
デジタルトランスフォーメーション(DX)は、企業の競争力を高めるために不可欠な取り組みとなっています。しかし、実際にどのようにDXを進めるべきか悩んでいる企業も多いのが現状です。本記事では、国内外のDX成功事例を業界別に紹介し、成功のポイントを解説します。
目次
DXとは
DX(デジタルフォーメーション)とは、デジタル技術を活用して業務の効率化や新たなビジネスモデルを生み出す取り組みを指します。企業がDXをすることで下記のようなメリットもあります。
- 業務の効率化によるコスト削減
- 顧客満足度の向上
- 競争力の強化
- 新たな市場機会の創出
本記事では各業界でのDX成功事例を詳しく紹介し、それぞれのポイントを解説します。
DXが成功している企業の特徴
実際にDXが成功している企業の特徴について紹介します。
データの活用に注力
DXに成功している企業は、社内外のデータを積極的に活用し、業務の効率化や意思決定の精度向上を実現しています。特に、社内データだけでなく、外部データとの組み合わせによる市場分析が重要です。さらに、データ分析の結果を経営戦略に活かすことで、事業の方向性を的確に判断できるようになっています。
- 内部データ:
顧客データ、売り上げデータ、マーケティングデータ、在庫管理データ、機器稼働データ etc… - 外部データ:
市場データ、経済データ、天候データ、SNSデータ、Webデータ、自治体のオープンデータ etc…
体制の確立
DXを推進するためには、専任のDX部門の設置や、全社的なDX教育が不可欠です。成功企業は、組織全体でDXに取り組む文化を醸成しています。加えて、経営層の積極的な関与がDX推進のカギとなり、企業全体での意思統一が進められています。
顧客や利用者を含めた推進
DXは単なる業務効率化ではなく、最終的に顧客満足度を向上させることが目的です。成功企業は、デジタル技術を活用して、顧客に最適なサービスを提供することに注力しています。たとえば、顧客データを分析し、個別ニーズに対応したカスタマイズサービスを提供することで、競争優位性を確立しています。
現存業務からの脱却
単なるシステム移行ではなく、業務プロセスそのものを見直し、変革を推進することが成功の鍵です。例えば、株式会社アシックスのように、商取引の標準化を実現することで、業務の負担を軽減するケースが挙げられます。また、業務のデジタル化による生産性向上や、業務フローの最適化が進むことで、企業全体の競争力が向上します。
製造業界のDX成功事例
株式会社LIXIL
- 課題:顧客ニーズへの迅速な対応が困難
- 実施内容:顧客と接触しやすい環境へするためにデジタルプラットフォームを構築
- 成果:生産性と顧客満足度の向上
株式会社LIXILでは、顧客と直接つながるためのデジタルプラットフォームを構築し、製品の購入プロセスをオンライン化しました。これにより、顧客は自宅から製品の詳細を確認し、最適な商品を選ぶことが可能になりました。
例えば、オンラインショールームを開発し、顧客が簡単に体験できる状況を作り出し、スマートホームとIoT事業の拡大を行っています。また、AI音声認識を導入することで、耳の不自由な方や言語の壁を越えて顧客が相談しやすい環境を作り出しました。他にも施工業者向けにデジタルツールの導入など、顧客だけでなくビジネスパートナーへ業務効率化のサポートを行っています。
株式会社ブリヂストン
- 課題:タイヤの突発的な破損
- 実施内容:タイヤ状況を常に確認するために遠隔監視システム導入
- 成果: 物流トラブル減少やタイヤの破損予防
株式会社ブリヂストンでは、タイヤの空気圧と温度を遠隔でモニタリングするシステムを開発しました。センサーとAIを活用することで、異常を早期に検知し、ドライバーや運行管理者にリアルタイムで通知します。これにより、事故リスクの低減と予防保守が実現し、物流業界全体の安全性向上に貢献しています。また、ブリヂストンサービスネットワークと呼ばれる修理サービスも同時に提供することで、修理業者への案内も迅速に行われるようになりました。
小売業界のDX成功事例
株式会社セブン‐イレブン・ジャパン
- 課題:非効率な配送ルート
- 実施内容:ドライバーに負担をかけずにAIで最適化
- 成果:配送距離の削減と脱炭素経営の実現
