
ビジネスにおける意思決定プロセスを改善して、確実に成果を出せるようにしたいと考えている方はいませんか?現代の変化が激しいビジネス環境では、適切な意思決定を迅速に下せるように、プロセスを見直す必要があります。ビジネスにおける意思決定は、企業の収益に直結していることも多いため、収益を向上させるためには意思決定に至るためのプロセスが重要なのです。しかし、意思決定のプロセスを皆瀬するために、どこから手を付ければよいか分からない方も多いでしょう。
そこでこの記事では、意思決定プロセスに必要となる7つのステップと、重要なポイントについて解説します。この記事を読めば、成果を出せる意思決定プロセスに改善するために、必要な手段が分かるようになりますよ。
ビジネス上での意思決定プロセスとは
ビジネス上における意思決定プロセスとは、企業が抱えている問題を解決するために踏む、エビデンスの検討や代替案の精査といった段階的なプロセスです。現在のビジネス環境はITの急激な成長によって激しく変化しており、これまでの常識があっという間に過去になってしまうので、正しい判断を迅速に下さなければなりません。正しい意思決定ができなかったり、意思決定までに時間がかかりすぎてしまった場合、企業が受ける損失はますます増大していくでしょう。損失を抑えて成功に繋げていくためには、意思決定にいたるまでのプロセスを見直す工程が大切です。意思決定のプロセスを整えておけば、行った意思決定が適正なものだったかどうか、最終的に見直せるようになります。
成果が出せる意思決定プロセスの7ステップ
よりよい成果を出せる意思決定を下すためのプロセスとして、次のような7段階のステップが一般的に採用されています。
- ゴールの特定
- 情報の収集
- 解決策の立案
- エビデンスの検討
- 適切な選択
- 行動
- 見直し
より的確な意思決定を下すために、ご紹介する意思決定のプロセスを用いて、自社の意思決定に至る過程を改善していくとよいでしょう。意思決定までのプロセスをしっかりと決めておけば、あいまいな意思決定を避けて、情報に裏打ちされた決断を下せるようになるはずです。
次に、意思決定プロセスにおけるそれぞれのステップについて解説します。
1. ゴールを明確にする
まず初めに、意思決定によって解決したい問題や目指している目標はなにかというように、決断のゴールを明確にしましょう。
解決すべき問題を取り違えていたり、問題の範囲を広げすぎてしまうと、その後の意思決定プロセスが乱れてしまいます。特定の目標達成を目指している場合には、プロセスが完了した後に目標が達成が分かるように、タイムリーで測定可能な目標を設定するようにしましょう。
また、チームでの意思決定プロセスの場合、解決すべき問題の捉え方を狭めすぎてしまわないにするのも大切です。問題の枠組みが決まりすぎていると、ディスカッションが始まる前からチームメンバーに結論を予想されてしまい、意思決定の質が下がってしまいます。チームでに意思決定プロセスを改善するには、問題を明らかにすると同時に、広く解決策が出るように設定しましょう。
2. 必要な情報を集める
決断を下す問題や目標を明確にしたら、意思決定をするために必要となる情報を収集します。
企業の現在の状況を明らかにするために、社内の部門評価を行い、成功した点と失敗した点を洗い出しながら情報を集めていきましょう。
また、市場調査や外部コンサルタントからの評価などを行い、外部からの情報も集めていくのも大切です。例えば、ある商品の売上を改善するのが課題である場合、商品のこれまでの売上データや市場における商品の需要などといった情報を収集するとよいでしょう。
ただし、情報を収集しすぎると逆にプロセスが複雑になってしまい、身動きが取り辛くなってしまいます。意思決定を迅速に行うためには、役に立ちそうな情報に絞っておくという判断も大切です。
3. 解決策を立案する
意思決定に必要な情報が出揃ったなら、問題の解決や目標を達成するための解決策を立案していきます。
