
企業の成長や新規事業の推進において、補助金の活用は非常に重要な鍵を握ります。一定の条件を満たせば、返済不要で資金繰りを大きく改善できるため、興味をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
ただ、補助金の種類が多いため、自社に適したものを選ぶのは難しい場合があります。そのような場合に、まずは「5大補助金」を検討するとよいでしょう。今回は5大補助金の解説と頻繁に変更される補助金の最新情報を効率よく収集する方法について紹介します。
目次
5大補助金とは
5大補助金とは、政府が特に力を入れている補助金を指します。
- ものづくり補助金
- IT導入補助金
- 小規模事業持続化補助金
- 事業継承・M&A補助金(旧:事業継承・引継ぎ補助金)
- 成長加速化補助金
これらの補助金は支援の対象者が幅広く、補助上限額が大きいため、活用できれば資金繰りを大きく改善できます。もし、適している補助金がわからない場合は、これらを中心に情報を集め、活用できないか調査することから始めてみましょう。
補助金活用のメリット
そもそも、なぜ補助金がおすすめなのか分からない人へ向けて、そのメリットを簡単に解説します。
補助額が大きい
補助金の魅力の一つとして、まとまった資金を確保できる点にあります。特に5大補助金は、上限額が非常に高く設定されており、活用できれば100万円単位での支援が期待できます。申請する補助金の種類やコースによって補助金額は異なりますが、大きな資金援助が期待できます。また、細かく条件が設定され、段階的に補助額が増える助成金も存在するため、資金繰りに貢献してくれる可能性があります。
社会的な信用を獲得できる
補助金に採択された企業は社会的な信用力が高まる点も大きなポイントです。補助金申請は厳密な審査が行われ、公的機関や銀行が納税状況や事業計画の評価し、適正と判断した企業が採択されます。これにより、社会的に信用力のある事業者であることを示してくれるのです。
使い道が柔軟である
補助金は用途が指定されますが、その範囲内であれば、受給者が自由に活用できます。例えば、人材教育に関する補助金であれば、事業者が自由に教育内容を決めて受講させることが可能です。事前に補助金の公募要領を確認し、決められた範囲で自由に受講しましょう。
ただし、補助金を利用したあとは、用途やその証明を提出しなければならないことがあります。適切な利用が見受けられない場合、不正受給として返還命令を受けることになりかねませんので気を付けましょう。
ものづくり補助金

補助金事業者
小規模企業者・小規模事業者
業種 | 従業員数 |
商業・サービス業 | 5人以下 |
サービス業(宿泊業・娯楽業) | 20人以下 |
製造業・その他 | 20人以下 |
中小企業者
業種 | 資本金または従業員数 |
製造業、建設業、運輸業、旅行業、その他 | 資本3億円以下または従業員300人以下 |
卸売業 | 資本1億円以下または従業員100人以下 |
サービス業 | 資本5,000万円以下または従業員100人以下 |
ソフトウェア業・情報処理サービス業資 | 資本3億円以下または従業員300人以下 |
旅館業 | 資本5,000万円以下または従業員200人以下 |
小売業 | 資本5,000万円以下または従業員50人以下 |
補助率と補助上限額
製品・サービス高付加価値化枠
概要 | 革新的な新製品・新サービス開発の取り組みに必要な設備・システム投資等を支援 |
補助上限額 | 5人以下 750万円(850万円)6~20人 1,000万円(1,250万円)21~50人 1,500万円(2,500万円)51人以上 2,500万円(3,500万円) |
補助率 | 中小企業1/2、小規模事業者・企業再生2/3 |
グローバル枠
概要 | 海外事業を実施し、国内の生産性を高める取り組みに必要な設備・システム投資等を支援 |
補助上限額 | 3,000万円 |
補助率 | 中小企業1/2、小規模事業者2/3 |
申請のポイント
ものづくり補助金の申請では、付加価値額の年平均成長率がプラス3.0%以上必要です。また、事業所内最低賃金が都道府県の最低賃金より30円以上高いことが求められます。これらを実現するためには、十分な事業計画を立てなければ途中で頓挫しかねません。そのような企業は、申請しても審査で落ちてしまう可能性が高まるため、現実的に賃上げできる事業計画を策定することがポイントです。
IT導入補助金

