
売上を上げるために売上分析に取り組みたいが、どうすればよいか分からないという方は多いのではないでしょうか?
これまでデータ分析に携わったことがない方だと、余計に難しく感じて敬遠してしまうでしょう。
分析を面倒くさく感じて、感覚でマーケティングに取り組んでしまう方もいるかもしれません、
しかしながら、売上分析は売上を伸ばすために無くてはならない、重要な工程なのです。
そこで今回は、売上分析が重要である理由と分析の手順について、詳しく解説します。
合わせて、データ分析に欠かせない手法と、分析に便利なツールもご紹介。
解説したポイントを押さえて、適切な売上分析を行えば、必ずや売上アップに繋がるでしょう。
目次
売上のデータ分析とは?行うべき理由とは?
そもそも売上のデータ分析は、売上データを細分化して現状を把握し、課題や問題点から具体的な目標を設定するために行う方法です。
現状の売上データと目標として掲げていた売上との違いを比較し、なぜこのような違いが生まれてしまったのかを分析します。
では、企業はなぜ売上分析を行わなければならないのでしょうか?
売上分析を行うべきメリットとして、次の理由が考えられます。
- 売れ筋商品の分析
- 購買層の分析
- 販促活動の効果測定
- 具体的な売上目標の設定
いずれも今後売上を伸ばしていくために、必要不可欠な情報であるといえるでしょう。
次にそれぞれのメリットについて、詳しく解説していきます。
どの商品が売れているのかわかる
商品ごとの売上を分析すると、今どの商品が売れていて、どの商品が売れていないのかが分かります。
イタリアの経済学者ヴィルフレド・パレートが提唱した、パレートの法則をご存知でしょうか?
この法則を簡単に説明すると、「分布上において、全体の8割を占めているのは上位の2割である」という経験則です。
商品売上の例に当てはめるならば、「売上高の8割は、2割の売れ筋商品が生み出している」といえるでしょう。
ただし注意点として、パレートの法則はあくまでも経験則であるため、すべてのケースにおいて当てはまるとは限りません。
また、売れ筋ではない商品が全く不要かというと、必ずしもそうとは言い切れないのです。
分析から仮説を立てる際の参考として、パレートの法則を覚えておきましょう。
分析の結果、売れ筋の商品とそれ以外の商品がどれか分かれば、売れ筋商品に集中するといった販売戦略も行えます。
どの顧客がたくさん買っているのかわかる
商品と顧客の関係から売上分析を行うと、現在の市場でどの顧客がどの商品をたくさん買っているのかが分かるでしょう。
例えば、
- どの顧客層にどの商品が売れているのか
- どのような顧客層がよく来店しているのか
といったデータの分析を行えます。
現在の市場ニーズを特定できれば、ニーズにふさわしい有効な対策も打てるでしょう。また、市場ニーズを特定しておけば、新たな販売戦略や新商品を考える際のペルソナの材料にもなります。

広告など販促活動の効果がわかる
店舗ごとに実施した販促活動別に売上分析を行えば、それぞれの店舗における販促活動の効果が客観的に把握可能です。
どのような広告を売った際に、どれだけの効果があったのかが数字で分かるので、効果測定を容易に行えます。
分析を行った結果、あまり効果がないようであれば別の販促活動に切り替えられますし、効果があれば路線を続けていくといった判断もできるでしょう。
商品ごとの売上分析と組み合わせて、売れ筋商品の広告にシフトしていくといった戦略も有効です。
また、売上を伸ばしている店舗の担当者が持つノウハウを把握できれば、多店舗との共有によって全体的な売上アップも目指せます。
適切な売上目標が立てられる
売上の分析を正確に行い、現状と課題をしっかりと捉えることで、適切な売上目標を立てられるようになります。
売上目標を立てる際に、やみくもに「来年度の売上を200%向上」などのように無茶な目標を立てても意味がありません。
前年度と今年度との間における違いを分析し、現状や課題を特定すれば、現実的な目標を立てられるでしょう。
また、現状に基づいた適切な売上目標を立てられれば、営業担当者のモチベーション向上にも繋がります。
現実的なゴールが設定されており、理由が明確になっていれば、仕事に対して満足感を感じられるのです。

