
インターネットから情報やデータを得るのは、今や常識です。しかし、インターネット上には膨大な量のデータがあるため、人間が手動で収集を行うのは不可能に近いのも現実です。そんな問題を解消しWebデータ収集用に開発されたのが、Webスクレイピングツールです。Webスクレイピングツールを使用すれば、手間をかけずに分析が可能なデータを収集できます。
この記事では、Webスクレイピングのメリットを解説した上で、おすすめのツールを10個紹介します。Webデータ収集や、データの分析をする業務を行っている方は、ぜひ参考にしてください。
目次
情報収集を自動化する方法
情報収集は自動化することが可能ですが、その方法は目的によってさまざまです。ひとことで市場調査のため、といっても、その情報源は業種や職種によっても異なるでしょう。例えば、製品企画部であれば市場の適正価格を調べるためにECサイト等で価格調査を行ったり、営業部であれば業界の動きを調査しつづけるためにニュースサイトで特定の話題をくまなくチェックすることもあります。最近ではインターネットを介する情報収集が多いため、情報別にいくつかの情報収集を自動化する方法をご紹介します。
RSSリーダー
RSSはWebサイトのニュースやブログなどの、更新情報の日付やタイトル、その内容の要約などを配信するため技術です。RSSリーダーはその技術を活用したツールで、リーダーに登録されたWebサイトのRSSをチェックし、新しく追加された新着情報があれば、その「ページタイトル」「アドレス」「見出し」「要約」「更新時刻」などを表示します。もうすでに日々チェックしているニュースサイトなどがある場合は存分に活躍するツールでしょう。
スクレイピング
スクレイピングは指定したWebサイトから指定した情報を自動で収集する技術です。プログラミングの構築次第であらゆるWebサイトから情報収集が可能となり、収集の頻度や条件分岐など様々な設定をカスタマイズすることが可能です。スクレイピングは自分でプログラミングする以外にもツール等で行うことも可能ですが、カスタマイズには制限がでてきます。
RPA
業務の自動化といえば、RPAを思い浮かべる人も多いでしょう。
RPAを活用すると、定型業務の自動化ができるため、特定のWebサイトを巡回して、特定のページに遷移したり、特定の情報を取得することが可能です。これはWebスクレイピングと同等の機能であるため、RPAをすでに活用している場合はスムーズに情報収集の自動化を達成できるかもしれません。しかし、RPAはWebスクレイピングの専門ツールではないため、思ったように情報収集できない可能性もあります。
Googleアラート
Googleアラートは特定のキーワードやアラートを出すサイトの種類(ニュース、ブログ、動画など)を指定し、知りたい情報がWeb上に発生した際に通知をくれます。Googleアラートを設定しておくことで、いつも閲覧していないページに必要な情報がアップされた場合でも確認をすることができます。
Webスクレイピングを活用して自動化するメリット
様々な情報収集の自動化方法がありますが、Webサイトからの情報収集かつ大量の情報をデータ化し、その後分析や他の人にも共有したい場合にはWebスクレイピングが最適です。単に情報を文書として確認するだけでは一過性のものになりがちですが、CSVなど分析しやすいかたちに残すことで、様々な活用が可能なデータとして蓄積されます。
また、Webスクレイピングは高度なプログラミングで自由な形式で情報収集できることはもちろん、プログラミングができない方でもツール等を活用することで簡単にはじめることができます。
Webスクレイピングツールのメリット
手軽にスクレイピングができる
スクレイピングはWebから情報収集するのにとても便利ですが、実際に活用するにはプログラミングの技術が必要です。しかし、スクレイピングツールは直感だけで使えるものが多く、プログラミング初心者でも簡単にはじめることが可能です。
データの共有ができる
スクレイピングツールはSaaSであることが多いため、アカウントを共有すれば同じツールを多くの人で共有することが可能です。それにより、収集できているデータを共有する手間も省けたり、共有忘れということがなくなるため、業務効率化にもつながります。
Webスクレイピングツールのデメリット
セキュリティリスク
スクレイピングの実装やスクレイピングで取得するデータにはいくつかの法律が関わっています。スクレイピングツールは手軽に使えますが、収集することや収集するデータに対するセキュリティリスクまでは負ってくれません。ツールを活用する人の自己責任になるため、注意が必要です。
収集できないサイトもある
Webサイトによってはその構造が複雑で、スクレイピングツールでは収集できないサイトもあります。せっかく苦労して設定しても、データが収集できていなかった、ということもあるので少しずつ可能かどうかを確認しながらすすめる必要があります。
おすすめのWebスクレイピングツール10選
ここからは、おすすめのWebスクレイピングツールを10個に厳選して紹介します。会社内で使用する目的や使用する方の能力に合わせて、最適なツールを使用するべきです。Webデータ収集を考えている方は、ぜひ参考にしてください。
Octoparse

「Octoparse」は無料からはじめられるスクレイピングツールです。ローコードで直感的にWebスクレイピングをしやすく、様々なデータを取得可能です。しかし、全くプログラミングの知識がなくても大丈夫かというとそうではなく、多少の知識がないと設定できない箇所もありますが、公式サイトに色々な事例が掲載されているので、参考にすることも可能です。
Mozenda

「Mozenda」は、Webデータ収集をすることができるスクレイピングツールです。収集と同時にデータの整理や取捨選択もしてくれる点がメリットです。さらに、データを見やすい形に加工して提供してくれます。加工されたデータを取得できるので、分析も簡単にできます。
Data Scraping Studio