株式会社セブン‐イレブン・ジャパンでは、AIを活用した配送ルート最適化システムを導入しました。従来のルートは人の経験に依存していましたが、AIを活用することでリアルタイムの交通情報や天候データを考慮し、最短ルートを算出できるようになりました。これにより、配送距離が最大40%削減され、CO2排出量の削減にも貢献しています。
Amazon(アメリカ)
- 課題:複雑な在庫管理
- 実施内容:適切な在庫仕入れのためのAIによる購入履歴分析
- 成果:在庫過多のリスク回避と迅速な配送の実現
Amazonでは、AIを活用した需要予測システムを導入し、各地域の購買傾向を分析しています。在庫配置を最適化することで、倉庫の効率を向上させ、配送時間の短縮を実現しました。また、顧客の購入履歴を活用し、個別に最適化された商品提案を行うことで、売上向上にも寄与しています。
IT・情報機器業界のDX成功事例
横河電機株式会社
- 課題:グローバル化による各国のマーケティング状況のばらつき
- 実施内容:顧客管理プラットフォームの統合
- 成果:マーケティングの標準化と顧客対応の効率化
横河電機株式会社では、各国の営業チームがバラバラに管理していた顧客データを一元化しています。クラウドベースのCRM(顧客管理システム)を導入することで、顧客情報の共有がスムーズになり、マーケティングの精度向上や標準化を実現しました。これにより、見込み顧客の発掘から商談成立までのプロセスを最適化し、売上拡大に貢献しています。また、各国のマーケティングノウハウが情報共有され、活用されるきっかけとなりました。
オムロン株式会社
- 課題:品質向上の試行が難航
- 実施内容:生産データをAI解析
- 成果:品質管理の精度と業務改善の速度が向上
オムロン株式会社では、工場の生産データをリアルタイムで収集し、AI解析を行うことで品質管理の精度を向上させました。この仕組みを社内だけでなく、顧客向けにも提供し、製造現場のDX推進を支援しています。これにより、より高品質な製品の提供と、業務の効率化を両立させました。
例えば、業務改善必要度を数値化し、客観的に判断できるようにしました。オムロン定められた基準数値を顧客の製造現場に当てはめることで、最適なステップで業務改善を行うことができます。
衣料品業界のDX成功事例
株式会社アシックス
- 課題:グローバルな商取引による従業員の負担増加
- 実施内容:統一期間システムの導入
- 成果:従業員の負担軽減
株式会社アシックスでは、世界各国で異なる商取引ルールを統一するために、グローバル対応の基幹システムを導入しました。特に日本の商取引は複雑で、海外展開時に課題となっていました。そこで、ヨーロッパの取引手法を基準にシステムを構築し、日本にも適用しました。これにより、業務の標準化が進み、従業員の負担が軽減されました。統合には3年かかりましたが、純利益率は14.7%と業界トップの成長を遂げました。
株式会社ワコールホールディングス
- 課題:顧客データや研究データを十分に活用できない
- 実施内容:データ活用基盤の構築とパーソナライズマーケティング強化
- 成果:データに基づいた製品開発と顧客対応の精度向上
株式会社ワコールホールディングスでは、長年にわたり蓄積したボディーデータや顧客データを最大限活用するために、データ分析基盤を構築しました。これにより、顧客の体型データと購買履歴を組み合わせ、個別に最適な製品を提案するパーソナライズドマーケティングを強化しています。さらに、3Dボディースキャナーを活用して体型計測を行い、より精密なフィット感を提供するサービスも開始しました。これにより、リピーター顧客の増加や新規顧客の獲得につながっています。
建設業界のDX成功事例
株式会社小松製作所
- 課題:現場の生産性低下
- 実施内容:スマートコントラクションの導入
- 成果:作業効率向上とコスト削減
株式会社小松製作所では、建設現場の生産性向上を目的とし、ICT技術を活用した「スマートコンストラクション」を導入しました。ドローンによる地形測量、AIを活用した施工管理、自動運転建機の活用などにより、工期短縮とコスト削減を実現しています。また、データを活用したリアルタイムの作業進捗管理が可能になり、安全性の向上にも寄与しています。
トラスコ中山株式会社
- 課題:サービス提供の作業負担が多い
- 実施内容:AIを活用した顧客対応システムの開発
- 成果:顧客満足度の向上
