
AI、人工知能と聞くと最先端の技術であり、初心者では扱えない代物だと考えている方も多いかもしれません。しかし、AIは初心者でも作成してビジネスに役立てることが可能です。AIを活用すれば、業務フローの改善や新規企画のアイディア着想の補助にもなります。AIは、今後のビジネスを大きく変化させていくため、積極的に活用すべきです。今回は、AIを知らない初心者の方でもできるAIの作り方を解説します。便利なAI作成ツールも紹介しますので、業務の効率化やビジネスの発展を目指したい方は、ぜひ最後まで読んでいってください。
AIの基礎知識
AIとは、「Artificial intelligence」の略であり日本語では「人工知能」と呼ばれています。人間と同じような知的な活動を可能にする技術です。AIは、機械学習やディープラーニングを通して、データを与えるたびに性能が向上していきます。すでにAIを搭載したハードウェアは多く、多くの方が持っているスマホにはAIの技術が応用されています。顔認証や話しかけるだけでスマホの操作をしてくれる「Siri」などは、AIが応用された代表的な例と言えます。
AIの作り方
AI自体は複雑な構造をしています。しかし、現在では作り方が確立していますし、作るための情報も広く共有されています。そのため、先端の科学者や技術者ではなくてもAIを作ることが可能です。AIを作るためには、いくつかの方法があります。ここからは、AIを作るための方法を3つ紹介します。
プログラミング
AIはプログラミングをおこなうことで、複雑で独自性の高いタスクをこなすことができます。この方法でAIを作る場合は、ある程度のプログラミングの知識とスキルがある人材に任せなければいけません。そのため、プログラミングもAIも初心者という方には、難易度の高い方法であると言えます。ただし、プログラミングができる人材が会社内にいる場合、会社が目的とする用途に合わせたAIを作成することができます。
APIを使う
プログラムができない初心者の方でも、APIを使えばAIを簡単に作り出すことができます。現在、AIを作成することができるAPIは、数多く一般的に公開されています。APIを利用する事で、複雑なプログラミングを書き込む必要が無くなりました。そのため、プログラミング未経験の方でも、用途に合わせたAPIを選択する部分に集中すれば用途に合わせたAIの作成に近づけます。
ツールを使う
AI作成に特化したツールを使用することも、選択肢の一つです。AI作成ツールは、多くの企業が開発していて無料で使用可能なツールや、有料ですが精度の高いAIを作れるツールもあります。それぞれに作れるAIの専門性は異なります。会社が必要とするAIをあらかじめ決めておけば、用途に適したツールを選択できます。AI作成ツールを使用すれば、新たにAIに詳しい人材の雇用をする必要もないので人件費を抑えることも可能です。
AIを作るために必要なもの
AIを作る上で必要なものは、主に「AIの知識」と「データ」です。そもそもAIとはどのようなもので、AIを使用するとどのような作業をおこなうことが可能になるのか、知っておくことは大事です。また、AIは作成しただけでは機能しません。AIを使うにはデータが必要です。ここからは、AIを作成するうえで必要な「AIの知識」と「データ」に関して詳しく解説していきます。
AIを作る際に必要な知識
AIの開発にはプログラミング言語の理解が必須です。AIを作れる言語の例として、Pythonが挙げられます。今では、Pythonは広く知られたプログラミング言語のため、多数の学習サイトや教材が用意されています。機械学習やディープラーニングなどのライブラリが豊富なため、初心者でも学習しやすい環境が整っています。注意点として、AIを作るにはプログラミングを覚えるだけでなく、データの前処理やモデルのトレーニングなど基礎的な概念も学ぶことが重要です。AIを使用するとどのような作業ができるのか知っておくことも、AIを作る際のポイントとなります。
データ
AIを作成する上で、必要になるのが「データ」です。AIは、データを多く吸収すればするほど分析や予測、特徴を認識する精度が向上していきます。吸収させるデータの選択は、用途に合わせて人間がおこなわなければいけません。また、適切なデータを収集するのも人間がおこないます。データの量と質によって、作成するAIの精度が変わってきます。そのため、AIを作成において大量で良質なデータの収集が有効的なAI活用の鍵になります。
AIを作るステップ
ここからは、実際にAIを作成する際にどのようなステップが必要になるか解説していきます。AIは、人間の命令に応じて専門特化したタスクに対して能力を発揮します。AIを作るステップは以下の通りです。
- 目的を決める
- 必要なデータを集める
- 学習済みモデルを作る
- システムに組み込む
それぞれのステップについて詳しく解説します。
1. 目的を決める
AIを作成する前にあらかじめ、会社での使用目的を決めることは必ずおこなってください。AIは、万能ではありません。人間がAIに対して用途を命令して、学習させなければツールとして機能しません。AIを作成する前には、「業務の効率化」や「データ分析と予測」などのように目的を決めておく必要があります。そして、目的が決まれば、どのような業務をAIに任せるのか細かい部分まで絞って決めていくことで、会社で必要となるAI像が見えてきます。
