
データ収集の方法として「Webクリッピング」が注目を集めています。以前からある手法ですが、現在のデータ活用の重要性を背景に改めて脚光を浴びています。皆さんも、Webクリッピングに興味があり、業務効率化などに活かしたいと考えている方が多いのではないでしょうか。
しかし、具体的にどのような方法であり、業務にどのようなメリットを与えてくれるのかイメージができていないかもしれません。また、どのツールを選定すれば良いかも悩んでいるでしょう。今回はWebクリッピングの知識から、サービスを比較するポイントと具体的な選び方まで紹介します。
目次
Webクリッピングとは
Webクリッピングとは、Webページやオンラインの情報を必要な形式で切り取り、保存や整理する技術を指します。Webブラウザの拡張機能や専門ツールを用いて、Webサイトの全文や特定の画像を保存し、オフラインで利用することが可能です。また、ツールによっては注釈などを付与できるため、データを保存するだけではなく、管理することにも役立てられます。
現在は、複数のデバイス間で保存したデータを共有・同期できるツールが登場しています。以前は個人のデバイスに保存することが多くありましたが、現在はクラウド化が進み、共有・同期が容易にできます。必要な用途に応じてWebクリッピングのツールを選ぶとよいでしょう。
Webクリッピングでできること
Webクリッピングでできることは、採用するツールによって少々異なりますが、代表的なものを紹介します。
ページのオフライン保存
Webクリッピングは、Webページ全体や含まれている画像、ファイルなどをオフライン環境で閲覧できるように保存できます。ストレージに保存しておくことで、インターネットに接続できない状況でも資料として活用できることやWebサイトへアクセスする手間を省くことで業務を効率化します。
ただし、クラウドサービスとして提供されている一部のWebクリッピングツールは、インターネット環境下でしかデータを確認できないので注意しておきましょう。
注釈やメモなどの追加
Webページを保存するだけではなく、注釈やメモなどを追加できます。保存したページ全体や画像、添付ファイルなどに様々な情報を付加できるため、自由な使い方ができます。例えば、補足情報として注釈を入力することで、情報の整理ができます。また、プロジェクト名等を決めることで、情報管理を行いやすくします。注釈やメモの性能は利用するWebクリッピングツールにより変化します。重視する場合は、事前にその内容を確認しておきましょう。
データの抽出や整理
Webクリッピングには、Webページに含まれているデータの抽出や整理をする機能があります。この機能を活用することで情報の整理や管理が容易にできます。例えば、Webページから画像データだけを抽出し、データに連番を付与することが可能です。また、文章だけを抽出して、キーワードを整理することもできます。抽出できる対象や整理の機能性は、Webクリッピングツールの利便性を大きく左右する部分
Webクリッピングのメリット
Webクリッピングを活用することによるメリットを解説します。
収集データが業務効率化やDX推進に繋げられる
Webクリッピングの活用により、大量のデータを効率的に収集し、業務効率化やDX推進に貢献できる点やデータに基づいた意思決定ができる点がメリットです。例えば、Webクリッピングツールで競合他社の情報を定期的に収集し、これを基にデータドリブンなマーケティング戦略を策定することが可能です。また、Webクリッピングツールに保存しておくことで、何度もWebサイトを訪問する手間が省け、業務効率化や意思決定のスピードアップに繋げられるでしょう。
情報を蓄積し独自のビッグデータを作成できる
長期間にわたって社内にデータを蓄積し続ければ、自社独自のビッグデータを形成できます。本来はビッグデータを購入したり、専用のツールで収集したりしますが、Webクリッピングすることで流用が可能です。例えば、口コミサイトで自社や競合他社の製品の情報をクリッピングすることで、独自のビッグデータが完成するでしょう。これにより、商品開発やマーケティングに活かせられ、競合との差別化や売上増加につなげられるでしょう。
注意点は、ビッグデータとして扱うためには、一定数のクリッピングデータが必要です。データを収集し蓄積する過程では、手間や時間がかかるかもしれません。
データ分析で新たなビジネスインサイトを得られる
Webクリッピングで収集したデータを分析することで、市場動向や顧客ニーズを可視化し、新たなビジネスインサイトを得ることが可能です。例えば、複数のニュースサイトやSNS投稿を集約してテキストマイニングを実施すれば、トレンドや顧客の潜在的なニーズを見いだせます。また、蓄積したデータを時系列で追跡し、キーワードの出現頻度や変化を分析することで、需要の予測や新規市場の発見ができるはずです。
Webクリッピングサービス比較のポイント
Webクリッピングサービスやツールは様々なものが存在します。これらのうちどのように選択すればよいのか、比較する際のポイントを解説します。
調査対応媒体(メディア)の種類
どのようなメディアを調査対象とできるか、その種類を比較することが重要です。対応しているメディアの種類が多いほど、データ収集の過程で必要な情報の確保ができます。
また、サービスによっては、Webサイトの文章だけでなく、画像やPDFファイルなど添付されている資料も保存できるサービスもあります。一般的には保存できる形式の種類が多いほど利便性が高いため、比較して対応数が多いものを選びましょう。
サービス費用
Webクリッピングサービスの費用は大きく「無料」と「有料」に分類できます。予算や機能を考慮して最適なサービスを選ぶことが重要です。一般的には、有料のサービスは高機能で優れています。そのため、ビジネスで多くのデータを収集したいならば、有料のものを中心に比較してみると良いでしょう。また、基本無料ではあるものの、一部機能は有料というサービスもあるので注意しましょう。
どの機能が必要であるかを始めに検討しておくことで、サービスが選定しやすくなります。
調査前後の支援範囲
サービスを効果的に活用するためには、データ収集後のサポートについても比較しておくとよいでしょう。例えば、データ収集業務を効率化するために、サービスのカスタマイズ対応や、円滑な分析に向けて加工処理などのサポートがあります。自社のリソースなどに応じ、導入時のポイントとして確認するのもよいでしょう。
目的別Webクリッピングサービスの選び方
Webクリッピングサービスはいくつも存在するため、要望に沿って適切なものを選ぶことが重要です。事前に用途を明確にして、最適な機能を持つWebクリッピングツールやサービスを選択しましょう。
最新のニュースを集めたい場合
最新のニュースを集めたい場合は、大量のニュース発信サイトから、頻繁に最新の情報を得られるツールがおすすめです。
Feedly