トラスコ中山株式会社では、BtoB向けの物流を効率化するため、AIを活用した顧客対応システムを導入しました。問い合わせ対応を自動化し、チャットボットを活用することで、24時間対応が可能になります。さらに、注文処理のスピードアップや、倉庫管理の最適化を実現し、企業の調達プロセスを大幅に効率化しました。特にDX成功のカギとなったのは、Web注文を開始したことです。これまで電話注文のみで行っていましたが、Web注文により一人当たりの売上向上に繋がりました。
産業機械業界のDX成功事例
株式会社クボタ
- 課題:故障対応の遅れ
- 実施内容:AIによる故障予兆検知
- 成果:予防保守によるダウンタイム削減
株式会社クボタでは、農業機械や建設機械の故障を未然に防ぐため、IoTセンサーとAI分析を活用し、異常を予測するシステムを導入しました。リアルタイムで機器の状態を監視し、必要に応じてメンテナンスを提案することで、機械のダウンタイムを削減し、ユーザーの業務効率を向上させています。
ダイキン工業株式会社
- 課題:システムの複雑化により事業適応が困難
- 実施内容:全社共通システムの導入
- 成果:柔軟な事業適応と業務効率化
ダイキン工業株式会社では、グローバルな事業展開に対応するため、全社統一の基幹システムを導入しました。従来のブラックボックス化された複雑な業務フローを標準化し、クラウドベースのデータ管理によって、リアルタイムで情報共有が可能となっています。これにより、各国の事業部間の連携がスムーズになり、業務のスピードと精度が向上しました。
また、DX推進の成功ポイントとして、各部門の協力が必須ということも挙げられています。導入する部門や活用する部門が協力し、最適な方法を模索することでDX成功が近付きます。
工業業界のDX成功事例
三菱重工業株式会社
- 課題:機械故障による社会的影響の大きさ
- 実施内容:データ分析による故障予測
- 成果:故障リスクの最小化
三菱重工業株式会社では、ガスタービンなどの大型機器が故障した際の影響を最小限に抑えるため、AIを活用したデータ分析システムを導入しました。センサーを用いて機器の動作データと外部要因となる天候データを収集し、故障の兆候を事前に検知できます。これにより、適切なタイミングでのメンテナンスが可能となり、安定稼働を実現しました。また、データの蓄積を活用し、過去の故障事例と照らし合わせることで、より高度な予測モデルの構築も進めています。これにより、機器の寿命管理が可能となり、計画的なメンテナンスが実施できるようになりました。
JFEホールディングス株式会社
- 課題:業務での主観的判断の場面が多い
- 実施内容:データ基盤の導入
- 成果:データに基づく意思決定の強化
JFEホールディングス株式会社は、経験や勘に頼った判断からデータによる判断を行うため、社内のデータを統合し、AIによる分析を導入しました。これにより、データに基づいた客観的な意思決定が可能となり、精度の高いビジネス戦略を展開できるようになりました。また、取引データや市場動向をリアルタイムで把握できるようになり、柔軟な対応が可能になっています。さらに、AIの活用により、過去の取引データから最適な仕入れ時期や価格を予測し、リスク管理の精度を高めることにも成功しています。
JFEホールディングスはAIの開発にも携わっており、2021年にはAIの予測と実績が一致するなど、AI分析の質も高いです。また、ビジネス戦略にAIが深く関与していることがわかります。
科学・化学業界のDX成功事例
AGC株式会社
- 課題:新素材開発の長期化
- 実施内容:データ活用による実験回数の削減
- 成果:開発期間の短縮
AGC株式会社では、新素材開発の開発期間を短縮するため、過去の実験データを活用し、AIによるシミュレーションを導入しました。これにより、実験回数を大幅に削減し、開発期間の短縮を実現しました。さらに、データ分析によって最適な実験条件を見つけ出し、効率的な実験設計を行うことで、開発コストの削減にも成功しています。加えて、社内の研究者間でデータを共有することで、ナレッジの蓄積と活用を進め、より精度の高い研究開発が可能になりました。
旭化成株式会社
- 課題:DX推進のための体制不足
- 実施内容:DX部門の統合
- 成果:戦略の一元化と情報発信の強化
旭化成株式会社では、2021年から社内のDX推進部門を統合し、意思決定のスピードを向上させました。また、再生プラスチックのリサイクル状況を可視化するプラットフォームを開発し、企業と消費者の双方が循環型社会の実現に貢献できる仕組みを構築しました。これにより、サプライチェーン全体での透明性が向上し、環境負荷の低減に寄与しています。さらに、顧客向けにも環境に配慮した製品の情報を発信することで、企業価値の向上にもつなげています。
