
「参考になる論文の探し方を知りたい」と考える方は多いでしょう。
研究論文や卒業論文を執筆するにあたり、先行論文を参考にすることは非常に重要です。先行論文を読めば、新たな考え方や知見を得られます。より有意義な論文を執筆する手助けになるでしょう。
本記事では、研究論文の探し方や論文探しに役立つおすすめのWebサイト15選、探す際のポイントと注意点について詳しく解説します。論文の探し方や役立つ具体的なWebサイトを知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
研究論文の探し方

研究論文の主な探し方は、以下の6つです。
- 図書館で検索する
- 著者にコンタクトを取る
- 論文の参考文献リストを利用する
- 検索エンジンで探す
- 論文検索サイト(データベース)を活用する
- スクレイピングを実施する
順に解説します。
図書館で検索する
大学院・大学に付随する図書館や国立国会図書館などで探せば、研究論文が見つかるケースがあります。大学が所有する専門書籍や学術雑誌には限りがありますが、所属する大学が研究しているテーマであれば、文献などが充実している可能性があるでしょう。図書館の場合は、専門分野ごとに分類・陳列されているため、目的の書籍を見つけやすい特徴があります。
著者にコンタクトを取る
論文の著者に直接コンタクトを取る方法も有効です。目的の論文が閲覧できない場合、文献を執筆した方に直接メールや電話で連絡するのも良いでしょう。ただ、直接コンタクトを取ったとしても、必ず返信を得られたり論文を見せてもらえたりするわけではありません。
論文の参考文献リストを利用する
参考になる文献を見つけて、その論文に記載されている参考文献リストから役立つものを探すことも有効です。多くの論文には、末尾に参考文献リストが記載されています。関連する論文を読み進めたり、類似するテーマの複数文献を読み込んだりすれば、共通点や傾向などを把握可能です。
検索エンジンで探す
GoogleやYahoo!などの検索エンジンを活用して、論文を探す方法もあります。中には無料で閲覧できる論文もインターネット上に存在します。ただ、検索エンジンでは専門分野ごとの絞り込みなどができないため、リサーチに手間と時間がかかるでしょう。
論文検索サイト(データベース)を活用する
論文検索サイト(データベース)の活用も効果的です。具体的には、Googleが提供している「Google scholar」などが存在します。サイトにもよりますが、キーワード検索や絞り込み機能が実装されており、検索エンジンを活用するよりも簡単に目的の論文を見つけられます。また、多くの論文が登録されているため、欲しい情報を得られる可能性が高いでしょう。
スクレイピングを実施する
スクレイピングを実施して、研究論文を探す方法もあります。スクレイピングとは、Webサイトからhtmlを解析して、必要なデータを収集する技術のことです。実行する方法には、専用ツールの利用やプログラミングによる自動スクリプトを用いた実行、専門業者への依頼があります。
研究論文のデータを探す際に、論文検索サイトなどの活用も良いですが、一つひとつ論文をダウンロードすると多くの手間と時間がかかるでしょう。スクレイピングを実施すれば、自動で必要な論文データのみをダウンロード可能です。
なお、スクレイピングの詳細は以下をご覧ください。
スクレイピング実施時の注意点
便利なスクレイピングですが、実施時の注意点も存在します。高頻度でスクレイピングを実施すると、相手のサーバーに過度な負担をかけ、Webサイトの正常な運営を妨害し偽計業務妨害に該当するケースがあります。また、収集した研究論文が著作権で保護されている場合、無断で利用すれば著作権などの侵害に該当するでしょう。Webサイトや論文著作者が、スクレイピングを禁止しているケースもあります。
効率的に参考になる研究論文をリサーチできるスクレイピングですが、むやみやたらに実施すると法律に違反する可能性があるため注意が必要です。PigDataでは、法律に準拠したスクレイピング代行サービスを提供しています。安心かつ効率良くデータ収集をしたい方は一度ご相談ください。
なお、スクレイピングに関する法律上の注意点を知りたい方は、以下もご覧ください。
図書館の蔵書検索に役立つサイト3選

図書館で研究論文を探す場合は、あらかじめ蔵書検索サイトでリサーチすると効率が高まります。ここからは、図書館の蔵書検索に役立つ以下のサイトを紹介します。
- CiNii Books
- 国立国会図書館サーチ
- カーリル
CiNii Books

CiNii Booksは、国内の大学に所蔵されている資料を検索できるWebサイトです。書籍・雑誌だけでなく、ビデオ・地図など媒体の絞り検索もでき、論文執筆の参考になる資料の検索も可能です。
国立国会図書館サーチ