補助金事業者
小規模企業者・小規模事業者
業種 | 従業員数 |
商業・サービス業 | 5人以下 |
サービス業(宿泊業・娯楽業) | 20人以下 |
製造業・その他 | 20人以下 |
中小企業者
業種 | 資本金または従業員数 |
製造業、建設業、運輸業、旅行業、その他 | 資本3億円以下または従業員300人以下 |
卸売業 | 資本1億円以下または従業員100人以下 |
サービス業 | 資本5,000万円以下または従業員100人以下 |
ソフトウェア業・情報処理サービス業資 | 資本3億円以下または従業員300人以下 |
旅館業 | 資本5,000万円以下または従業員200人以下 |
小売業 | 資本5,000万円以下または従業員50人以下 |
補助率と補助上限額
通常枠
概要 | 生産性向上に資するITツールを導入するための事業に要する経費の一部を補助 |
補助上限額 | ITツールの業務プロセスが1〜3つ:5万円〜150万円ITツールの業務プロセスが4つ以上:150万円〜450万円 |
補助率 | 中小企業1/2、最低賃⾦近傍の事業者2/3 |
インボイス枠
概要 | インボイス制度への対応を強力に推進するため、「通常枠」よりも補助率を引き上げて優先的に支援する |
補助上限額 | ソフトウェア購入費・導入関連費:~350万円PC・タブレット等:~10万円レジ・券売機:~20万円 |
補助率 | 2/3以内~4/5以内 |
セキュリティ対策推進枠
概要 | 複数の中小企業・小規模事業者等が連携し、ITツールを導入するための事業に要する経費の一部を補助 |
補助上限額 | 基盤導⼊経費と消費動向等分析経費:計3,000万円事務費、専⾨家費:200万円 |
補助率 | 基盤導⼊経費:1/2〜3/4消費動向等分析経費:2/3以内事務費、専⾨家費:2/3以内 |
複数社連携IT導入枠
概要 | 複数の中小企業・小規模事業者等が連携し、ITツールを導入するための事業に要する経費の一部を補助 |
補助上限額 | 基盤導⼊経費と消費動向等分析経費:計3,000万円事務費、専⾨家費:200万円 |
補助率 | 基盤導⼊経費:1/2〜3/4消費動向等分析経費:2/3以内事務費、専⾨家費:2/3以内 |
申請のポイント
申請枠が4種類あり、それぞれ公募要領に大きな違いがあります。適切な枠を選択しなければ、受け取れる補助金の額が減ってしまう可能性があるため注意しましょう。例えば、セキュリティ対策は通常枠でも申請できますが、セキュリティ対策推進枠で申請することで、より多くの補助金を受け取れる可能性があります。
また、IT導入補助金を活用する際は、専門家の支援を仰ぐことをおすすめします。自分たちだけではなく、専門家とともに計画を立ててツールを選定することで、より補助金に採択されやすい事業計画を立てられるようになるのです。
小規模事業持続化補助金

補助金事業者
小規模企業者・小規模事業者
業種 | 従業員数 |
商業・サービス業 | 5人以下 |
サービス業(宿泊業・娯楽業) | 20人以下 |
製造業・その他 | 20人以下 |
補助率と補助上限額
概要 | 小規模事業者等が取り組む販路開拓等の取組の経費の一部を補助 |
補助上限額 | 通常:50万円創業:200万円 |
補助率 | 2/3 |
申請のポイント
こちらの補助金は、小規模事業者のみが申請できるもので、中小企業は申請できません。多くの補助金は中小企業者にも対応しているため、その点は注意しておきましょう。また、この補助金は商工会議所が中心となって運営しているため申請や採択されるまでの段取り、その後の手続きなどが他の補助金とは少し異なる点があります。スムーズに進めるためにも、事前によく確認して申請するようにしてください。
事業継承・M&A補助金(旧:事業継承・引継ぎ補助金)

