
「データサイエンス」という言葉をご存知でしょうか?国内でも年々注目が集まっているデータサイエンスですが、その力を最大限活用できている企業はまだごく少数。逆に言えば、今データサイエンスを導入・活用すれば、競合他社から一歩抜きん出た存在になれるということです。
この記事では、そんなデータサイエンスについて、
- データサイエンスの基本
- データサイエンスがビジネスに与える影響
- データサイエンスの実施方法
- データサイエンスの成功ポイント
を分かりやすく解説しています。
データサイエンスについて知りたい方や、自社で取り入れた場合の影響などを知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
データサイエンスとは
データサイエンス(英: data science、略称: DS)またはデータ科学とは、データを用いて新たな科学的および社会に有益な知見を引き出そうとするアプローチのことであり、その中でデータを扱う手法である情報科学、統計学、アルゴリズムなどを横断的に扱う。
引用:データサイエンス-Wikipedia
さまざまなデータを駆使して合理的な判断を導き出す「データサイエンス」。
早い段階からデータサイエンス教育に力を入れていた諸外国には一歩劣るものの、近年では大学におけるデータサイエンス学部の新設が相次いでおり、日本国内でもその必要性が高まりつつある注目の分野です。

データサイエンスとデータ分析の違い
データサイエンスと似た言葉に「データ分析(データアナリティクス)」があります。
両者は、
- 課題解決に向けて、必要なデータを収集・加工・分析する
- 分析結果をもとに、課題解決策の立案・提案をする
を主な役割とするという点で似ていますが、データ分析が「データの収集・分析」部分に軸足を置いているのに対し、データサイエンスは「データ収集の前段階(現状課題の洗い出しやデータ収集方法の策定など)」から深く関わるという点で異なっています。
つまり、データサイエンスの方がより担当領域が広く、コンサルティングや事業企画部門にも似た役割を求められる「重要度の高い分野」であると言えます。
データサイエンスが広まった背景
データサイエンスの重要性が叫ばれるようになった背景には、デジタルテクノロジーの発達が挙げられます。
インターネットを始めとするデジタルテクノロジーが日常に浸透したことで、消費者のさまざまな行動が「ビッグデータ」としてネット上に蓄積されるようになりました。このビッグデータにはビジネスに活かせる有益な情報がたくさん詰まっており、今や、ビッグデータの利活用は「マーケティングにおいて欠かせない重要業務」のひとつといっても過言ではありません。
そうした背景から、データ分析を突き詰めた「データサイエンス」に注目が集まり、その重要性が叫ばれるようになったのです。
データサイエンスがビジネスに与える影響
データサイエンスをビジネスに取り入れると、以下のメリットを得ることができます。
- データを元にしたマーケティング分析が可能になる
- データを元にしたファクトベースでの戦略立案が可能になる
- データを元にした仕事の効率化・省力化が可能になる
それぞれについて深堀りしていきましょう。