国立国会図書館サーチは、全国の国立国会図書館内で利用可能な電子ジャーナルや新聞記事などを検索できるWebサイトです。多数の絞り込み条件を事前に設定して詳細な検索もできます。また、調査のポイントや参考になる資料・Webサイトなどの情報も紹介されています。
カーリル

出典:カーリル公式Webサイト
カーリルは、全国7,400以上の図書館から所蔵している書籍とリアルタイムの貸出状況を検索できるWebサイトです。Amazonとも連動しており、図書館に所蔵されていない書籍はAmazonでの検索・購入も可能です。
研究論文の検索に役立つ論文検索サイト15選

続いて、研究論文の検索に役立つ以下の論文検索サイト15選を紹介します。
- Google scholar
- CiNii
- PubMed
- PubMed Central
- J-STAGE
- 学術機関リポジトリデータベース(IRDB)
- Web of Science
- Scopus
- IEEE Xplore
- CAS SciFinderⁿ
- ERIC
- PsycINFO
- arXiv
- SSRN
- Semantic Scholar
Google scholar

Google scholarは、Google社が運営する論文検索の専用サイトです。分野や言語を問わず幅広い論文を検索でき、無料で公開されている文献は閲覧やダウンロードも可能です。また、これまでに何回引用されたかの回数も表示されます。
CiNii

CiNiiは、論文や書籍・雑誌などを検索できるWebサイトです。国立情報学研究所が運営しており、日本語の論文や大学図書館に所蔵されている書籍を、キーワード・著者名などで検索可能です。目的の論文がオープンアクセスであれば、リンクから閲覧もできます。
PubMed

PubMedは、アメリカのNCBI(国立生物科学情報センター)が運営するWebサイトです。世界の主な生命科学と医学分野に関する論文を無料で検索できます。英語での検索が難しい方は、日本語で検索可能なPubMedCLOUDの活用がおすすめです。
PubMed Central

PubMed Centralは、アメリカのNIH(国立衛生研究所)が運営するWebサイトです。生命科学と医学分野の論文が、オープンアクセスかつフルテキストで掲載されています。PubMedにも同じ論文が掲載されていますが、全文にフルアクセスして詳細を知りたい方は、PubMed Centralを利用すると良いでしょう。
J-STAGE

J-STAGEは、JST(国立研究開発法人科学技術振興機構)が運営するWebサイトです。約583万件の情報が登録されており、9割以上を無料で閲覧できます。以下を含め全25分野の情報が登録されているため、幅広く論文を探せるでしょう。
- 物理学
- 生物学・生命科学・基礎医学
- 農学・食品科学
- 一般医学・社会医学・看護学
- 建築学・土木工学
- 文学・言語学・芸術学
- 経済学・経営学
保存や通知機能も実装されています。
学術機関リポジトリデータベース(IRDB)
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出典:学術機関リポジトリデータベース(IRBD)公式Webサイト
学術機関リポジトリデータベース(IRBD)は、国内の学術機関リポジトリに掲載されたコンテンツのデータ収集・提供を行うWebサイトです。大学に所属している研究者や学生の論文を管理・公開している「リポジトリ」を横断して検索できます。
Web of Science

Web of Scienceは、自然科学や社会科学、人文科学などの論文が掲載されているWebサイトです。世界中の論文を検索でき、引用元の確認も可能です。各研究テーマにおける発展プロセスや位置付けを把握するヒントも得られるでしょう。
Scopus

Scopusは、オランダにある世界最大規模の学術出版社であるエルゼビア社が運営するWebサイトです。以下の分野における論文を網羅しています。
- 自然
- 科学技術
- 医学
- 社会科
- 学芸術
- 人文科学
IEEE Xplore

IEEE Xploreは、アメリカのIEEE(米国電気電子工学会)が運営するWebサイトです。電気工学やコンピュータサイエンス、電子工学など技術分野に特化した情報が掲載されており、研究者だけでなくエンジニアにも活用されています。
CAS SciFinderⁿ

CAS SciFinderⁿは、CAS (Chemical Abstracts Service)が運営する物質科学関連分野に特化したWebサイトです。化学物質や化学反応、文献情報・研究データを検索できます。特許や市場調査に関するデータも登録されており、産業界の研究開発にも役立ちます。
ERIC