通常、問題の解決や目標の達成のために、解決策は複数考えられるでしょう。例えば、ソーシャルメディアへ訪れる顧客数の増加を目指すなら、有料のソーシャル広告を用いるなどの手段が考えられます。1つの効果的な方法を選択するのか、あるいはアイデアを組み合わせるのかなど、いくつかの解決策を選択肢として検討しましょう。選択肢を3つ以上用意しておけば、意思決定の品質も向上するようになります。
4. データやエビデンスと照らし合わせる
複数の案を立案できたら、それぞれの案が適切なものであるかどうか、データやエビデンスと照らし合わせて検討しましょう。
会社経営は様々な利害関係が複雑に絡み合っているため、単一的な視点や近視眼的な視点で物事を判断してしまうと、誤った意思決定をしがちです。1つの解決策に対して、複数の視点や立場から相対比較を行えば、検討している解決案への理解度が深まっていきます。
例えば、ある商品の売上を上げたい場合に商品単価を引き上げれば1商品あたりの儲けは増えますが、商品が売れる数は減ってしまうことが懸念されます。反対に価格を引き下げれば商品は多く売れるようになりますが、一度値段を下げてしまえば元の値段に戻しにくくなってしまいます。
それぞれの案におけるメリットやデメリットを検討すれば、正しい意思決定を下すために必要な論理的証拠が充実していくでしょう。
5. 複数の選択肢の中から適切なものを選ぶ
それぞれの案に対する検討を十分に行った後は、問題の解決や目標の達成に向けて、最も適切であると考えられる案を選択しましょう。
これまでに収集した情報や、それぞれの案が持っているメリットやデメリットを整理すれば、適切な判断を下せるようになっているはずです。判断を下す際に注意すべき点として、相対比較によって挙げられた2つの側面に優劣を付ける際に、数の多寡や多数決で決めてはいけません。例え少数の意見であっても、意思決定に重要な影響を及ぼしかねない場合には、客観性や公平性などの複数の視点から判断を行うべきでしょう。
また、適切な選択を行う際には、決定木や決定マトリクスを用いるのも有効な手段です。それぞれのツールを用いれば、明確な基準を基に判断を行えるので、スピーディかつ納得できる選択が可能となります。
6. 実際に行動に移す
数ある解決策の中から適切な意思決定を行ったなら、いよいよ行動に移りましょう。
決定した解決策に向けて、実行できる具体的なプロジェクト計画を策定していきます。プロジェクトをいくつかのタスクに落とし込み、タスクごとの役割を関係者1人1人に割り当てて、プロジェクトを実行していきましょう。
役割とタスクは表などの書き込んで視覚的に分かりやすくすると、誰がどの仕事を行っているのか一目で分かるので、スムーズにプロジェクトが進行していきます。
7. より良い意思決定ができないか見直す
プロジェクトの完了、あるいは一定の期間が経過した後に、行った意思決定が適切であったかどうか見直しましょう。
意思決定プロセスで明確にした問題が解決したか、目標が達成できたかを見直し、今後に活かしていかなければなりません。もし達成できていたのなら、今後の参考のために、どのような点が上手くいったのかを書き出しておきましょう。達成できていなかったとしても、同じ失敗を繰り返してしまわないように、何が問題であったのかを振り返っておくのが大切です。
意思決定プロセスのサイクルを繰り返していけば、意思決定にいたるスピードや精度が向上していくでしょう。
意思決定のプロセスをよくする5つのポイント
意思決定のプロセスを改善するために、次の5つのポイントを意識するとよいでしょう。
- 解決策より先に問題を明確にする
- 互いに異なる意見を持つ
- 意見が一致しない事を考慮する
- 現実的な意思決定を行う
- 細かい決定に時間をかけすぎない
決定に至るまでの条件は企業によって異なりますし、どのような状況でも完璧な決定を下すための方式というものはありません。しかし、次にご紹介するポイントを抑えれば、意思決定のプロセスを改善していけるきっかけとなるでしょう。
