
オープンデータは、誰でもが自由に使えて再利用もできる便利なデータです。ただし、オープンデータ自体は、生のデータに過ぎずきちんとした活用をおこなう必要があります。今回は、オープンデータ活用のメリットを解説した上で、活用事例10選を紹介します。活用にあたっての注意事項も言及しますので、ぜひ参考にしてください。
オープンデータとは
オープンデータとは、「自由に使えて自由に使えて再利用もでき、かつ誰でも再配布できるようなデータのこと」です。主に政府や公共団体などの公的機関が提供しているデータを指します。インターネットが普及している現在では、データ分析をおこなったビジネスは必須事項です。しかし、日本国内、特に中小企業では、分析に十分なデータの収集ができていません。規模の大小にかかわらず、誰でも使用できるオープンデータで新しい事業の開発や問題解決に役立てることが今後必要となってきます。
オープンデータ活用のメリット
オープンデータを活用すると、さまざまなメリットがあります。ここからは、オープンデータ活用による主なメリットを紹介します。
無料で使用することができる
オープンデータのメリットは、公開されているデータを無料で手に入れることが可能な点です。これまで、データ収集には多くの時間と手間、そして高額な経費が必要でした。しかし、オープンデータが解禁されてからは、資金力のない中小企業から個人事業主に至るまで無料でデータを参照し活用することが可能になりました。
二次利用も可能
オープンデータは、二次利用が可能である点もメリットの一つです。オープンデータを活用する際には、目的とする分析に合わせてデータの加工や編集が必要です。加工や編集をした後のデータも、公式的に公開して他の会社や団体と共有できます。オープンデータは公開している団体によって、ExcelやCSVなどのファイル形式で提供されている場合もあります。ファイル形式が統一されている場合は、誰でも扱いやすく加工や編集も容易です。
膨大な量のデータがある
オープンデータは、膨大な量のデータを扱っていることもメリットです。社会状況の分析や新しい事業のための資料を作成する際には、膨大で広範なデータが必要とされます。一般に公開されているオープンデータだけでも、社会分析や新しい事業用の資料作成ができるデータ量が用意されている可能性があります。
オープンデータ入手先
オープンデータは、インターネット上で入手することができます。ここからは、オープンデータを入手することができるサイトを紹介します。必要となるデータの入手先を検索する手助けにしてください。
e-Govデータポータル
e-Govデータポータルは、中央行政が国や地方自治体のオープンデータをまとめているサイトです。ポータルサイトなので、あらゆる種類のデータにアクセスすることが可能です。「人口・世帯」のデータから「通信情報・科学技術」まで揃っているため、必要なデータの多くをこのサイトから収集することができます。国や自治体が提供しているデータなので信頼性も高いです。
UNSD
UNSDは、国連の統計局が提供しているオープンデータです。データを収集する際には、収集したい期間やエリアを指定することができます。例えば、韓国の人口動態データを過去10年(2024年から2014年)に指定してデータ収集できます。最新の国際情勢データを収集すれば、世界的なトレンドを把握することも可能です。海外進出や海外に市場を求める会社には、有益なデータが集まっています。
気象庁 気象データ
気象庁が発表している気象データもオープンデータとして活用できます。気象情報や過去の気象データは、流通や小売り、食料などを扱う業界では必須データです。気象状況によって売上が左右されてしまうため、過去のデータを分析して販売時期や出荷時期などを判断する材料にできます。
e-Stat
e-Statは、日本国内統計の閲覧とデータの収集ができるポータルサイトです。サイト内の整備がきちんとされていて、使いやすいデザインです。キーワードを入力して検索すれば、迅速にデータの検索が可能です。APIやLODなどの形式でのデータ収集も可能なので、コンピュータ―による判読が可能な状態です。アプリの開発者やツールを用いた分析をおこなう方は、効率的にオープンデータを活用できます。
PLATEAU
PLATEAUは、国土交通省が主催しているオープンデータ共有サイトです。既存のデータから3Dの都市マップを作成することを目指しています。都市マップを3D化することで、未来の都市モデルを具体的に表現できます。PLATEAUのデータを活用しているのは、民間企業や行政、デザイナーやクリエイターまで幅広いです。オープンデータを共有することで、新しい都市づくりのモデル生成の推進をしています。
オープンデータ活用事例
オープンデータは、実際にどのように活用されているのでしょうか。ここからは、具体的なオープンデータの活用事例を紹介します。
Spotify
Spotifyは、音楽ストリーミングサービスとして世界中の方が利用しています。このSpotifyは、オープンデータが活用されています。膨大な量の楽曲が常にアップロードされるSpotifyには、オープンデータプラットフォームMusicBrainzから作曲者や国、日付など音楽に付随するオープンデータが活用されています。
カーリル
カーリルは、日本全国にある図書館蔵書のオープンデータを一つにしたサービスです。検索している本が、どこの図書館にあるかすぐに見つけられます。また、現在の貸出状況もリアルタイムで確認できます。目当ての本が貸出中でもAmazonなどのECサイトで同一の本を購入できるように導線がしっかりしています。
GRASP EARTH