物流業界のDX成功事例
三菱倉庫株式会社
- 課題:在庫状況の把握や入出庫トラックの非効率
- 実施内容:クラウドベースの物流管理システムを導入
- 成果:業務の効率化とサプライチェーントレーサビリティの向上
三菱倉庫株式会社では、物流の効率化を目的に、クラウドを活用した物流管理システムを導入しました。各倉庫の在庫状況をリアルタイムで把握し、入庫や出庫のスケジュールを最適化することで、トラックの待機時間を削減しています。また、サプライチェーン全体の可視化により、物流の効率向上とコスト削減を実現しました。また、商品状況を利用者側から追跡できることで、顧客満足度や信頼性の向上にも繋がりました。
SGホールディングス株式会社
- 課題:ドライバーの負担増加
- 実施内容:AIを活用した荷物の自動仕分けシステム導入
- 成果:配送効率の向上と業務負担の軽減
SGホールディングス株式会社では、物流センターにAIを活用した自動仕分けシステムを導入しました。これにより、従来は人手で行っていた荷物の分類・配送準備を自動化し、作業時間を短縮しています。また、配送ルートの最適化や伝票情報のデジタル化により、ドライバーの負担を軽減し、業務の効率化と働き方改革を実現しました。
観光業界のDX成功事例
福井県
- 課題:観光客対応の基盤不足
- 実施内容:観光データ収集と分析基盤の構築
- 成果:観光業の活性化と地域経済の成長
福井県では、観光客増加に対応するため、オープンデータを活用した観光情報の提供を開始しました。福井県は観光客の訪問状況を提供し、宿泊施設や飲食店は店舗データを提供することで、観光客の行動分析を行い、効率的な観光プロモーションを展開しています。これにより、地域の観光産業が活性化し、売上向上や従業員の確保にも繋がりました。
しまなみ海道DXコンソーシアム
- 課題:レンタサイクルの情報連携が進まない
- 実施内容: 受付基盤と事業者向けシステムの開発
- 成果:利用者の利便性向上と観光業のDX推進
しまなみ海道DXコンソーシアムでは、レンタサイクルの予約・利用状況をリアルタイムで管理できるシステムを開発しました。従来の電話予約や紙媒体での管理をデジタル化することで、観光客がスムーズに自転車をレンタルできる環境を整備しています。また、予約状況や利用者のアンケートからデータ分析を行うことで、観光客の満足度向上と地域経済の発展につながっています。
隠岐OTA推進共同事業体
- 課題:観光の魅力を十分に発信できていない
- 実施内容:情報発信Webサイトの開発および利用状況の共有
- 成果:観光客の利便性向上と観光需要の増加
隠岐は、豊富な観光資源を持っていましたが情報発信が十分にできていなかったため、情報発信Webサイトを構築し、隠岐の観光情報を集約しました。また、宿泊施設やアクティビティの予約システムも導入し、観光客が簡単に計画を立てられるようになりました。さらに、Webサイトの利用データを分析し、人気のアクティビティや訪問傾向を把握することで、地域全体の観光戦略にも活用されています。これにより、観光客の利便性向上や観光資源の効果的な活用が実現し、売上向上に繋がりました。
食品業界のDX成功事例
アサヒグループホールディングス株式会社
- 課題:データ分析に関する人材不足
- 実施内容:デジタル教育プログラムの導入とデータ基盤の整備
- 成果:データ活用の推進と業務効率向上
アサヒグループホールディングス株式会社では、社内のデータ活用力を強化するため、DX人材の育成に注力しています。社員向けのデジタル教育プログラムを導入し、データ分析スキルを向上させる取り組みを実施しました。また、データ基盤を整備し、マーケティングや生産管理にデータを活用することで、意思決定のスピードと精度を向上させました。
株式会社ニチレイ
- 課題:トラックの待機時間増加
- 実施内容:トラックバース予約システムの導入
- 成果:待機時間の短縮と物流の効率化
ニチレイグループでは、工場や物流拠点でのトラック待機時間増加による運送業者や工場の負担増加を解消するため、荷物の積み下ろし時間を予約できるトラックバース予約システムを導入しました。これにより、トラックの到着時間を最適化し、無駄な待機時間を削減しました。さらに、AIを活用して最適なスケジュールを自動調整することで、物流全体の生産性向上にも寄与しています。また、工場の内部では、ロボットとAI画像認識による機械化で業務効率を向上させています。
