営業部門が具体的に行動するためには「営業リスト」を作成しておく必要があります。これをベースとして営業活動に繰り出し、新しい顧客を見つけるのです。営業リストの作成は、新規顧客を獲得するための第一歩といえるでしょう。ただ、世の中には莫大な数の会社があり、営業リストの準備には多大なる労力を要する場合があります。営業リスト作成に時間をかけてしまうと、本来一番大切な営業活動がすすまなくなってしまいます。そのため、効率よくリストを作成することが求められています。今回は、効率よく営業リストを作成できるRPA、そしてさらに効率を高められるスクレイピングについて解説します。
目次
営業を効率化させるDX
営業活動には時間が必要となるため、効率化のためにDXが進められています。DXには幅広い手法があり、その中で利用される機会が多いのはRPAです。RPAは「Robotic Process Automation」の略語で、コンピューターでの作業をロボットによって自動化する技術を指します。これを活用することで、人間が定常業務に時間を割く必要がなくなり、効率よく業務をこなせるようになります。例えば、営業を効率化するためにRPAは以下のような使い方ができます。
- 取引先からのメールの仕分けや内容に応じた処理
- 注文書や発注書の読み取りやシステムへの自動登録
- 売上データからの定期的なレポート作成
- 名刺の読み取りと顧客データベース化
- Web情報を用いた営業先リストの作成
このように、営業の業務にRPAを導入することで、業務を効率化させることが可能です。人間が対応すると時間が要することをRPAに任せることで、営業がやるべき本質的な業務に注力できるようになります。
営業を効率化させるRPA3選
営業を効率化させるRPAの中でも、特におすすめの製品を3種類、紹介します。
UiPath
UiPathは世界的に活用されているRPA製品です。営業活動の効率化はもちろん、ビジネスにおける多くの業務を自動化したり効率化したりしてくれます。
大きな特徴として、自動化に必要なモジュールが大量に用意されていることが挙げられます。例えば「ブラウザへのアクセス」「分岐」「データの取得や保存」などが最初から用意されているのです。利用者は、これらを組み合わせるだけで自動的な処理が作成でき、利便性に長けています。
ただ、海外の製品ということもあり、公式のドキュメントや公式サポートでのやり取りが英語中心です。情報の収集において、やや難易度が高まるため注意しましょう。
WinActor
WinActorは、NTTグループが提供する国産RPAで多くの企業に利用されているものです。国産ということもあり、特に日本の企業から支持されています。機能も多く日本らしい充実したサポートが提供されているため、人気が出るのも納得です。
RPAの中でもWinActorは、AIやOCRに力を入れています。例えば、AIを活用して取引先からのメールを分類したり、OCRを利用して請求書の内容を読み取ったりできるのです。他社のRPAでは、他の製品を組み合わせる必要がある処理でも、WinActorだけで完結します。加えて、「OnRPA」と呼ばれるサービスがあり、これを活用することで、複数拠点のRPAの一元管理が可能です。営業は複数の拠点にまたがることも多く、これをまとめて管理できることで、さらに利便性が高まります。
Automation 360
Automation 360は、AIの活用を中心としたRPAです。日本ではまだ知名度が低いですが、クラウドネイティブで利用できるなど、世界的に注目を集めています。標準で1,200程度の自動化「Bot」が用意されていて、これを活用することが、営業を含めて簡単に効率化が可能です。
また、AIが導入されていることから、既存のプロセスを検出して自動化させることができます。本来、RPAを導入する際は、ユーザーが自動化するプロセスを選定したり動作を決定したりしなければなりません。しかし、Automation 360ならば、ある程度の処理を取り込むことで、具体的な実装の案をRPA自ら提示してくれます。
営業にRPAを導入するメリット
営業部門にRPAを導入する場合、どのようなメリットが期待できるのかを紹介します。
事務作業の効率化
営業職は、クライアントへの連絡や書類のやり取りなど、事務作業も多くあります。これらのうち、単純作業で処理できるものはRPAを活用することで、業務の効率化が図れます。例えば、クライアントから所定のアドレスに届いた請求書は、RPAによって自動的にシステムへ取り込むことが可能です。営業担当者が、ひとつひとつ取り込んでいたならば、この時間はなくなり別の業務に充てられます。
コストの削減
事務作業を中心に、時間のかかる業務を短縮できれば、コストの削減に繋がります。特に、事務作業によって残業代が発生していたり休日労働が生じていたりするならば、これらのコストをなくすことが可能です。また、事務作業があまりに多い場合は、専用の従業員を雇用していることもあるでしょう。このような人材の人件費を削減したり、他の業務に割り当てることで全体としてのコストを効率化したりできます。
対応スピードの向上
