
RPAによるスクレイピングは、データ収集から他のツールとの連携までできて便利です。しかし、RPAによるスクレイピングをおこなう際には注意点もあります。今回は、RPAによるスクレイピングの注意点を解説した後で、その問題の解決策も紹介します。RPAによるデータ収集に興味があるマーケティング担当の方は、ぜひ参考にしてください。
RPAとスクレイピングの違い
RPAは、スクレイピングツールと比較して語られることがあります。しかし、RPAとスクレイピングは異なるシステムです。RPAによるスクレイピングを紹介するため、まずはRPAとスクレイピングについてそれぞれ解説します。
RPAとは
RPA(Robotic Process Automation)とは、人間がおこなってきた機械的で反復的な作業をコンピュータ―システムがおこなうことです。例えば、バックオフィスの事務作業は、細かい計算や反復的な作業が多い部署です。そのため、多くの人員を配置していますが、人為的なミスも起こりがちです。RPAを導入すると、コンピューターが定型業務を代行してくれるので、人件費を抑えて細かい人為的なミスも削減できます。また、RPAは、他のツールと連携できる特徴もあります。
スクレイピングとは
スクレイピング(Scraping)とは、Webサイトに存在する膨大な量のデータから、使用者の意図に合ったデータを抽出して分析しやすいように整形することです。コンピューターが、自動的にスクレイピングをおこないます。スクレイピングをおこなうと、人間が一つひとつの情報を検索して取捨選択する手間と時間がかかりません。
RPAによるスクレイピング
RPAの種類やカスタムによって、自動でスクレイピングをおこなうことも可能です。RPAによるスクレイピングは、自動で最新の情報を収集したり、分析のための資料作成までも可能です。人間がおこなう作業は、RPAによるスクレイピングでどのようなデータを収集するのか指示を出すことです。RPAによるスクレイピングが終了したら、データの分析をして施策の決断をするのも人間の仕事です。スクレイピング作業はコンピューターがおこなうので、人間の作業は不要です。RPAにスクレイピングやデータの整形を任せることによって、人間はよりクリエイティブな仕事に集中できます。
RPAによるスクレイピングの注意点
RPAによるスクレイピングには、多くのメリットがあります。ただし、RPAによるスクレイピングをする際には、いくつかの注意点があります。中には、法律に触れる場合もありますので、注意点はきちんと把握しておかなければいけません。ここからは、RPAによるスクレイピングの注意点を紹介します。
データ取得できないサイトがある
RPAによるスクレイピングをおこなう際には、データ取得ができないサイトがあることに注意しなければいけません。RPAによるスクレイピングは、WebサイトのHTMLを分析し、ルールに従ってデータ収集します。そのため、HTMLがページごとにそのルールが変更されていたり、ログインが必要なサイトの場合はそもそもデータ収集ができない可能性があります。RPAによるスクレイピングをおこなう際には、データ収集のサイトがRPAでスクレイピング可能か調査しなければいけません。
スクレイピングが途中で止まる可能性がある
RPAによるスクレイピングの場合、スクレイピングが途中で止まる可能性があるのも注意点の一つです。IPローテーションをおこなっていない場合、Webサイトがロボットと判定します。そのため、ロボット対策をしているWebサイトは、データ収集ができません。スクレイピングが途中で止まってしまうと、必要十分なデータを収集することができません。
違法になる可能性
スクレイピングが違法になる可能性も注意しなければいけません。スクレイピングは、情報を提供する相手サイトから許可を得てデータ収集をしているとは限りません。自動でスクレイピングする際には、情報を提供している相手先のサイトの規約を確認しなければいけません。規約でデータの収集が禁じられている場合、無断でスクレイピングをすることは違法です。また、スクレイピングによってサイトに負荷がかかり、サーバーが落ちるなどの事件になってしまった場合、訴えられることもあります。
データ収集に特化していない
RPAは、そもそもスクレイピングを専門にするツールではありません。RPAは業務の自動化に特化しているため、自動化できるルールが確実につくれないとデータ収集ができません。
重くなる可能性
RPAによるスクレイピングは、コンピューターが重くなってしまう可能性があるのも注意点です。RPAでスクレイピング作業をしようとする際に、その工程が増えれば増えるほどコンピューターの作業速度は遅くなります。 例えば、深い階層ページからデータ収集をしようとすると、コンピューターの作業が重たくなることもあります。RPAによるスクレイピング中に、同一のコンピュータ―で他の作業をすることが難しくなります。
変化することが多いサイトはできない
RPAによるスクレイピングでは、変化することが多いサイトのデータ収集はできません。例えば、ポータルサイトは、条件を選択するごとにページが変化します。サイト内での変化が多いため、定型業務を得意とするRPAではスクレイピングができません。そのためRPAでスクレイピングできるサイトは、限定的になってしまいます。
Webサイトの構造を理解する必要がある
RPAでスクレイピングをする際には、Webサイトの構造を理解する必要があります。スクレイピングをする際には、Webサイトの構造を理解しなければ、データ収集のルールをつくることができません。そのため、Webサイトの構造を理解する工程に時間がかかる可能性もあります。新規で専門の人材を雇う場合には、コストがかかってしまいます。
RPA以外でのスクレイピング方法
スクレイピングはRPA以外の方法でも可能です。ここからは、RPA以外のスクレイピング方法をいくつか紹介します。
スクレイピング専門ツールを使う
RPAではなく、スクレイピング専門のツールを使うことも方法の一つです。既に、スクレイピング専門のツールは、さまざまなサービスが利用できます。ここからは、スクレイピング専門のツールを紹介します。
Crawl Monster
「Crawl Monster」は、無料で使えてスクレイピングもできるツールです。使い方もシンプルなので、専門的な知識や技術を必要としません。数多くのサイトからデータを収集できるので、競合サイトの分析が可能です。オウンドメディアを運営している方やマーケティング担当の方におすすめです。
Octoparse
「Octoparse」は、コーディング不要のスクレイピングツールです。使い方が簡単なので、誰でも使用することが可能です。AIを搭載して自動でスクレイピングをしてくれるため、仕事も効率化します。収集したデータを加工して、分析に使いたい経営者の方や企画立案者の方におすすめのツールです。
80legs
「80legs」は、無料で使用することができるスクレイピングツールです。スクレイピングの速度が速く、必要なデータを迅速に収集できます。有料サービスに登録すれば、規模の大きなデータベースとも連携できます。詳細で最新のデータを収集したい方におすすめです。
スクレイピング専門の業者に依頼する
スクレイピングは専門の業者に依頼することも選択できる方法の一つです。スクレイピングの専門の業者であれば、スクレイピングでWebデータを収集するだけではなく、カスタマイズによってRPAやスクレイピングツールでは取得できないデータ(画像・PDFの中身など)も収集可能です。 Webサイト内から収集ルールをみつける際もHTMLベースではないルールをつくることもできます。
まとめ
RPAスクレイピングは、業務を効率的にしてくれるデータ収集手段のひとつです。しかし、RPAでもツールによってスクレイピングができるものもありますが、そもそもRPAはスクレイピングに特化したツールではありません。 スクレイピングをおこなう際は、RPAではなく専用のツールを使用するか、代行会社に委託する方がおすすめです。スクレイピングを代行してくれる会社に委託すれば、データ収集の精度が向上しますし、ツールではカバーできない法律に触れるリスクもありません。PigDataのスクレイピングサービスは、Webデータ収集・活用に特化したサービスです。スクレイピングを活用したい場合はご相談ください。