2. 必要なデータを集める
AIの使用目的が決まり、AIのモデルを作ったらデータを収集するステップに移行します。AIは、データを覚え込ませなければ学習することができません。また、データはAIの用途に合っている選別されたデータでなければいけません。不要なデータや質の悪いデータをAIが学習すると、精度が下がってしまいます。AIに吸収させるデータはきちんと選別して、効果的な学習がきちんとできる環境を整えてあげてください。
3. 学習済モデルを作る
AIをゼロから構築するのは時間がかかりますし、専門的な知識と技術が必要です。そのため、既存のAI学習済モデルを利用することでこの問題を解決できます。公開されている学習済みモデルを選択して、会社が開発したいサービスや構築したい業務システムになるようにデータを吸収させます。吸収させるデータの選別をして、使用する目的に照準を合わせればAIは自動で学習して最適化されます。
4. システムに組み込む
これまでのステップで構築できたAIは最終的に、システムに組み込む作業に入ります。AIだけを作っても、サービスや業務用のシステムに組み込まなければ利用価値がありません。例えば、運営している自社サイトに24時間対応のカスタマーサービスを設置する場合、AIチャットをWebに組み込みます。カスタマーサービスがきちんと成立しているのか確認し、データも蓄積されていれば完了です。
AIの学習用データの集め方
AIの学習用データは、さまざまな方法で集められます。ここでは主な方法を解説します。
社内データ
社内データは、業務に活用しやすいデータが集まっているため、データ品質が高いものを選定しましょう。高品質なデータはAIの性能に直結します。不正確なデータや欠損値が含まれていると、モデルの予測も信頼性を欠く可能性があります。データの正確性や完全性を確保するために、適切なデータクリーニング手法を採用しましょう。また、社内データといえど、プライバシーとセキュリティには注意が必要です。個人情報や機密データを適切に保護するために、データの暗号化やアクセス権の制限などは必ず実施してください。
データ収集時のポイントとして、異なる部門や業務プロセスを活用して、多様なデータを収集しましょう。異なる視点からのデータがあれば、モデルの性能を向上させるのに役立ちます。
Webデータ
Webデータは、主にスクレイピングを活用して収集することになります。そのため、サイトの利用規約や法的規制に抵触しないように注意しましょう。収集元サイトの利用規約を確認し、必要であれば事前に許可を得る必要があります。
また、収集するデータは信頼性の高いサイトを選択することも重要です。信頼性の低い情報や未確認のソースからのデータは、モデルの正確性に影響を及ぼす可能性があります。
IoT媒体
IoT媒体からデータを収集する場合は、セキュリティを確保できるデバイスを選びましょう。適切な認証や暗号化を実施することで、データの信頼性と機密性を確保できます。
IoT媒体からのデータ通信はリアルタイムでやりとりされる場合があります。データのリアルタイム処理が必要であれば、データパイプラインや分散処理技術を利用して、遅延を最小限に抑えましょう。
データセット
データセットとは、機械学習やデータ解析などで使用される、一連のデータの集合体を意味します。たとえば、テキストデータセットは、自然言語処理タスクのための文章や文の集合を表し、音声データセットは、音声認識や音声処理タスクのための音声ファイルの集合を意味します。
データセットはユーザーアンケートの調査結果をもとに自作したり、外部から購入することができます。
初心者向けAI作成ツール
ここからは初心者向けのAI作成ツールを紹介します。AI作成ツールには無料で使用できるプランもありますし、有料で高機能なツールもあります。無料プランで試用することができますし、有料プランで自社独自のAIを作成することもできます。会社の用途に合わせて選択してください。
MatrixFlow
MatrixFlowは、AIを作成するためのプログラミング言語や専門知識がなくても利用できる機械学習プラットフォームです。通常、AI構築には技術的なハードルが高く、Pythonやアルゴリズムの理解が必要ですが、MatrixFlowを使用することでノンプログラミングでAIを構築できます。株式会社MatrixFlowが提供するこのプラットフォームは、「データの前処理→AIの構築→サービスへの組み込み」を一元管理でき、売上予測や需要・在庫予測、異常検知、購入顧客予測などの課題を解決します。SNSテキストの分析や採用マッチング最適化、退職リスク予測など、広範な用途が可能です。
MatrixFlowは導入までのサポートが充実しており、製品デモを含む説明会が提供されています。このプラットフォームは独自のAI探索技術やテンプレート、AutoFlow機能を提供し、プログラミングやAIの知識がないユーザーでもマウス操作だけでAIモデルを構築できます。数値・テキスト・画像データを一括で分析し、説明性が高いAIモデルを構築できるため、予測や分類に関する幅広いニーズに対応します。