Feedlyは、RSSリーダーの代表格で、ブログやニュースサイトを登録しておくことで、新着記事を一覧表示できます。カテゴリ分けやキーワード検索にも対応していて、大量のWebサイトから効率的に情報収集できることが特徴です。また、Webブラウザ拡張機能やモバイルアプリもあり、どこからでもチェックできるようになっています。無料で利用できますが、有料プランではAIによるフィルタリング機能などが利用可能です。
Inoreader

Inoreaderは、ブログやニュースサイトを登録しておき、新着記事を効率よく管理できる人気のRSSリーダーです。Feedlyより細かいフィルタリングができる点が特徴です。特定のキーワードが入っている記事だけを抽出できる機能などがあります。Inoreaderは、無料プランでもEvernoteやPocketなど、他サービスとの連携が豊富であり、多くの機能が利用できることが魅力です。
リサーチや学習で情報を体系的に保存・整理したい場合
リサーチや学習など、情報を体系的に保存したいと考えるならば、データベース機能なども有したWebクリッピングサービスがおすすめです。
Notion Web Clipper

Notion Web Clipperは、「Notion」に直接Webページを取り込んでブロック化できる公式クリッパーです。Webブラウザに組み込むことで、簡単にNotionへWebクリッピングの結果を保存できるようになります。保存先のデータベースやページを自由に指定でき、後からドラッグ&ドロップで整理が可能です。
また、他のドキュメントやタスク管理と一元化しやすいのが特徴です。加えて、共有機能が強力で、チームメンバーとの共同編集がスムーズのため、学習・研究プロジェクトなどで役立ちやすいでしょう。
Diigo