データを元にしたマーケティング分析が可能になる
マーケティング施策をより良いものにしていくためには、ただ施策を実施して終わりではなく、実施後の振り返りが重要です。
====================================================
施策が期待通りの成果に繋がったのかどうか。
繋がった/繋がらなかったのであれば、その原因は何か。
どうすれば、次の施策をもっと効率的に進められるようになるのか。
====================================================
こうした振り返りと仮説立て、次回施策への対策による「PDCAサイクルの構築」こそが、マーケティング施策のブラッシュアップに欠かせません。
この振り返りをより合理的かつ充実したものにしてくれるものこそが「データの分析」であり、データサイエンスなのです。
データを元にしたファクトベースでの戦略立案が可能になる
「ファクトベース」とは、「事実(数値やデータ)に基づいた」という意味の言葉で、世界的に有名なコンサルティング会社・マッキンゼーで提唱された思考方法です。ファクトベースによる思考や戦略には論理性があり、強い説得力を持っています。
実際に例を見てみましょう。
自社に比べて、どうやら競合の顧客単価のほうが160%も高いらしいことが分かりました。その理由を、AさんとBさんの二人が以下のように分析しました。
Bさん「自社のメイン顧客が10代後半であるのに対し、競合は20~30代が過半数を占めている。競合のメイン顧客の方が経済力があるため、顧客単価が高くなっているのではないか」
どちらの分析により説得力を感じるでしょうか?おそらく、多くの人がBさんと答えるのではないでしょうか。それは、Bさんの分析が「ファクトベース」によるものだからです。Aさんの分析も、完全な的外れというわけではないでしょう。しかし、ファクトベースを取り入れたBさんの分析のほうが、より論理性が高く、説得力が強いのも事実です。
データサイエンスを用いれば、こうしたファクトベースによる分析が可能になるため、社内での合意を得やすく、高い成果に繋がる戦略立案ができるのです。
データを元にした仕事の効率化・省力化が可能になる
データを有効活用すれば、仮説立てや効果検証などが驚くほどスムーズになります。また、これまではアナログで作業していたデータ入力や紐付け作業が必要なくなったり、顧客管理の負荷を大きく軽減することもできます。
一度プログラムを組めば自動でデータを収集することもできますので、データサイエンスを導入することによって、大幅な仕事の効率化・省力化が可能になります。
データサイエンスの実施方法
続いて、データサイエンスを実施する際のステップを見ていきましょう。
以下の4ステップが基本の形となります。
- データサイエンスを行う目的の明確化
- データの収集および整理
- データの分析
- データから見えた課題・対策の明確化
データサイエンスを行う目的の明確化
まずは、何のためにデータサイエンスを行うのか、その理由を明確化しましょう。
========================================
どんなデータを収集したいのか。
どんなデータを分析したいのか。
そのデータをどんな領域でどう活用したいのか。
========================================
データサイエンスを行う目的だけでなく、収集したデータの形式や保存場所、収集頻度などもまとめておくと、その後のステップをスムーズに進めることができますよ。

データの収集および整理
続いて、実際にデータを収集・整理していきましょう。
社内にデータサイエンティストがいれば、データ収集のためにプログラムを組んでもらうことができるでしょう。しかし、まだまだデータサイエンティストは貴重な人材であり、どの企業にも必ず所属しているとは限りません。
そんな時に役立つのが、スクレイピングサービスです。
世の中には、さまざまなデータを収集してくれるスクレイピングサービスが存在します。人の手では到底集めきれないビッグデータを、24時間365日、自動で収集してくれる便利なサービスもあります。
ビッグデータを収集してくれるスクレイピングサービスの中には、データの収集だけでなく、目的に応じた形に整理して抽出してくれるサービスもあります。
ただ収集しただけの雑然としたデータでは分析効率も悪くなるので、整理まで対応してくれるサービスを選ぶことをおすすめします。
データの分析データサイエンスの肝というべき部分が、この「分析」です。
データは、収集・整理した時点ではただの「データ」に過ぎません。
そこから何を読み取り、どう解釈するかが、データサイエンスにおける最大のポイントとなります。データを正しく分析するには、豊富な知識と経験が求められます。とりわけ、幅広い種類・形式のデータが含まれるビッグデータの分析は難易度が高く、優れたデータサイエンティストの力が必要となります。
ビッグデータ収集サービスの中には、AIによる自動分析や、プロのデータサイエンティストによる個別分析サービスを備えたものもあります。
データサイエンティストによる分析からは、自社にとって有益な情報はもちろん、「データの見方・読み解き方」という極めて重要な学びを得ることも可能です。
「データサイエンスには興味があるけど、どうやってデータを分析すればいいか分からない……」
そんな方は、ぜひ、データサイエンティストによる分析も任せられるサービスをご活用ください。データサイエンティストがどのようにデータを見ているか、読み解いているかを学ぶことで、データ分析力を効率的に磨くことができますよ。