「Data Scraping Studio」はWebページだけではなく、PDFファイルからもデータを収集可能です。ネット上には、PDFデータも多く掲載されています。しかし、従来のスクレイピングツールでは、PDFデータの収集ができませんでした。「Data Scraping Studio」は、Chromeの拡張機能を使用して実装させるツールです。一度実装してしまえば、簡単にWebデータ収集をしてくれます。
Crawl Monster

「Crawl Monster」は、無料で使用可能なスクレイピングツールです。シンプルなデザインなので、初心者でも使用と分析をすることが簡単です。Webサイトの情報を得ることができるので、SEOの対策もできるツールです。自社のメディアを運営する方や、マーケティングを担当する方におすすめです
FMiner

「FMiner」は、不動産サイトや求人サイトなどの情報を素早く収集できるスクレイピングツールです。初心者でも使いやすいデザインで、機能性も高いので分析も十分におこなえます。これまでのツールでは、クロールが難しかった場所からもWebデータ収集ができるという特徴もあります。
Web Content Extractor

「Web Content Extractor」は、企業だけではなく個人での使用が可能なスクレイピングツールです。抽出したデータは、様々な形式で出力が可能です。保存する場合も、出力方法を選択することができます。少ないステップでタスクを構成できるので、ツールを初めて使用する方でも安心です。
Common Crawl

「Common Crawl」は、オープンソースで提供されているスクレイピングツールです。搭載されている機能の使用は全て無料で、オープンデータセットも提供されています。AWSや世界中のアカデミッククラウドプラットフォームのデータを閲覧可能です。オープンデータを分析して、自社の施策に活用したい方におすすめです。
Helium Scraper
「Helium Scraper」はデザインがシンプルで、直感的な操作なので初心者でも使いやすいスクレイピングツールです。使用する際に、プログラミングやコーディングの必要がありません。収集されたデータも分析しやすく加工できます。「Helium Scraper」は初心者でも簡単に使用できるツールです。
Screen Scraper
「Screen Scraper」は、スクレイピング業界では老舗とも言える会社が提供するツールです。さまざまな業界のデータをサイト上から抽出することが可能です。また、多様なプログラム言語に対応しているので、スクレイピングが難しかったデータにもアクセスできます。汎用性の高いツールを使用したい方におすすめです。
TOWA

「TOWA」はスクレイピング技術を活用し、Webサイト監視に特化した業務自動化ツールです。特定のWebサイトを登録するだけで、24時間365日監視してくれるため、そのWebサイトに変化があった際に通知してくれます。Webサイト内の特定箇所やキーワードも設定することが可能なため、ピンポイントで知りたい変化を監視できます。人手で毎日Webサイト監視をする必要がないため、Webサイト監視に時間をかけてしまっている場合におすすめです。

ツール以外でのスクレイピングの方法3選
専用のツール以外でもスクレイピングする方法もあります。ツール以外でのスクレイピング方法を3つ紹介します。
Beautiful Soup
「Beautiful Soup」は、HTMLとXMLファイルをスクレイピングするためのPythonのライブラリの一つです。WebサイトのほとんどはHTMLとXMLで構成されているため、「Beautiful Soup」を用いればインターネット上のほとんどの情報収集は可能です。Web上のページから直接データをスクレイピングして分析する事ができます。
Sequentum
「Sequentum」を活用すれば、データを収集して分析することもできます。膨大な量のデータ収集はもちろん、高度な分析もすることができます。ただし、ツールを開発するためのサービスのため、プログラミングの経験者向けです。規模の大きな会社で大量のデータ分析をする必要のある方におすすめです。
VBA
ExcelのVBAを活用してスクレイピングをおこなう方法もあります。VBAはExcelに搭載されている機能なので、わざわざ開発環境を構築する手間は不要です。さらに、取得したデータをそのままExcelで分析することもできるので効率的である点がメリットです。Excelによってグラフ化やデータの分析も可能です。
Webスクレイピングを専門におこなう業者もある
Webスクレイピングを専門におこなっている業者があります。スクレイピングを専門にしている会社に依頼すれば、安全で分析のしやすいデータも手に入れられます。とても便利で有益な情報を得られるWebスクレイピングツールですが、気を付けるべき点も存在します。Webスクレイピングは、使い方を誤ると法律に触れる場合もあります。
また、ツールを使いこなせない場合、Webデータ収集を自動化するにも手間がかかってしまうのも現実です。ツール使用に慣れた人材の雇用をおこなうと、さらに支出がかさんでしまいます。安全かつ最適なWebデータ収集をおこないたい方は、Webスクレイピングを専門の業者に依頼するのもおすすめの方法です。
まとめ
ネット上のデータや情報を収集するには、その膨大な量により手間も時間もかかってしまいます。しかし、Webスクレイピングツールを活用すれば、自動で必要な情報を入手できます。人間は収集されたデータから分析をおこなって、将来の施策や企画を考えることに集中できます。既に初心者の方に使いやすいツールから、細かい部分まで加工や分析、スクレイピングの設定が可能なツールは多く存在しています。
また、Webスクレイピングを専門におこなっている会社も存在しています。ツール導入によって、人材確保のための支出や思わぬリスクに遭遇することもあります。有益で分析がしやすいデータを収取したいのなら、スクレイピングはアウトソーシングして、新しい企画や施策をおこなうことに集中しましょう。