出典:ERIC公式Webサイト
ERICは教育関連の資料を提供するWebサイトです。アメリカの教育省からも支援を受けており、以下の文献が数十万件登録されています。
- 学術論文
- 研究報告書
- 政策文書
- 教育教材
PsycINFO

PsycINFOは、心理学や関連する行動科学に関する論文を提供しているWebサイトです。約576万件の文献が登録されており、心理学者やカウンセラー、教育関係者などの研究・サービス向上に役立っています。
arXiv

arXivは、以下の分野に特化して論文を掲載しているWebサイトです。
- 物理学
- 数学
- コンピュータサイエンス
- 量子生物学
- 統計学
正式な査読前の論文(査読前論文)も掲載されており、最新の研究を早期に確認できます。
SSRN

出典:SSRN公式Webサイト
SSRNは、経済学や法学、企業経営、社会学などの研究論文を提供しているWebサイトです。査読前論文も公開されており、社会科学研究の進展に貢献しています。
Semantic Scholar

Semantic Scholarは、AIが実装されているWebサイトです。研究トピック間の隠れたつながりやリンクの発見に役立ち、関連性が高い文献の検索に有効です。約4,000万件の論文が登録されています。
参考論文を探す際のポイントと注意点

続いて、参考論文を探す際の以下ポイントと注意点について解説します。
- 論文の種類を確認する
- 先行研究をリサーチする
- 引用可能か確認する
論文の種類を確認する
論文には以下の種類があるため、自分に必要な文献の種類を事前に確認しましょう。
種類 | 概要 |
---|---|
実証研究 | 独自の研究結果を発表している論文です。 |
レビュー論文 | ある特定分野の発表をまとめた論文です。先行研究を批判的に検討しています。 |
理論論文 | 先行研究を利用して、高い完成度の理論を構築している研究です。 |
方法論論文 | 新たなアプローチやデータ分析、既存研究方法の修正により、議論を提示する論文です。 |
ケーススタディ | 実際に発生している問題点の解決策や理論の実証・応用、事例の報告をしている論文です。 |
必要な論文を把握することで、参考文献をリサーチする効率を高められます。
先行研究をリサーチする
研究論文を探す際には、先行研究をリサーチすると良いでしょう。学術雑誌や電子ジャーナルを活用すれば、先行研究のリサーチが可能です。とくに、レビュー論文は先行研究に役立ちます。先行研究を確認すれば、効率良く参考文献を探せます。
引用可能か確認する
参考になる研究論文が見つかったら、引用可能かを必ず確認しましょう。論文の中には、引用できない文献も存在します。万が一、引用不可の論文を活用すれば著作権の侵害などに該当します。
研究論文の効率的な管理に役立つツール4選

最後に、研究論文の効率的な管理に役立つ以下のツール4選を紹介します。
- Mendeley
-
EndNote
- GoodReader
- OneNote
Mendeley

Mendeleyは、PDFの管理や引用文献リストを自動生成できるツールです。グループ作成機能も実装されているため、他のメンバーと共有できる点も魅力です。ただし、日本語へは対応していません。
EndNote

EndNoteは、論文管理だけでなく参考文献リストや引用の作成機能も実装されているツールです。複数デバイスからアクセスでき、2年間はストレージ容量無制限で利用可能です。EndNote basicであれば、一部機能の制限はあるものの無料で利用できます。

GoodReaderは、PDF閲覧と管理するためのアプリです。ブックマークやフォルダー分けもできるため、ダウンロードした論文の整理も可能です。また、PDFへメモを書き込むこともできます。
OneNote

OneNoteは、Microsoft社が提供している無料のノートアプリです。PDFのインポートや書き込み、全文検索が可能です。Windows以外にもMacやAndroid、iOSでの活用が可能で、デバイス間の連携もできます。
まとめ

研究論文の探し方には、図書館での検索や論文における参考文献リストの利用、論文検索サイトの活用など複数の方法があります。また、論文検索サイトも多数あり、それぞれ特徴や掲載している文献の専門分野が異なります。さまざまな方法を試して、使い勝手を確認すると良いでしょう。
また、スクレイピングの実施も研究論文を探す際におすすめです。論文検索サイトなどは便利ですが、論文を一つひとつダウンロードする場合、多くの時間と手間がかかります。スクレイピングであれば、欲しいデータのみを自動で収集可能です。
ただ、スクレイピングする際に注意しなければ、法律を犯す危険性があります。PigDataでは、法律に準拠したスクレイピング代行サービスを提供しています。安心かつ効率良くデータ収集をしたい方は一度ご相談ください。