売上のデータ分析を成功させる3つのステップ
売上のデータ分析を適切に行うための流れを、次の3ステップに分けてご紹介いたします。
- データ分析の目的を決める
- 目標を達成するためのデータを集める
- データを可視化して分析する
データの分析と聞くと難しそうに感じるかもしれませんが、これらのステップを踏めば適切に分析を行えるでしょう。
手順をしっかりと押さえて、正確に売上のデータを分析するようにしてください。
次にそれぞれのステップについて、詳しく解説していきます。
売上のデータを分析する目的を決める
まずは売上の分析を始めるにあたって、それぞれの部門や個人成績別などで分析する目的を決定しましょう。
分析を始める前に目的が定まっていないと、どこを分析するべきなのか、分からなくなってしまいます。
何のために分析を行うのかという目的を明確にしておけば、分析すべき項目も見えてくるでしょう。
分析する目的として例えば、
- 売れ筋の商品を見つける
- メインターゲット層を特定する
- 実施していた販促活動の効果を測定する
などが挙げられます。
また、目的を決めるだけでなく、現状どのような課題を抱えているのかも把握しておきましょう。
現状抱えている課題を把握しておけば、分析すべきデータの優先順位を付けられます。
決めた目的を達成するためのデータを集める
分析する目的が決まったら、目的を解決するための売上データを集めましょう。
より正確な分析を行うには、売上データの細分化が必要不可欠です。
売上データと一口に言っても、
- 売上を構成する要素(売上高・顧客数など)
- 経費としての固定費(人件費・家賃など)
- 流動費(販促費・消耗品など)
といったように細かく分割できます。
こういった会社内部の情報以外にも、外部マーケティング会社や国などが出している、外部調査データも客観的な情報として有効です。
こういった情報をできるだけ多く集めておけば、的確な分析を行えるでしょう。
集めたデータを可視化して分析する
せっかくデータを集めても、そのままの形では分析できないので、見やすく分析しやすいように加工する必要があります。
データのままだとただの数値でしかないので、そのままで分析するのは大変な労力です。
特にビジネスで使うようなデータであれば、情報は膨大となってしまいます。
しかし、グラフや図表などといった形にデータを加工すれば、集めた情報の価値を素早く理解できるはずです。
データを加工する際には下記でご紹介する、データ分析の手法と適切なツールの使用が欠かせません。
ツールや手法を効果的に使えば、簡単にデータをグラフ化して、目的解決に必要な情報を抽出しやすくなるでしょう。

売上データ分析で外せない7つの手法
売上のデータ分析を行う際に有効な分析手法として、次にあげる7つの手法が代表的です。
- ABC分析
- アソシエーション分析
- 要素分解
- デシル分析
- 重回帰分析
- RFM分析
- クロス集計
売上分析を行う時、ただツールにデータを入れて可視化すればよいというわけではありません。分析する目的に応じて、適切な分析手法を使わなければ、適切な分析結果を導き出せないでしょう。売上分析を行うにあたって、どのような結果を求めているのか、そして結果を得るためにどの手法を選べばよいのかを検討する必要があります。
次にそれぞれの分析手法について詳しく解説しますので、目的に応じて最適な手法を選べるようにしましょう。
1. ABC分析
ABC分析はデータの優先順位を決めて重要度順に並び変えた後グループ化を行い、ランク付けをして管理する手法です。パレートの法則を応用し、「データには必ず偏りがある」という前提で分析を行います。
例えば、売上高という視点で商品を分けた場合、
- Aグループ:売上高がよい商品
- Bグループ:中程度の売上高の商品
- Cグループ:売上高が低い商品
というように3つのグループに分けられます。
売上高が高いグループAに対しては、より売上高を伸ばせるようにフォローを強くするといった施策を打てるでしょう。重要度別にグループで分けられるので、グループの重要度に合わせた施策を検討できるのが特徴です。

2. アソシエーション分析
アソシエーション分析とは購入された商品のデータから、パターンや法則性、関連性を見出す分析手法です。「もしこれを買ったなら」「きっとこれも買うだろう」という商品の関連性を、数値で明確に表せるので、セールス戦略において有効な手法といえます。よく挙げられる例としては、「おむつとビール」が有名でしょう。
あるスーパーのデータで、
- おむつを買ったのは全体の1.6%
- ビールを買ったのは全体の2.3%
- 両方を買ったのは全体の1.3%
という結果が出たとします。
両方買った人は全体の割合から見ると少ないですが、おむつを購入した人の約8割がビールも購入している点から、高い関連性が見て取れます。そこで、おむつとビールを並べて売るという戦略が有効であると考えられるのです。
3. 要素分解
売上を構成する要素を分解し、様々な切り口から因果関係を明らかにしていくというシンプルな手法です。例えば売上を要素分解すると、「売上=客数×客単価×来訪者数」のようになるでしょう。
つまり売上を伸ばすには、
- 客数を増やす
- 客単価を上げる
- 来訪する顧客の回転率を上げる
といった施策が想定されます。売上が減少している場合、どの要素が原因なのかを分析して特定できれば、有効な施策を打てるでしょう。
4. デシル分析
デシル分析とは顧客を購入金額が高い順に並べ、10等分してそれぞれのグループにおけるデータを分析する手法です。
顧客グループごとの比率や構成比が分かれば、それぞれのグループにおける購入金額の分布状況を分析できます。
売上が伸びていない顧客層と、売上高が高い優良顧客層を分類できるので、優良顧客層に集中した対策をするといった施策を立てられるでしょう。
注意点として、デシル分析だけでは顧客行動を深くまで分析できません。
「いつ」「どれくらい」買ったのかといった情報は考慮していないので、より深くまで分析するなら他の手法と組み合わせるとよいでしょう。

