだ事故の危険を削減します。また、位置情報と連携させれば、インフラの調整ができます。交通渋滞を削減して、人々の快適な移動やスムーズな物流にも繋がります。
キャッシュレス決済
キャッシュレス決済によって、スマホやカードだけで買い物ができます。そのため、大量の現金を持ち歩いて紛失する危険性を無くします。決済の情報はすべてコンピューターで管理しているので、お金の流れはリアルタイムで記録され保存されます。個人の信用情報も容易に集められます。
ブロックチェーン
ブロックチェーンの仕組みによって、個人の信用情報をデジタル上で管理します。購買履歴や商品取引の履歴が分散して管理されるため、セキュリティ機能も安全です。著作権のある芸術作品や、特許権のある発明品などの権利と独自性も証明できます。
VR
VR(バーチャルリアリティ)は、すでにゲームやアミューズメントパークで楽しまれているアトラクションの一つです。一般的な生活に浸透すれば、バーチャル空間で買い物をすることもできますし、旅行も楽しめます。新しい家を購入する際も、物理的に移動する必要はありません。
Society5.0によって解決できる課題
政府が構想するSociety5.0の社会では、これまでの課題を解消できます。主な課題として挙げられているのは、以下の通りです。
- 労働力不足の解消
- 食料や電力の供給
- 地球温暖化の解決
- 医療や福祉の充実化
- 公共サービスの提供
それぞれの課題を科学技術によってどのように解決していくのか、詳しく解説します。

労働力不足の解消
Society5.0では、少子高齢化による人的な労働者不足を解消します。単純な労働や危険な現場での労働、体力を使う労働をロボットに任せられます。このことにより、ロボットやコンピューターではまかなうことができない創造的な分野や、コミュニケーションが必要な仕事に人的な労働力を集中できます。Society5.0は、将来的な少子高齢化社会も視野に入れた施策です。
食料や電力の供給
Society5.0は食料や電力の需要と供給を最適化させます。これまでの社会では、生活必需品の食料や、生活インフラである電力の需要と供給のバランスを調整することができませんでした。ビッグデータの収集と分析により、需要と供給のバランスをとる操作が可能になります。また、物流もスムーズにすることができるので、需要に対する供給の停滞も避けられます。
地球温暖化の解決
Society5.0は、循環型の社会を実現して世界的な地球温暖化の解決を目指します。電気自動車の開発は、脱炭素の一環でもあります。脱炭素によって、排出する二酸化炭素の量を大幅に削減します。日本全体の産業も代替可能なエネルギーや、脱炭素エネルギーに代替していくことで地球温暖化を防ぎます。
医療や福祉の充実化
Society5.0では、医療や福祉の人手不足や、従事者の負担を軽減します。身体接触型のデバイスによって、個人の健康状態をリアルタイムで把握すれば、病気の早期発見に役立てられます。また、健康の維持を個人レベルでおこなえるようになれば、医療にかかる必要も無くなります。リモートで手術をおこなう仕組みも開発されていて、重篤な患者が物理的に遠距離を移動することなく手術を受けることも可能です。
公共サービスの提供
公共サービスを充実させることもSociety5.0が目指す社会です。公共サービスの充実は、地域住民のニーズを把握することからはじまります。しかし、この点がサービスを充実させるためのプロセスとして難しい部分でした。地域住民の移動情報や購買情報を集めて分析することで、地域住民のニーズに合わせたサービスを提供できるようになります。また、対面でおこなっていた行政手続きも、デジタル化し自動化することで大幅に時間と手間を省くことができます。
人とネットを繋げる技術にはデータの取扱いが重要
これまでに紹介してきたSociety5.0を実現する技術は、全てビッグデータが蓄積されていきます。そのため、企業はこの蓄積されたビッグデータをどう活用するかが重要になるでしょう。ビッグデータは溜めていくだけではなく、分析をおこない活用していく必要があります。ただし、社内のノウハウだけでデータの活用を正解に導くことは難しい場合がほとんどです。ビッグデータの活用を本格的に検討している場合は、一度ビッグデータ活用の専門家に相談してみましょう。

まとめ
この記事では、Society5.0で重宝される技術を10個紹介してきました。Society5.0によって解決できる課題や、目指すべき未来の社会を理解できたと思います。日本政府が目指す大きな社会の変化に合わせて、会社の向かうべき方向性も決定しましょう。日本国内で生活している人々の利便性を意識した施策こそ、最適な商品やサービスです。Society5.0や、Society5.0で重宝される技術を把握して、今後の経営に活かしましょう。