
AIを作成する過程では、必ずアノテーションをおこないます。精度の高いAIを作成する鍵となるのは、アノテーションです。それでは、アノテーションとはどういった作業のことなのでしょうか。今回は、アノテーションとは何か解説した上で、AI作成のためのデータ収集の方法も紹介します。AIを使用した新しいサービスや、ビジネスソリューションをおこないたい方はぜひ参考にしてください。
アノテーションとは
AI開発やAIに関連する文脈でアノテーションとは、「画像・動画」「テキスト」「音声」などのデータに対してタグ付けやメタデータ情報を就ける作業のことを指します。一般的な意味としては、「注釈・注解」などを指します。
AI開発におけるアノテーション
AIは機械学習をしていくことで性能を向上させます。AIが機械学習をする際には、見習うべき教師データが必要です。アノテーションとは、AIが学習するうえで必須な教師データを作る大事なプロセスなのです。

ビッグデータの活用
ビッグデータを活用する分野が広くなったことは、アノテーション需要が高まっている要因のひとつになっています。ビッグデータは、個人の情報検索の利便性に大きく貢献しています。例えば、検索エンジンは設定を外さない限り、個人アカウントを作成している方の属性や検索履歴などを通じて、個人に最適化された検索結果が表示されるように設計されています。Google検索を個人に最適化するアルゴリズムは、ビッグデータにアノテーションをおこなうことによってデータ整理をしています。
AI開発需要の増加
AI開発需要の増加もアノテーションの需要を高めている要因です。AIは今後の社会を大きく変化させると期待されています。AI開発はインターネット分野だけではなく、IoT分野やロボットなどにも普及しています。AI開発をするためには、アノテーションのプロセスを絶対に踏まなければいけません。そのため、AI開発の需要と共にアノテーション需要も増加しているのです。
アノテーションの種類
アノテーションの作業は、さまざまなデータに対しておこなわれます。また、複数のカテゴリーに分類する必要があるために、アノテーション自体も数個の種類があります。主なアノテーションの種類は以下の通りです。
- 画像や動画
- 音声
- テキスト
- 意味的(セマンティック)アノテーション
それぞれについて詳しく解説します。
音声
音声をアノテーションする際には、あらかじめ音声をテキスト化します。その後、単語単位で実際の意味と結びつけます。主に、音声の「種類」と「音量」に対してタグ付けをおこないます。人間が発する音声は年齢や性別によって異なります。そのため、音声認識のシステムは、大量のデータを必要とします。その分アノテーション量も多く、作業工数に負担がかかります。しかし、音声認識の精度が上がれば、会議内容のテキスト化や音声認識によるデバイス操作など応用分野は広がるので、新規のサービスやビジネス場面での活用が期待されています。
テキスト
テキストデータへのアノテーションは、テキストから人間が解釈できる意味をタグ付けする作業です。アノテーション後の教師データでAIが学習して、エラーを検知したり、ニュースの抽出も自動でおこなってくれるようになります。タイムリーに更新されるSNS文章から、作者の意図やネガティブ・ポジティブの感情を読み取ることも可能です。最新の情報から社会のトレンドや動きを把握できます。
意味的(セマンティック)アノテーション
意味的(セマンティック)アノテーションとは、人名などの固有名詞、すでに一般に販売されている商品名、文中の単語に対して意味づけをおこないます。検索エンジンの関連性を改善させて精度を向上させ、ユーザーの利便性を上げています。また、無人でもカスタマーに対応するチャットボットの学習にも使用されます。
教師データを集める方法
AIを作る際に、教師データを収集してアノテーションをおこなうことは必須事項です。教師データの質は、AIの質を左右する重要な要素です。それでは、良質な教師データを入手するにはどのような方法があるのでしょうか。主な方法は以下の通りです。
- 社内のデータを活用する
- 外部に依頼する
- オープンデータを活用する
ここからは、教師データを集める方法を一つひとつ解説していきます。
社内のデータを活用する
教師データとして、社内にあるデータを活用することが可能です。AIを作るに当たって、自社のサイトや保存された情報から教師データになりそうなデータを選別します。これまでの自社製品の購入履歴や生産している商品の品質管理・生産管理などのデータがあれば教師データになります。社内データは他社にはない独自のデータとなるため、貴重な教師データであり、独自のAIを作る際には会社の用途に合ったAIにすることができます。
外部に依頼する
データを持っていない場合は、外部に依頼することも一つの方法です。データの収集には時間がかかってしまいますし、アノテーションをするにも経験のある専門的な選別能力が必要です。データ収集を専門的におこなっている会社もありますので、外部依頼して良質な教師データを収集してもらえます。データ収集業務を依頼する際には、自社がAIを作る目的と設計内容をきちんと伝えなければいけません。外部依頼は費用がかかりますが、確実な方法です。
オープンデータを活用する
教師データは、オープンデータを使用することも一つの方法です。すでに良質なオープンデータが、インターネット上に公開されています。「画像や動画」「音声」「テキスト」別にデータがまとめられているサイトがあります。自社で作りたいAIの方向性に合わせて、オープンデータから教師データを抽出できます。
まとめ
すでにAIは、あらゆるビジネスシーンや人々の社会生活を支える技術として浸透しています。この流れは、今後さらに高まっていきます。AIの作成は初心者でも可能ですが、大量のデータ収集とアノテーションの作業は必須です。これらの作業が最も手間と時間がかかるため、ネックとなっている企業も多いでしょう。データ収集やアノテーションの作業に対して割く人材や時間が足りない方は、外部委託がおすすめです。弊社インディゴデータが提供するPigDataでは、大量のWebデータを短期間で収集・整形して提供することができます。AI作成でデータが必要な方は、ぜひご連絡をお願いいたします。