補助金事業者
小規模企業者・小規模事業者
業種 | 従業員数 |
商業・サービス業 | 5人以下 |
サービス業(宿泊業・娯楽業) | 20人以下 |
製造業・その他 | 20人以下 |
中小企業者
業種 | 資本金または従業員数 |
製造業、建設業、運輸業、旅行業、その他 | 資本3億円以下または従業員300人以下 |
卸売業 | 資本1億円以下または従業員100人以下 |
サービス業 | 資本5,000万円以下または従業員100人以下 |
ソフトウェア業・情報処理サービス業資 | 資本3億円以下または従業員300人以下 |
旅館業 | 資本5,000万円以下または従業員200人以下 |
小売業 | 資本5,000万円以下または従業員50人以下 |
補助率と補助上限額
事業承継促進枠
概要 | 事業承継、事業再編及び事業統合を契機として新たな取組を行う事業等を補助 |
補助上限額 | 800万円~1,000万円 |
補助率 | 中小企業:1/2小規模事業者:2/3 |
専門家活用枠
概要 | 事業承継、事業再編及び事業統合を契機とする事業に向けた専門家の活用費用を補助 |
補助上限額 | 買手支援類型:600万円~800万円、2,000万円売手支援類型:600万円~800万円 |
補助率 | 買手支援類型:1/3〜2/3売手支援類型:1/2〜2/3 |
PMI推進枠
概要 | 新設予定で概要は未公開 |
補助上限額 | PMI専門家活用類型:150万円事業統合投資類型:800万円~1,000万円※ただし予定 |
補助率 | PMI専門家活用類型:1/2事業統合投資類型:1/2〜⅔※ただし予定 |
廃業・再チャレンジ枠
概要 | 事業承継、事業再編及び事業統合を契機として新たな事業等を開始する活動を補助 |
補助上限額 | 150万円 |
補助率 | 1/2〜2/3 |
申請のポイント
事業承継に関わる直接的な費用と専門家を活用する際の費用が補助されます。事業承継やM&Aにはまとまった費用が必要となるため、積極的に補助金を活用するようにしましょう。近年はPMIも重要視されていることから、新しくPMI推進枠が設けられる予定です。事業承継して終わりではなく、その後の活動についても、補助金で賄えるようになる見込みです。
成長加速化補助金

補助金事業者
中小企業基本法に定められる「中小企業」のうち、売上高10億円以上100億円未満で売上高100億円を目指す企業
補助率と補助上限額
概要 | 事業承継、事業再編及び事業統合を契機として新たな事業等を開始する活動を補助 |
補助上限額 | 5億円 |
補助率 | 1/2 |
申請のポイント
最新情報が公開され、補助金の対象事業者が具体的に示されるようになりました。中小企業のうち、売上高10億円以上であることが要件に盛り込まれたため、その点は注意しましょう。現時点でまとまった売上があっても、10億円に届いていない場合は申請できません。逆に10億円以上の売上があるならば、大規模な施設、設備への投資ができるため、大胆な事業計画を作成することをおすすめします。
その他の補助金
その他の補助金についても紹介します。
中堅・中小企業大規模成長投資補助金

中堅・中小企業大規模成長投資補助金は、地域の雇用を支える中堅企業や中小企業向けの補助金です。人手不足などの課題に対応し、成長を目指す大規模な設備投資を促進しています。また、設備投資によって雇用を生み出し、持続的な賃上げを実現することを目的としたものです。補助上限額は50億円、補助率は3分の1以内で投資額10億円以上が対象とされています。
事業再構築補助金

事業再構築補助金はポストコロナ時代の経済社会の変化に対応するために設けられた補助金です。主に中小企業の新分野展開や事業転換、業種転換、そして事業再編など、大胆な事業再構築を支援してくれます。補助額は大きく5種類に分けられ、上限や補助率が異なるため、申請前の確認が重要です。
中小企業省力化投資補助金

