
日本国内で事業を行う場合に必ず注意しておかないといけないのが、各種の法規の遵守です。当たり前のことではありますが、法律に沿って事業を行わなかった場合にはペナルティが課され、事業運営上で不利な事態を招いてしまうためです。
日本国内の法や規制といってもその数は非常に多く、改正も頻繁に行われています。事業者はこれらの改正をいち早くキャッチアップし、事業上での問題が発生しないよう対処が必要です。
しかしながら、事業の運営において業務が多く、法の改正をチェックする時間がうまくとれない企業もあるでしょう。そのため、スムーズかつ迅速に法改正をチェックする必要があり、その方法としてWebサイトやツールの活用があげられます。
本記事では、2024年に施行予定の法改正と法改正チェックに活用できるWebサイト、ツールについて紹介します。法改正のチェックをスムーズにするお役に立てていただければ幸いです。
目次
2024年の法改正一覧表
日本国内での2024年施行予定の法改正は下記が予定されています。
法令の名称 |
施行日 |
改正の概要 |
影響、影響を受ける業界・業種など |
厚生年金保険法施行規則 |
2024/1/1 |
効率的なシステム処理を行うため、ローマ字氏名届(様式第7号の3)の様式を改正 |
日本国籍を有しない人が厚生年金保険の被保険者資格を取得した際に利用する |
労働安全衛生規則 (段階施行2/2) |
2024/2/1 |
テールゲートリフターの操作業務を、特別教育が必要な業務として新たに規定 |
物流業、トラックへの荷物の積み下ろし |
医療法第百二十八条の規定により読み替えて適用する労働基準法第百四十一条第二項の厚生労働省令で定める時間等を定める省令 |
2024/4/1 |
労働基準法に定めることができる時間外・休労働の上限時間を、1カ月につき100時間未満かつ1年について1,860時間とする など |
医療業界。医師の業務時間に制限 |
労働基準法施行規則 |
2024/4/1 |
建設業や自動車運転業等に係る36協定届の届出様式の変更 |
建設業、運送業におけるトラックドライバーの業務時間に制限 |
労働基準法施行規則第二十四条の二の二第二項第六号の規定に基づき厚生労働大臣の指定する業務 |
2024/4/1 |
銀行または証券会社における顧客に対して合併・買収などに関する考案及び助言をする業務を専門型の対象とする など |
銀行、証券業。裁量労働制の適用範囲拡大 |
職業安定法施行規則 |
2024/4/1 |
労働者の募集等の際に明示すべき労働条件等の追加 など |
あらゆる業種、業界に影響。労働者募集、職業紹介事業者への登録時の条件提示内容が増加 |
自動車運転者の労働時間等の改善のための基準 |
2024/4/1 |
タクシー・ハイヤー・トラック・バスなどの自動車運転業務について、時間外労働や拘束時間、連続運転時間の縮小や休息期間の延長 など |
運送業、物流業。ドライバーの業務における制限が発生 |
建築物等の解体等の作業及び労働者が石綿等にばく露するおそれがある建築物等における業務での労働者の石綿ばく露防止に関する技術上の指針 |
2024/4/1 |
電動工具による石綿等の切断等の作業に係る措置、剥離材の使用に係る措置、呼吸用保護具等の選定について所要の改正を行う |
建設業における解体業務に影響 |
労働基準法第三十八条の四第一項の規定により同行第一号の業務に従事する労働者の適正な労働条件の確保を図るための指針 |
2024/4/1 |
健康・福祉確保措置の追加、労使委員会の導入促進と労使協議の実効性向上等についての改正 |
あらゆる業種、業界に影響。労働条件などが関連するため、人事総務の担当者に関連する |
労働基準法施行規則 |
2024/4/1 |
一般的な医業に従事する医師の時間外労働の上限水準(A水準)に係る時間外労働の上限時間及び追加的に講ずるべき健康確保措置等について |
医療業界。医師の業務時間に制限 |
労働時間等の設定の改善に関する特別措置法施行規則 |
2024/4/1 |
労働時間に関する規定に係る決議等における事務を円滑に遂行することができるよう、使用者に対して必要な配慮を義務付ける |
あらゆる業種、業界に影響。労働条件などが関連するため、人事総務の担当者に関連する |