1. 解決策よりも前にまずは問題を明確にする
ディスカッションで解決策を考えるよりも前に、まずは問題や目標を明確にするところから始めましょう。意思決定プロセスのステップで解説したように、問題や目標が明確になっていないと、立案される解決策の方向性もぶれてしまいます。
逆に問題や目標を絞りすぎてしまっても、提案される解決策の質が低下してしまいます。問題を明確にすると同時に、立案される解決策が絞られすぎないようにするのが大切です。特定の提案に誘導するのではなく、複数の解決策が出るように促せば、意思決定の質が向上していきます。
2. 同調ばかりせず互いに批判的な意見を持つ
チームで解決策を立案していく際には、メンバーが互いに異なる意見を持つように促しましょう。
人間は互いの意見に同意したがる傾向にあるため、最初に提示された解決策が1番よいものでなくても選ばれやすいです。集団思考型の会議になってしまわないように、メンバーに対して提示された解決策の理解を深められる質問などを仕向けるようにしましょう。
また、会議に参加したメンバー全員が気軽に意見を出せるように、役割や経験に関係なく平等に評価できるルールを設定するのも大切です。
例えば、
- 事前に全てのメンバーが互いのアイデアを共有しておく
- 立場が上のメンバーは最後に話す
などといったルールを決めていけば、全員が気軽に意見を出しやすくなるでしょう。
3. 全員の意見が一致することはないことを考慮する
会議において全員の意見が一致することはないと考え、最終的な決定を意思決定者が行うようにしましょう。会議に参加しているメンバー全員から解決策に対して合意を得るのは、誤った決定をしてしまうリスクを減らせる一方で、多くの時間がかかってしまいます。意思決定が遅くなりすぎてしまうと、せっかくのチャンスを逃してしまいかねません。
意思決定者が最終的な決断を行うようにすれば、より多くのアイデアを実行に移しやすくなります。意思決定者が決断を行う際には、反対意見も評価した上でチェックリストなどを活用することで、メンバーが決定内容に納得しやすくなるでしょう。
4. 実現可能な意思決定を行う
意思決定プロセスによって実行されたプロジェクトの失敗を防げるように、締め切りを守れる実現可能な目標を設定しましょう。
プロジェクトを進める際に必要な時間と人員を少なく見積もってしまうと、チームのモチベーションが下がってしまいます。トラブルによるプロジェクトの失敗を避けるために、似ているプロジェクトにかかった時間を参考に、実現可能な目標を設定するのが大切です。
似ているプロジェクトがない場合は、最良のシナリオと最悪のシナリオの2つを想定して、実際の結果は中間あたりにあると考えましょう。
5. 詳細な意思決定に時間を使いすぎない
意思決定の際に、全ての決定を詳細に検討する必要はありません。
AmazonのCEOであるジェフ・ベゾス氏によると、決定は2つの種類に分けられます。
- タイプ1:後には引き返せない決定
- タイプ2:やり直しが効く決定
タイプ1の決定は慎重に検討すべきですが、タイプ2は素早く決定するべきであると主張しているのです。仮にタイプ2の決定で失敗してしまったとしても簡単に立ち返れるので、失敗から学べば新しい知識や経験を学べます。慎重に検討すべき事案と、素早く決定を下すべき事案を見極められれば、時間と人員を効率的に運用できるようになるでしょう。
成果の出る意思決定のためにデータ分析を行おう
意思決定のプロセスで成果を出すために、必要なステップとポイントをご紹介しました。意思決定プロセスにおいて、効果的な解決策の立案や適切な選択を行うには、正確なデータを集めることとデータ分析が欠かせません。正確なデータ分析を行うには、tableauなどといったツールを活用したり、データの専門家に相談するのがよいでしょう。
正確に分析したデータを使って、成果が出る意思決定プロセスの改善に取り組んでみてください。