中小企業省力化投資補助金は、人手不足に悩む中小企業がIoTやロボットなどの製品を導入するための補助金です。導入により、付加価値の創出や生産性の向上を図り、賃上げに繋げることを目的としています。補助上限額は、従業員数に応じて最大1億円、補助率は最大で3分の2と大きく費用を負担してもらえます。ただし、個別の現場や事業内容に合わせた設備導入やシステム構築が必要となるため、専門家の支援を受けなければなりません。
補助金情報収集の課題
補助金の情報収集には、いくつもの課題があるため、それらについて解説します。
情報が頻繁に更新される
情報収集の大きな課題として、詳細が頻繁に更新されることが挙げられます。特に補助金が公募される前段階では、細かな変更が繰り返されるため注意が必要です。詳細が更新されるたびに、その内容を確認し、申請に影響するかどうかを判断しなければなりません。
情報収集に手間がかかる
補助金の情報は頻繁に更新されるだけでなく、その情報量に大きな違いがあります。例えば、誤字が1ヶ所修正されることもあれば、公募に向けた説明が公開されたり、大きく変更されたりすることもあるのです。
多くの情報が公開された場合は、その内容を理解して、自分たちに影響があるかどうか判断しなければなりません。頻繁に更新されていると、その都度、どれが重要であるか判断する手間が生じてしまいます。公開された内容が多いと、その詳細を評価する作業に手間取ってしまうことが課題なのです。
情報源が複数存在する
情報源が複数存在し、どこを確認すればよいのか判断しづらいことも課題です。例えば、以下の情報源が考えられます。
- 各補助金の公式サイト
- 公的機関のポータルサイト
- 地方自治体の公式サイト
- 民間企業のポータルサイト
さまざまな場所に情報が分散し、これらすべてを確認することが求められます。また、複数の情報源で記載内容に差異が生じることもあり「どれが最新情報であるか」を確認する手間も課題です。
補助金情報を収集する方法
補助金の情報を収集する方法はいくつもあり、例えば以下の通りです。
公的機関の公式サイトを確認する
最も正確で信頼できる情報を収集するには、補助金を提供する公的機関の公式サイトを確認することです。補助金の公募内容の詳細や変更、過去に公募された補助金の状況なども示されるため、多角的に情報を収集できます。
ただし、補助金ごとに公式サイトが存在するため、申請したい補助金が多い場合は負担も大きくなります。
ポータルサイトを活用する
経済産業省や中小企業庁が管理する補助金のポータルサイト「ミラサポPlus(ミラサポ+)」を活用する方法もあります。こちらを確認すれば、中小企業向けの補助金について幅広く情報収集が可能です。また、公的機関が提供するポータルサイト以外にも、民間企業が提供するポータルサイトがあります。
ただし、ポータルサイトといえども、日本の補助金すべてを網羅しているとは限らない点には注意しましょう。抜け漏れの可能性もあるため、複数の情報源を活用するのが理想的です。
スクレイピングを活用する
スクレイピングを活用して、補助金の情報を効率的に収集することができます。スクレイピングは、Webサイトの情報を事前に指定したルールに沿って機械的に収集する技術です。スクレピングを活用することで、収集したいサイトから自動的に収集を行い、活用しやすい形にデータを整形することができます。これにより、補助金情報の収集と活用を迅速に行うことができます。
ただし、スクレイピングを行うには、エンジニアの知識が必要なことやスクレイピングを禁止とするサイトもあるため注意が必要です。
自動化ツールを活用する
補助金情報の更新を知らせる自動化ツールを導入することで、情報収集を効率的に行うことができます。例えば、Webサイト更新チェックツール「TOWA」などが該当します。事前にURLを登録しておくことで、対象となるWebサイトを定期的に監視し、変更があった際に通知してくれます。変更があった場合のみ確認を行えば良いので作業負担を大幅に削減できます。また、更新されたページの変更前と変更後を比較して表示できるため、補助金情報の細かな変更にも気づきやすくなります。
自動化ツール「TOWA」で補助金情報収集を効率化
TOWAは、事前に設定しておくことで、ウェブサイトの更新を自動的にチェックできるツールです。TOWAを活用することで、業務の効率化やDX推進を促進することができます。
使い方は簡単で、監視したいWebサイトのURLをTOWAに登録するだけです。定期的にWebサイトへアクセスし、更新された場合は、情報の差分検知と担当者への通知ができます。対象のWebサイトは国内サイト、海外サイト、どちらも可能であり、URLさえ明確であれば、情報収集が可能です。
また、TOWAはIT導入補助金の対象ツールです。データ収集の専門家が導入から業務効率化まで一貫してサポートします。
情報を素早くキャッチできる
TOWAは、24時間自動でWebサイトの更新状況をチェックできるツールです。使い方は情報収集したいWebサイトのURLを登録するだけでシンプルなため、デジタルツールに慣れていない方でも簡単に層さができます。Webサイトに変更が生じた際には、その内容を素早くキャッチできます。また、Webサイトは国内外のサイトにわたり、最大で25,000URL登録することも可能です。
変更があったサイトを通知してくれる
TOWAには多くのURLを登録できますが、それらの中でも変更があったもののみ通知が実施されます。また、通知先は事前に細かく設定することが可能です。そのため、必要な情報を必要な人にだけ届けられます。
変更箇所が一目でわかる
Webサイトの変更を検知できるだけでなく、変更箇所を可視化表示する機能も備わっています。変更された箇所の前後を強調表示されるため、軽微な変更でも一目で把握することが可能です。補助金においては、非常に細かい部分が変更されることが多いですが、TOWAならばそのような変更も見逃しません。
まとめ
補助金は情報の更新量が多く、5大補助金の情報だけでも手作業では労力がかかります。そのため、ツールなどを利用して、可能な限り効率化することが重要です。
今回紹介したTOWAなら、情報が更新されているかどうかを機械的に監視し、更新された場合のみ通知を受け取ります。手作業で確認する手間がなくなるため、情報収集の効率化が可能です。また、25,000URLを登録できるため、5大補助金のみならず、全国の市区町村が提供する細かな補助金情報についても収集が可能です。業務効率化だけではなく、より多くの補助金情報を得られることで、事業の発展にも寄与してくれるでしょう。
また、Web上のデータを収集できるスクレイピングと呼ばれる技術を利用すれば、補助金情報のデータ収集と活用を迅速に行うことができます。適切な活用方法に合わせて情報収集手段を選ぶとよいでしょう。