健康保険法 |
2024/4/1 |
保険者に対し出産育児交付金を交付することとされたことに伴い、出産育児交付金の額の算定方法や、その特例等について所要の規定を設ける など |
医療業界および公的機関 |
労働安全衛生規則 (段階施行2/2) |
2024/4/1 |
本足場の設置に十分なスペースがある場合には、本足場を使用することを原則とし、一側足場の使用範囲の明確化する など |
建設業 |
健康保険法 |
2024/4/1 |
出産育児一時金の支給費用の一部について、後期高齢者医療制度からの支援金を充当する仕組みの導入 など |
医療業界および公的機関 |
有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準 |
2024/4/1 |
使用者が有期雇用契約後に更新上限を新たに設けた場合の、上限設定理由の説明の義務化 など |
あらゆる業種、業界に影響。労働条件などが関連するため、人事総務の担当者に関連する |
障害者の雇用の促進等に関する法律施行規則 (段階施行1/2) |
2024/4/1 |
除外率設定業種の除外率引き下げ、対象障害者の雇用状況を報告しなければならない事業主の範囲の見直し等 |
あらゆる業種、業界に影響。労働条件などが関連するため、人事総務の担当者に関連する |
障害者の雇用の促進等に関する法律施行令 (段階施行2/3) |
2024/4/1 |
障害者雇用率の段階的な引き上げ など |
あらゆる業種、業界に影響。労働条件などが関連するため、人事総務の担当者に関連する |
障害者の雇用の促進等に関する法律 |
2024/4/1 |
障害者の多様な就労ニーズに対する支援及び障害者雇用の質の向上の推進 など |
あらゆる業種、業界に影響。福祉業に大きく関連 |
石綿障害予防規則 |
2024/4/1 |
作業環境測定結果が第三管理区分である事業場に対する作業環境改善措置の強化 |
建設業など |
労働安全衛生規則 (段階施行3/3) |
2024/4/1 |
事業場における化学物質に関する管理体制の強化 、SDS等による情報伝達の強化 など |
製造業など。特に化学物質の取り扱いがある場合 |
粉じん障害防止規則 (段階施行2/2) |
2024/4/1 |
作業環境測定結果が第三管理区分である事業場に対する作業環境改善措置の強化 |
建設業、製造業など |
労働基準法施行規則 |
2024/4/1 |
無期転換ルール及び労働契約関係の明確化、裁量労働制における対象労働者の要件の追加 など |
人材派遣業を始めとした広範囲の業種に影響。特に契約の期間への言及が改正されるため、契約社員やアルバイトなどの有期雇用すべてに影響 |
障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律 |
2024/4/1 |
事業者による社会的障壁の除去の実施に係る必要かつ合理的な配慮の提供の義務化 など |
あらゆる業種、業界に影響。労働条件などが関連するため、人事総務の担当者に関連する |
労働基準法施行規則第六十九条の三第二項第二号の規定に基づき厚生労働大臣が定める要件 |
2024/4/1 |
労働基準法施行規則の規定に基づき、各水準の対象となる医師に病院又は診療所等の管理者が行われなればならない面接指導の要件を定めるもの |
医療業界。医師の業務に影響 |
石綿障害予防規則 |
2024/4/1 |
除じん性能を有する電動工具に係る措置の見直し |
建設業、製造業など |
労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律 |
2024/6/15 |
外国人雇用状況の届出内容についての一部改正 |
あらゆる業種、業界に影響。労働条件などが関連するため、人事総務の担当者に関連する |
厚生年金保険法 |
2024/10/1 |
短時間労働者を健康保険の適用対象とすべき事業所の企業規模要件の段階的な引き下げ など |
あらゆる業種、業界に影響。労働条件などが関連するため、人事総務の担当者に関連する |
健康保険法 |
2024/10/1 |
被用者保険の適用拡大 |
あらゆる業種、業界に影響。労働条件などが関連するため、人事総務の担当者に関連する |
