
美容業界は、美容室やエステサロンなどのように、人が人へと直接サービスすることが多い業界です。また、消費者が化粧品を購入する場合も、「店頭で実際に試してみてから購入する」という流れが主流でした。しかしコロナ禍により、店頭に出かけて購入する以外の方法が増加しました。そのひとつとして、EコマースやSNS、またライブコマースから化粧品を購入する機会が増えています。
この記事では、美容業界における化粧品販売についてデータ活用の導入事例やメリットを紹介し、問い合わせを増やす方法も解説します。
美容業界のデータ活用による5つのメリット
対面式でのサービスが多かった美容業界も、データ活用しDX化させることで多くのメリットがあります。そのひとつとしてEコマースでの売り上げ向上がメジャーですが、それだけではありません。ここからは、DXによるデータ活用の5つのメリットについて詳しく解説します。
Web広告によって幅広い層に情報を届ける
美容業界もWeb広告を活用すれば、幅広い層に情報を届けられます。GoogleなどのプラットフォームからWeb広告を依頼すると、パーソナルマーケティングも可能です。Googleを利用しているユーザーに対して、検索ワード履歴などから個人に最適化された広告を表示してくれます。さらに、SNSなど利用者層の違う場所で広告をすれば、これまでに届かなかった層にも認知を拡大可能です。
大型Eコマースで認知から購入まで
Eコマースは自社サイトだけではなく、Amazonや楽天市場などの大型のプラットフォームを使用することも可能です。自社のEコマースが検索で上位表示されていなくても、大型のプラットフォームを使用することで自社商品の認知も広げられます。Eコマースは、商品の認知から購入まですべてがネット上でおこなえるため、消費者の手間が無くなり利便性が高まります。自社サイトの整備と情報発信を継続していけば、サイトの権威性も高まり検索上位に表示されます。
ライブコマースで新しいターゲットの集客
ライブコマースは新しいターゲットに商品を届ける方法の一つです。消費者層によって購入する経路は異なります。比較的若い世代の方々は、ライブコマースから商品の購入をする人が増加傾向にあります。ライブコマースは、Eコマース同様に認知から購入までWeb完結するので、購入する側も手軽に利用できます。化粧品販売を対面でおこなっている方々は、メイク術や商品説明などに慣れているため、ライブコマースは親和性の高い販路でもあります。
商品購入への問い合わせ対応も効率化する
美容業界のDX化は、商品購入の問い合わせ対応も効率化します。化粧品を対面式で販売する場合、販売員1名に対して顧客は1名または数名です。インターネットなら同時に多数の顧客への対応が可能です。サイト訪問者からの問い合わせや質問がある場合も、問い合わせフォームやチャット機能を実装しておけば、素早く訪問者の対応が可能です。広告宣伝から商品の販売まで、すべて自動なので販売をする側も効率的です。
データが蓄積されてキャンペーンや商品の開発や改善に活かせる
販売方法をDX化すると顧客データが自動で蓄積されていきます。これまで紹介してきたWeb広告もEコマースやライブコマースもオンライン上の施策になり、データが蓄積されます。これらの施策で蓄積されたデータも分析ツールを活用すれば訪問者の属性や購入までの導線も確認できます。また、新しいキャンペーン企画や新しい商品の開発や改善に活かせます。
美容業界でデータ活用をしている事例
人と人との対面サービスが重要視されている美容業界でも、データ活用やDXによって売上を伸ばしている会社があります。
ファンケル
化粧品の大手メーカーファンケルは、自社サイト「ファンケルオンライン」をアップデートして売り上げを伸ばしています。従来、ECサイトで購入した顧客データと、実店舗で購入した顧客データは分けて管理されていました。そこで自社サイトのアップデート時に分割されていた二つの顧客データを統一し、ファンケルを利用するすべての顧客のデータ分析を一括でおこなえるようにしました。また、通販の顧客と実店舗の顧客へのサービス内容の格差を無くすことで、会社への信頼性や商品への満足度を向上させています。