GRASP EARTHは、衛星写真のオープンデータを集めたサービスです。衛星から見た地球の変化を視覚的に確認することができます。衛星データはあらゆる領域で応用することが可能です。実際には、水田の作付けや都市開発の経過を観察することに用いられています。
スマイティ
スマイティは、住居を探している方々に対して不動産情報だけではなく地域状況も解説しているサービスです。地域情報はオープンデータを活用して、サービス上で人口や犯罪率なども情報として共有しています。不動産を探している方々は、単に家を探すだけではなく「住みやすさ」も考慮して居住地を決定することができます。
いこーよ
「いこーよ」は、家族でお出かけをする際に利用できるサービスです。各自治体や観光局のオープンデータを活用して、いこーよ内のお出かけ先の情報を充実させています。子育て層に浸透している「いこーよ」に自治体が保有する子ども向けの施設やイベントなどのオープンデータを取り込み発信することで地域内外により広く情報が行き渡るようになり、実施地域の子育て支援や観光活性化につながっています。
Wheelog
Wheelogは、車いすを利用する方々によって使用されているサービスです。車いすを使用している方々は、健常者と同様に移動できる訳ではありません。Weelogは自治体が持つバリアフリー情報に関するオープンデータを活用でき、そのデータに沿ったバリアフリーマップを作成することが可能です。また、実際に車いすで移動した道をGPSによって記録します。他にも、車いす使用者個人の投稿によってバリアフリー施設の有無を確認できます。オープンデータとユーザーの利用データの両方を活用し、バリアフリーマップを充実化させることで社会貢献もしています。
バスロケ
バスロケは、リアルタイムのに更新される地図情報とバスの位置情報といったオープンデータを連携させ、活用しているサービスです。運行されている公共バスの現在位置や遅延情報などを、リアルタイムで更新しています。利用者は、アプリ内の地図で特定のバスがどこの位置にいるのか確認できます。そのため利用者は、バスの正確な乗車時間を知ることが可能です。また、バスロケは、バスのダイヤを管理している側も、正確な状況を把握して運営するのに役立てています。
Coaido 119
Coaido 119は、緊急の救助が必要な方のために開発されたサービスです。心臓に疾患がある方がアプリケーションに事前登録しておくと、突然の発作時に緊急SOSを近くにいる医療関係者に送ることができます。各地に設置されているAEDの位置情報が、オープンデータで登録してあります。このデータがあることで、救急車が到着する前に、近くに居合わせた医療関係者がAEDを用いて対応できます。
Sagri
Sagriは、オープンデータの衛星写真を活用したサービスです。衛星写真を使用すれば、宇宙空間から田畑などの農業地域の状況を観察できます。農業を担う方々は、Sagriの情報を元に最適な収穫時期を予測できます。また、土壌状態のデータを掛け合わせることで、肥料や農薬の量も最適化可能です。
金沢空きチャリBot
金沢空きチャリBotは、金沢市が提供している街乗り貸出可能数のオープンデータを活用して現在地周辺の貸出可能な自転車(チャリ)を教えてくれるサービスです。金沢チャリBotとLINE友達になれば、登録者がいる位置から最も近い場所にある自転車までの道のりを教えてくれます。
オープンデータ活用の際の注意点
オープンデータはとても便利ですが、利用する際には注意すべき点もあります。ここからは、オープンデータを活用する際に注意しなければいけない点を解説します。
個人情報の取扱い
オープンデータを使用する際には、個人情報に細心の注意を払わなければいけません。個人情報の漏洩は、法律で厳しく罰せられます。個々のオープンデータだけでは、個人の情報を特定することは難しいです。しかし、オープンデータはさまざまなデータを組み合わせることによって、個人情報を特定することができてしまう問題があります。会社でオープンデータを活用する際には、個人情報が流出するような事態を避ける仕組みの構築が必要です。
オープンデータの加工
オープンデータは、そのままの状態で活用や分析ができる訳ではありません。会社で使用する際には、目的に合った最適な形式に加工する必要があります。オープンデータが、ExcelやCSVファイル形式に統一されていない場合、生のデータから使用しやすいように加工するのに時間がかかります。そのため、データ加工に特化した人材を雇用したり、現社員に対して教育をおこなうことも念頭に置いてください。
データの選択と収集
データの選択と収集も、オープンデータを活用する上で注意しなければいけない点です。オープンデータは膨大な量があり、種類もさまざまです。そのため、データ分析に使用するにしても、データ量が膨大過ぎて加工や収集に時間がかかってしまいます。また、データの種類も多岐に渡るため、選択が難しくなります。データだけ収集して、どのように活用すればよいのか混乱してしまうリスクもあります。
まとめ
オープンデータは、誰でも手に入れることができるデータなのであらゆる場面で活用しやすいのが特徴です。しかしながら、オープンデータだけでは分析内容が不十分になってしまうこともあります。また、誰でも手に入れられるデータなので、競合との差がつかない可能性があるのもデメリットです。誰にでも手に入れられるデータとしては、オープンデータ以外にもWebデータが考えられます。
Webデータは収集元がWeb上のもの全てと幅広く、収集方法や分析によって結果に差がつきます。スクレイピングをおこなえば、効率的に有益なWebデータを手に入れることができます。スクレイピングにお困りの場合はPigDataにご相談ください。