RPAによって業務を自動化できれば、顧客対応スピードの向上が期待できます。業務過多が発生すると顧客対応が遅延する可能性がありますが、RPAが対応することでそのような事態を防ぐことができます。営業が忙しい時でも、自動的に淡々と処理をこなしてくれます。
また、対応スピードの向上は、クライアントからの信頼にもつながるでしょう。できるだけ早く処理を済ませることで「スムーズに対応してくれる会社」との印象を与えられます。これも副次的なメリットと考えましょう。
営業にRPAを導入するデメリット
営業にRPAを導入すると、メリットがありますがデメリットもあります。
処理エラーが生じる
RPAもITツールには違いがないため、何かしらの理由でトラブルが発生することがあります。基本的には、自動的に処理してくれますが、トラブル発生時は人間が対応しなければなりません。完全に、人間の手から離れるわけではないため、そこは誤解しないようにしましょう。
ただ、トラブルが発生する可能性がある点は、RPAに限った話ではありません。どのようなツールでも言えることであるため、自動化について正しいイメージを持つことが大切です。
複雑すぎる業務には対応しきれない
一般的に、RPAは単純な業務を自動化するために使用されます。「繰り返し」と呼ばれる、同じ作業を何度も対応する場面で役立つと考えましょう。カスタマイズによっては、難易度の高い業務を自動化できますが、限界があります。
営業の中には「全ての業務をRPA化したい」と考える人がいるでしょう。しかし、実際にはRPA以外のツールの活用や人間が対応した方が良いものもあります。自動化できる業務には、実質的に制限があるため、これはデメリットと認識しましょう。
データ収集業務には不適
RPAを利用して、Web上のデータを収集して営業リストを作成する方法があります。しかし、RPAによるWebからのデータ収集はロボットからの動きと判断され、ロボットによるデータ収集に対して対策を打っているサイトの場合途中でエラーが発生したりと、思うように取得できない可能性があります。今まで、Webサイトからコピー&ペーストの繰り返しで営業先リストを作成していたならば「RPAで自動化すると効率化できる」と考えられるかもしれません。しかし、RPAによるWebデータ収集業務は積極的におすすめできません。
営業リスト作成はRPAよりスクレイピングの方が最適
営業リストの作成は、RPAよりもスクレイピングの方が最適です。その具体的な理由を以下で解説します。
分岐条件にも対応している
スクレイピングは、条件分岐にも対応しています。そのため、様々な条件を選択してリストを出すようなWebサイトからでも、情報を正確に収集できることが特徴です。
例えば、ポータルサイトには多くの情報が掲載されていますが、検索が必要であったり複雑な条件分岐があったりします。そのため、RPAで営業リストを作成しようとすると、複雑な分岐に当たったとき失敗してしまい、途中で止まってしまいかねません。結果、営業リストを作成できないケースがあるのです。
しかし、スクレイピングならばそのような事態には陥らず、複雑な分岐があっても情報収集が可能です。結果、確実に営業リストの作成が可能となり、営業の業務を効率化してくれます。
膨大なデータも効率よく処理できる
スクレイピングを利用することで、膨大なデータでも効率よく処理できることが魅力です。RPAはデータ取得量によっては処理速度に問題が生じることがありますが、スクレイピングならばこれを最小限に抑えられます。例えば、RPAは実際に画面遷移して、要素の読み込みやクリックしながらデータを収集する仕組みであるため、読み込みに時間を要するかもしれません。要素の読み込みに時間を要すると、処理全体が遅くなってしまうのです。処理するデータが多くなればなるほど、積み重なって莫大な時間を要することになってしまいます。
しかし、スクレイピングは実際に画面遷移して、要素の読み込みやクリックを必要とするものではありません。そのため、RPAでは時間がかかる部分の短縮が可能となり、膨大なデータも効率よく処理できるのです。
スクレイピングでできる営業DX
営業を効率化するためにはDXが必要となり、その中でRPAを用いることはあります。入力の自動化などを実現することで、担当者の負荷は大きく軽減できるでしょう。ただ、営業DXはRPAの活用以外でも実現が可能です。特にデータを活用したDXは営業を含め様々な職種で注目を集めています。特に他社と差をつけるためのDXには外部データであるWebデータに着目するとよいかもしれません。例えば、SFAツールを用いるだけでは掴めない営業のタイミングは、Webデータを収集することで掴めるかもしれません。つまり、継続的なWebデータの収集も、営業を効率化するためには必要なのです。
Webデータの収集にはRPAを使う選択肢もありますが、確実に、どのようなWebサイトからでも収集したいならばスクレイピングの方がおススメです。営業リストの作成や、営業先の情報収集に役立てられます。ただ、スクレイピングは法律面や技術面の課題から、気軽には採用できないデメリットがあるのも事実です。
そのため、営業DXのためにスクレイピングを活用したいならば、専門の業者に依頼するようにしましょう。弊社PigDataは、スクレイピング代行サービスを提供しています。営業の効率化にお悩みならば、ぜひお問い合わせください。