船員保険法 |
2024/12/8 |
マイナンバーカードによるオンライン資格確認を受けられない者の請求に応じて「資格確認書」の提供を行うよう改正 |
船舶を用いた事業。条件有。 |
健康保険法 |
2024/12/8 |
マイナンバーカードと健康保険証を一体化し、健康保険証を廃止する など |
あらゆる業種、業界に影響。労働条件などが関連するため、人事総務の担当者に関連する |
法改正チェックにおすすめのサイト
2024年の法改正一覧をご覧いただいただけでも分かる通り、その情報量は膨大です。これらの情報をまとめてているおすすめのサイトをご紹介します。
HR法改正navi
HR法改正naviはSATO社会保険労務士法人が運営する法改正に関する情報を掲載したWebサイトです。「2024年(令和6年)施行の法改正一覧」にて情報がまとめられています。
KEIYAKU-WATCH
KEIYAKU-WATCHはLegalOn Technologiesの運営する契約知識向上を目的としたWebサイトです。サイト内のコンテンツ「法改正カレンダー」にて、2024年施行予定の法律を確認することができます。
新日本法規出版
新日本法規出版株式会社のコーポレートサイトです。サイト内のコンテンツ「PICK UP! 法令改正情報」は法令の情報を検索することができます。キーワード「令和6年」を指定することで2024年の法改正を確認できます。
法改正チェックにおすすめのツール
上記のWebサイトにて法改正をチェックすることは可能ですが、その法改正が自社の事業に影響を与えるものなのかどうかを確認するには目視による作業となってしまいます。人による目視作業はコストも高いうえに、作業のミスも起こり得るでしょう。
法改正のチェックをスムーズにスマートに行う方法にツールの活用があげられます。法改正に関するWebサイトをツールでチェックすることで、業務の効率化・自動化と精度の向上を図ることが可能です。
Webサイト差分チェックツール「TOWA」
Webサイト差分チェックツール「TOWA」は株式会社インディゴデータの提供するツールです。
TOWAは監視したいWebサイトを登録するだけで最新の情報を検知し、ダッシュボード上に表示、それを通知してくれる機能を提供しています。TOWAを活用することで業務における工数削減や精度向上が図れます。
法改正についても、対象のサイトと自社の業務に関わる特定キーワードなどを指定しておくことで最新の情報を検知することが可能です。キーワードを指定することで必要な情報に限ってチェックすることができるため、法改正チェックの手間を大幅に削減することができます。
また、個人ではなくチームで活用でき、タスクカード表示や担当者ごとの通知設定の機能を持っているため、チーム内への情報共有も抜け漏れなく行うことができます。
CERVN(サーブン)
CERVNは株式会社キーウォーカーの提供するWebモニタリング自動化ツールです。国内企業において多くの事例を持っています。Webサイト上の更新カ所の可視化、キーワード設定による情報の自動取得、HTMLでの差分チェックも可能です。
D1-Law.com現行法規〔改正アラート〕
「D1-Law.com現行法規〔改正アラート〕」は第一法規株式会社の提供する商品です。自社に関係のある法令をあらかじめ指定しておくことで、変更があった場合にその内容と影響をメールで通知してくれるため、法改正を素早く把握できる法令管理をサポートする支援ツールとして活用できます。
まとめ
法改正には事業運営上、常に注意を払う必要があります。2024年以降も随時法改正は行われるため、今後も継続的にチェックする必要があります。
しかし、いつ改正されるかわからない法律のために毎日Webサイトをチェックしていたら、効率が悪くコストがかかってしまいます。また、対応スピードや精度にも欠けるでしょう。
このような場合にスムーズなチェック業務を確立できるのが、Webサイト差分チェックツールによる監視です。Webサイト差分チェックツール「TOWA」なら利用者は最初にチェック対象を設定しておけば、常にチェックする必要はなく、何かがあったら通知を受けることができます。法改正のチェック業務の自動化が実現可能です。
⇒TOWAを活用して法改正チェックを行った事例はこちら