データから見えた課題・対策の明確化
データの分析結果が出たら、それを元に課題と対策を明らかにしましょう。今回収集したデータからは、どんな課題が見えてきたのか。この結果を次回に活かすためには、どんな対策が必要なのか。
たとえば、ある化粧品会社が、SNS上のビッグデータを分析したことによって、
- 30代をメインターゲットに据えていたが、20代が多く言及していることが分かった
- クチコミは概ね高評価だが、低評価なクチコミには「価格」「コスパ」などの文言が目立った
- 意外と40~50代からのクチコミも多く、娘と一緒に利用していることが分かった
などの分析結果を得たとします。
この場合の課題と対策としては、以下のようなものが考えられます。
課題
- 想定していたターゲットと実際のターゲット層に乖離がある
- 実際のメインターゲットである20代にとっては価格がネックになっている
対策
- 20代でも無理なく継続利用できるような価格帯に再設定する
- プロモーションの手法や見せ方を20代向けにシフトチェンジする
- 隠れたターゲットである40~50代向けに「アンチエイジング訴求」なども取り入れる
ここまで落とし込めば、商品企画やマーケティングにも展開していくことができるでしょう。
データサイエンスを成功させる4つのポイント
最後に、データサイエンスを成功させるためのポイントをご紹介します。
重要なのは、以下の4つです。
- データの収集分析ができる環境を整えておく
- データの整理方法(形式)を統一しておく
- データサイエンスの意義を社内共有しておく
- データの収集から分析まで一気通貫で対応してくれるサービスを選ぶ

データの収集分析ができる環境を整えておく
データサイエンスは、一度行って終わりというわけではありません。継続してデータを収集分析し、その推移や変動によって現状を評価するためにも、定期的・継続的にデータを収集分析できる環境を整えておくことが重要です。
定期的・継続的にデータを収集分析するためには、
- データサイエンティストなどの専門家にプログラミングを組んでもらう
- 定期的・継続的にデータを収集分析してくれるサービスを利用する
のどちらかが必要となります。
データの整理方法(形式)を統一しておく
収集したデータをどのように整理し、保管しておくかも決めておきましょう。
データの形式や保管場所がバラバラであれば、せっかく定期的・継続的にデータを収集分析していたとしても、過去と現在をうまく比較することができません。データとは長い付き合いになることが予測されますので、いつでも適切に活用できるよう、整理方法などを統一しておくようにしましょう。
データサイエンスの意義を社内共有しておく
データサイエンスの目的やその活用方法、それによって得られるであろう恩恵といった「意義」は、事前に社内共有しておきましょう。
あなたがデータサイエンスを駆使して有益な情報を提示したとしても、組織がデータサイエンスの意義を理解していなければ、その情報を正しく受け入れてくれないかもしれません。もっとデータサイエンスを利活用していきたいと考えているのに、人材育成やスクレイピングサービス利用の許可がおりないかもしれません。
データサイエンスの効果を最大限発揮するためには、周囲の理解が欠かせないのです。
データの収集から分析まで一気通貫で対応してくれるサービスを選ぶ
「データサイエンスの実施方法」でも触れたとおり、「データ分析」はデータサイエンスの肝ともいうべき部分です。いくら有益な情報が詰まったデータであっても、データから情報を正しく読み取れなければ意味がないためです。
社内にデータ分析の知見が十分蓄積されていれば問題ありませんが、そうでない場合には、データ収集から分析まで対応しているビッグデータ収集サービスを利用することをおすすめします。
まとめ
今回は、これからのマーケティングに決して欠かすことのできない「データサイエンス」について解説しました。
アメリカを始めとする諸外国では、早くからその重要性が認められているデータサイエンス。まだまだ人材と経験の乏しい日本国内において、競合他社に一歩の差をつけるべく、ぜひデータサイエンスの積極的な導入をご検討ください。