資生堂
資生堂は、自社サイトの「ワタシプラス」で利用者データを活用しています。「ワタシプラス」は単なるECサイトとしてではなく、店頭で商品を購入していた顧客会員のデータを統合し、Web上での購入履歴と店舗での購入履歴を可視化しました。そうすることで店舗で購入したお客様の課題等がオンラインにも反映され、お客様ひとりひとりに合ったサービスをワンストップで実現することができるようになりました。また、Yahoo!DMPを活用して外部データを取り入れ、ペルソナ設計に役立てています。
三越伊勢丹
三越伊勢丹は「meeco」でライブコマースをすることで、大きく売上を伸ばしています。メイクのプロがオンラインセミナーでメイク術を発信したり、新商品の紹介もします。ライブコマースの発信中に視聴者からの質問を受けて付け、迅速で的確な回答もします。さらに、ライブで説明している商品をすぐに購入できるような仕組みにサイト設計しています。有名人が化粧をする映像も人気コンテンツです。
問い合わせや購入を増やすためにはデータ分析が必要不可欠
商品の問い合わせや購入を増やすためには、データの分析が必要不可欠です。先述したようにDX化した商品販売なら、訪問者や購買者のデータが自動で蓄積されていきます。データを収集すれば、データを元に消費者の動向を分析できます。消費者がどのような段階で購入を躊躇したのかも確認できるため、サイトの設計変更や購買を躊躇した理由をデータをもとに予測して新しい施策も試せます。さらに、サイトを訪問した幅広い層の中からターゲットを絞った効率的な販売もDXなら可能です。また、自社内のシステムをDX化できずとも、SNS等Webサイトから消費者の感想をくみ取れば、新商品の開発や既存の商品の改善も可能です。
分析に適したデータの収集は難しい
美容業界でもDX化してデータの収集と活用で、業務の効率化と利益を向上できることがわかりました。しかし、まずはDX化したシステムから適格に必要なデータを収集し、それを分析しやすいようデータクレンジングを行う必要があります。この作業には専門的な知識を必要とする場合もあり、時間と手間がかかってしまいます。また、自社システム以外のWebサイト等にあるデータを活用しようと思った場合にはそのデータを収集する「スクレイピング」技術も必要となってきます。こういった専門的な人材の確保や支出が増えるという点はデータ活用のデメリットといえるでしょう。データの収集とデータクレンジングに時間をかけてしまうと分析に集中できません。
このように、自社システム以外のWebサイトからデータ収集をしたい場合、データのスクレイピング・データクレンジングを専門にしている会社に依頼することもできます。データの収集・データクレンジングサービスを利用すれば、自身はデータの分析に集中できます。データ分析に集中できれば、ターゲットの特定や新しい商品開発、販路の拡大をいち早く進めることができます。DX化して効率的にデータ活用するためにも、データスクレイピングのプロセスは専門会社に委託することをおすすめします。
まとめ
美容業界では対面による化粧品の販売が主流でしたが、コロナウイルスの影響もあり、ECサイトからの販売経路も増えてきました。Eコマースやライブコマース、SNSでの広告や販売をおこなうと販売経路が広がり購入者の利便性も高まるため、購入者層も広がります。また、DX化によって蓄積されたデータやWebサイトからのデータを分析すれば、新商品の開発や既存商品の改善、顧客の満足度を上げるキャンペーンの企画も効果的に打ち出せます。ただし、Webサイトのデータのスクレイピングは手間のかかる作業です。企業としてはデータが新鮮なうちにいち早くデータ分析をしてターゲットを絞り込み、購入経路を開拓することに集中しなければいけません。Webサイトデータが必要な場合はデータスクレイピングを専門にしている会社に依頼することで、新商品の開発や既存商品の改善、キャンペーンの企画立案に集中できます。データ分析をして、売り上げの向上を目指しましょう。