製薬業界のDX成功事例
中外製薬株式会社
- 課題:新薬開発の長期化
- 実施内容:AIとロボットの活用
- 成果:開発時間の大幅短縮と精度向上
中外製薬では、新薬開発において実験や検証に長期間を要する課題を解決するために、AIを活用したデータ分析や、ロボットによる自動実験システムを導入しました。これにより、膨大なデータを迅速に分析し、研究者の負担を軽減しました。特に、画像解析技術を応用することで、試験データの評価を高速化し、新薬開発のスピードアップに成功しました。
第一三共株式会社
- 課題:社内外のデータを活用不足
- 実施内容:データ基盤と解析ツールの導入
- 成果:迅速な意思決定と研究開発の最適化
第一三共株式会社では、医薬品の研究開発や市場戦略の決定で社内外のデータを活用するために、データ基盤を構築し、異なる部門間での情報共有を強化しました。さらに、AIを活用したデータ解析ツールを導入し、研究データや市場動向の分析を迅速化しました。これにより、迅速な意思決定や新薬開発の効率化、より的確なマーケティング戦略の立案が可能となりました。
医療業界のDX成功事例
株式会社スギ薬局
- 課題:お薬手帳を持参しない患者が多い
- 実施内容:スマートフォンアプリの開発
- 成果:利用者の利便性向上とデータ管理の効率化
株式会社スギ薬局では、患者の服薬管理を支援するため、スマートフォン向けの「電子お薬手帳」アプリを開発しました。患者は自身の投薬履歴をアプリで確認できるため、薬の飲み忘れを防止できます。また、投薬内容についてアプリ内で質疑可能であり、薬局以外で気軽に相談ができます。一方、薬局側も患者の既往歴を確認することで、処方の際にヒアリング以外に情報を知ることができます。このように、データを活用することで、在庫管理の最適化や患者対応の向上を実現しました。
社会福祉法人イエス団
- 課題:非効率な紙カルテの業務
- 実施内容:電子カルテの導入
- 成果:業務効率化と医療サービスの品質向上
社会福祉法人イエス団では、従来の紙カルテを電子カルテへ移行することで、医療現場の業務効率を大幅に改善しました。医師や看護師がリアルタイムで患者情報を共有できるようになり、診療の質が向上しています。さらに、データを活用した診療分析も可能となり、医療サービスの品質の向上につながりました。
その他の業界のDX成功事例
株式会社ベネッセホールディングス
- 課題:学習状況の把握不足
- 実施内容:AIによる学習データ分析と個別最適化
- 成果:効率的な指導コンテンツの提案と学習効果の向上
株式会社ベネッセホールディングスは、受講者の学習状況をAIで分析し、個々の進捗や理解度に基づいたパーソナライズド学習を提供しています。従来の一律型の教育コンテンツではなく、受講者一人ひとりの苦手分野を特定し、最適な教材を提案できるようになりました。これにより、学習効率や意欲が向上し、受講者の満足度も高まりました。
日本郵船株式会社
- 課題:船員向けサービスの不足と業務効率の低下
- 実施内容:電子通貨プラットフォームの導入と船舶管理システムの強化
- 成果:国籍を問わない支払いの効率化と業務負担の軽減
日本郵船株式会社では、外国人船員向けに電子通貨プラットフォームを開発し、世界中どこにいても乗船券の購入や送金が可能な仕組みを構築しました。また、AIを活用した船舶管理システムを導入し、運航状況のリアルタイム監視や燃料効率の最適化を実現しています。これにより、業務負担の軽減と環境負荷の低減に貢献しています。
まとめ
日本ではまだDXが十分に進んでいませんが、すでに成果を上げている企業もあります。こうした企業は、データを上手に活用したり、DXに適した組織体制を整えたりしているのが特徴です。特に、DXの成功にはデータの活用が欠かせません。
多くの企業は社内で蓄積されるデータ(内部データ)を中心に活用しがちですが、それだけでは不十分です。誰でも利用できる外部データの一つであるWebデータを活用し、内部データと組み合わせることで、より効果的なDXが実現できます。Webデータを効率よく収集する方法としては、スクレイピングがおすすめです。
ただし、スクレイピングは専門的な技術が必要で、法律面のリスクもあるため、専門業者に依頼するのが確実です。PigDataでは、スクレイピングの代行サービスやデータ活用支援を行っています。ぜひお気軽にご相談ください。