IBM Watson
IBM WatsonはIBM社が提供するAIのAPIサービスで、プログラミングの知識がなくても利用できる12種類のAPIが提供されています。チャットボット作成や感情分析、翻訳、音声認識などの機能が含まれており、その中でも7種類は無料で利用可能です。Watsonは質問応答システムとして紹介されることがありますが、IBMによれば正確には「拡張機能(Augmented Intelligence)」という枠組みになります。Watsonは大量のデータを学習し、そのデータを基に高度な回答を提供できる特徴があり、その可能性が2011年のクイズ番組「Jeopardy!」での勝利で広く知られました。
IBM Watsonは12のAPIを通じて日常業務のデータをナレッジとして蓄え、業務プロセスを効率化し、付加価値を向上させることが期待されています。Watsonの特徴の1つとして、3層のAIモデルによって効率的に学習できる点が挙げられ、自然言語解析、業界別のデータ活用、企業個別の学習などが組み合わさっています。
Neural Network Console
Neural Network ConsoleはSonyが提供するAI開発ツールです。ドラッグ&ドロップやテキストの入力のみ、プログラミング不要でディープラーニング開発が可能なため、プログラミング初心者でも作りやすいしくみとなっています。無料で使えるWindowsアプリ版と、無料からはじめられ、従量制の課金システムなため必要な分だけ料金が発生するクラウド版があります。画像認識や画像セグメンテーションなど複数のサンプルが用意されているため、作りたいAIと近いサンプルがあればサンプルからはじめることができるのもメリットでしょう。
Azure Machine Learning Studio
Azure Machine Learning Studioは、IT最大手のMicrosoftが一般に提供しているAI作成ツールです。こちらのAI作成ツールには、有料プランと無料プランがあります。機械学習のモデル構築をおこなうことができます。ドラッグ&ドロップでモデルが構築できるため、プログラミングができない方でも利用できます。使用しているパソコンのスペックが低かったとしても、クラウド上で計算をしてくれるので使用可能です。
Google Colaboratory
Google Colaboratoryは、アメリカの大手Google社が提供している開発環境でPythonを無料で実行できます。Googleアカウントを持っている方なら誰でも使用することができます。無料の開発環境なので、初心者の方でも安心して使用できます。また、有料版の「Google Colaboratory Pro」にすれば、高性能のGPUや多くのメモリを優先的に使用することができます。膨大な量のデータを扱ったとしても、クラウド上での処理なので使用しているパソコンに負荷がかかりません。
プログラミング経験者向けAI作成におススメの言語・ライブラリ
AI初心者でもプログラミングを経験している方には、より複雑なタスクをすることが可能なAIを作れます。ここからは、プログラミング経験者に向けて、おすすめの言語やライブラリを紹介します。
Python
Pythonは、AI作成に相性の良いプログラミング言語です。難易度も高くなく、プログラミングを学び始めている方でも比較的使いやすいです。機械学習やディープラーニングに必要なライブラリが揃っているので、新しいサービスやシステムの構築も効率的にできます。使用しやすく世界的にも普及しているため、使い方の情報もインターネット上で共有されています。
JavaScript
JavaScriptは、プログラミング言語の中でも中級者や上級者向けで難易度が高いものの、AIの作成には相性が良い言語でもあります。Webサイトの構築はもちろんのこと、機械学習も覚えさせることができます。自社メディアの構築を主にJavaScriptでおこなっている場合、AI作成もJavaScriptでおこなえばシステムとの相性も良く、トラブル処理なども容易になります。
C++
C++は、AIを早めに作りたい方におすすめの言語です。C++は古くから使われている言語でもあり、情報は沢山あります。AIとの相性もよく、スマートフォンやWeb上のアプリ開発にも使われています。ただし、Pythonに比べると、プログラミング言語としては難易度が高い傾向にあります。しかしC++は未だに需要の高い言語で、速度を求められるAI開発をする場合に適しています。
まとめ
AIを作成するにはデータが重要です。特に大規模なデータかつ整形されているものがAIの性能を最大限引き出せるといえます。自社内でそれだけのデータを用意するのは難しいため、大量で入手しやすいWebデータの活用がおすすめです。それらを整形されたかたちで収集するにはスクレイピングが最適でしょう。
PigDataでは、スクレイピング代行サービスを提供しています。IT弁護士による監修を受けており、スクレイピングに関する法律に遵守しているため、安心してご利用いただけます。また、既存システムとの親和性を保ったままデータを活用できるため、専用の環境構築を必要としません。