Diigoは、GoogleChromeに追加できるWebクリッピングツールです。ブックマーク管理やハイライト機能が充実した、リサーチ向けであることに注目しましょう。大きな特徴として、Webページ上に直接マーカーを引いたり、コメントを付けたりして保存できることが挙げられます。
また、ブックマークのタグ管理、スクリーンキャプチャ、注釈など、学習やリサーチに必要な機能がまとまっています。他にも、チームプランがあり、共同リサーチで活用しやすいなどのポイントもあります。
デザインや画像のアイデアを集めたい場合
デザインや画像のアイデアを集めたい場合には、ビジュアルを中心に保存できるWebクリッピングサービスがおすすめです。

Pinterestは、画像やアイデアを「ボード」にピン留めしてコレクションを作成できる「ビジュアル発見プラットフォーム」です。Webページ上の画像やデザインを簡単に保存(ピン)して、テーマごとにボードを整理できるようになっています。
また、保存した内容にコメントすることや、他のユーザーが作成したボードからアイデア収集すること、クリッピング画像をもとに関連画像を紹介してくれる機能があります。このように、自分自身では見つけられなかったアイデアを収集することもできる点もPinterestの特徴です。
Raindrop.io

Raindrop.ioは、画像などをブックマークして、効率的に管理できるWebクリッピングサービスです。Webブラウザの拡張機能として導入し、シンプルなUIで直感的に操作できるようになっています。ブラウザ拡張機能やアプリで画像などをワンクリックで保存可能です。
特徴として、フォルダやタグ機能が充実し、ビジュアル的に一覧化しやすいことが挙げられます。また、PDFプレビューやスクリーンショットの自動保存など、他のWebクリッピングサービスではあまり見られない機能も実装されました。
オフラインで記事を読むことが多い場合
オフラインでWebサイトを閲覧したい場合、内部に保存できる仕組みのサービスがおすすめです。

Pocketは、記事や動画をオフラインで読みやすくする保存サービスです。ブラウザ拡張やスマホアプリからWebサイトをワンクリック保存し、後からオフラインで閲覧できます。テキスト中心の「リーディングビュー」で読みやすい表示に切り替えられることが特徴です。また、タグ管理ができ、興味分野ごとにまとめやすいなどの機能もあります。
Instapaper

Instapaperは、オフラインで記事を読むのに特化したサービスです。Pocketと似た機能を持ちますが、シンプルで落ち着いた表示スタイルにフォーカスしています。文章のハイライトやメモ機能があり、後から引用・整理しやすいように考えられたサービスです。また、Kindleと連携し、保存した記事を電子書籍端末で読むこともできることも特徴といえます。
TOWAでできること
Webクリッピングサービスは多くあるものの、webクリッピングサービスにない特定のサイトからの情報取得にはTOWAがおすすめです。例えば、取引先企業の役員交代やトレンド情報など、記事になりづらい情報の収集にTOWAが活用できます。
情報更新の前後がわかる
TOWAは、指定したURLの内容を継続的に監視し、更新履歴や変更内容を記録できます。そのため、最新情報をキャッチするだけではなく「どの部分がどのように変化したか」まで確認できることが特徴です。また、変更部分は強調されるようになっているため、直感的に情報更新の前後が把握できます。更新情報を把握することは、情報リテラシーの担保につながり、適切な意思決定を促します。
通知が届く
収集したデータの差分結果を通知することができ、情報の見落としを回避できます。また、通知先を細かく設定できることで、適切な情報を必要な方のもとに届けることができます。例えば、データAはマーケティング部門に、データBは営業部門にと通知設定ができます。また、基本の通知方法はメールですが、カスタマイズによって社内SNSなどに通知することも可能です。ビジネスシーンで活用する機会の多いツールに通知を届けられるか一度ご相談ください。
まとめ
Webクリッピングサービスは、業務効率化やDX推進に欠かせないデータ収集方法として注目を集めています。ただし、数多くあるWebクリッピングサービスから用途に合わせて適切なサービスを選ぶのは困難でしょう。その場合は、対応メディアや費用、サポートなどに注目して選定しましょう。もし、ニュースサイトで記事化されないような情報を収集したい場合は、TOWAがおすすめです。
TOWAは、Webサイトを継続的に監視して、変更を検知・通知するサービスです。継続的な情報収集やWebサイトの監視が必要な場合は、ぜひお気軽にお問い合わせください。