5. 重回帰分析
重回帰分析とは1つの結果に対して、関連する他の要因がどれくらい影響を与えているのか、数式の形にして分析する手法です。
重回帰分析の数式は、
- 目的変数(結果(例:売上高))
- 説明変数(要因(例:従業員数・客単価・広告費など))
- 係数(要因が結果に与える影響の大きさの数値)
- 切片・定数項(固定された数値)
で構成されています。
式の算出には様々な方法がありますが、ツールを利用すると簡単です。
重回帰分析を行うと、結果に対してどの要因が大きな影響を与えているのかを特定できるようになります。
また、重回帰分析によって得られた式に数値を当てはめれば、結果の予測も可能です。
6. RFM分析
RFM分析は顧客を購買行動によって、大きく3つのグループに分ける分析手法です。
グループ分けの指標となる購買行動は、
- Recency(直近の購入日)
- Frequency(頻度)
- Monetary(購入金額)
であり、それぞれの頭文字を取ってRFM分析と呼ばれています。
グループごとにランク分けを行い、それぞれの属性に合わせた施策を打てるのが、RFM分析を行うメリットです。
ただし、「何を買ったのか」という情報が考慮されていない点には注意しましょう。

7. クロス集計
クロス集計とは2つあるいは3つのデータをかけ合わせて、分析や集計を行う手法です。
例えば、ある商品の月ごと売上推移を確認したい場合、
- 商品名
- 注文月
- 月別売上高
といったデータを1つの表やグラフにまとめます。
上記3つのデータを可視化してまとめれば、一目で商品の売上の変化が月ごとに分かるでしょう。
売上データを分析する代表的なツール3選
分析手法を効率的に実践するには、ツールの活用が必須といえるでしょう。
売上のデータ分析を行う際に使用されている代表的なツールとして、
- エクセル
- CRM/SFA
- BIツール
が挙げられます。
ツールを使えば入力したデータを自動で整理し、可視化してくれるので分析がしやすいです。それぞれのツールでメリットが異なるので、目的に合っているツールを選びましょう。
次にそれぞれのツールの特徴についてご紹介します。
エクセル
表計算やグラフ作成などで用いられるエクセルですが、売上分析にも役立ちます。
例えばエクセルのピボットテーブルを使えば、好きな項目を選んでの集計や比較を簡単です。また、表内のデータをグラフで可視化すれば、データ分布も分かります。並び替えや関数を利用すれば、ABC分析やデシル分析といった手法の活用もできるでしょう。
エクセルを使う上でのメリットは、売上分析ツールとして簡単に利用できるという点です。ただし、分析専門ツールではないため、膨大なデータ処理には適していません。そのほか、手集計となってしまうので、分析が属人化してしまうリスクもあります。

CRM/SFA
CRA/SFAは顧客情報を管理し、営業活動を支援するためのツールです。CRMはすべての顧客情報をデータベースで管理し、複数の部門で共有できるので、経営をサポートするシステムといえます。
対するSFAは、営業情報を一元管理して、営業のパフォーマンスを組織的に向上させるシステムです。
どちらも同じように顧客情報を取り扱いますが、本来の目的は異なります。
しかし最近では、CRMとSFAが統合された製品も登場しているので、違いがあいまいになってきているのが現状です。
CRM/SFAを売上分析に利用すると、実績に基づいた売上予測や、営業担当の活動やスキルなどの可視化ができるというメリットがあります。
BIツール
BIとはBusiness Intelligenceの略称であり、企業の膨大なデータを分析し経営意思の決定に利用するという意味です。
BIを実現するためのツールがBIツールであり、企業が持つ複数のシステムのデータを自動で抽出し、分析や可視化を行います。
情報の抽出と分析に特化しているので、ビッグデータのような膨大なデータでも加工と分析を可能としています。
さらに、分析した情報をグラフなどのシンプルな形に可視化してレポーティングできるので、適切な戦略を立てやすいです。
無料のBIツールもありますが、企業で運用するならセキュリティリスクを考えて、信頼できる有料のツールを使うとよいでしょう。
売上データの分析なしに売上アップは目指せない
売上のデータ分析を行う際に大切な方法と手法、そして便利なツールについて解説しました。
売上分析と一口に言っても、踏むべきステップと様々な手順があるので、大変に感じるかもしれません。しかし、売上データの正確な分析は今後の売上アップに繋がるので、企業にとって必要不可欠な工程です。分析手法や各種ツールを駆使して、データが可視化された明確な売上分析を行ってみましょう。
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