
この記事では、AIの機械学習に欠かせない「データセット」に焦点を当て、質の高いデータセットを効率的に作成する方法を解説します。
機械学習用のデータセットを作りたい人や、その際に効率的な手法を知りたい人は必見です。
データセットとは
データセットは、機械学習やデータ解析などのデータ駆動型のアプローチで使用される、一連のデータの集合体です。これには、特定の問題やタスクに関連する情報が含まれています。
データセットは、通常、観測値や事例の集まりであり、それぞれが複数の特徴や属性を持っています。
たとえば、テキストデータセットは、自然言語処理タスクのための文章や文の集合を表し、音声データセットは、音声認識や音声処理タスクのための音声ファイルの集合を意味します。
データセットの重要性
データセットは機械学習モデルの訓練に使用され、その質と量がAIの性能に直結します。
良質なデータセットを作成することは、高度な予測モデルの構築に不可欠です。
データセットの種類
データセットにはさまざまな種類があります。
主なデータセットについて解説します。
構造化データセット
構造化データセットはテーブル形式で表現され、数値やテキストといったデータが明確な形式で整理されています。
たとえば、CSVファイルやデータベースからの取得が一般的です。
画像データセット
画像データセットは主に画像データで構成され、機械学習モデルに視覚的な理解を提供します。
代表的なものとしては、ImageNetがあります。
テキストデータセット
テキストデータセットは文章や文章の一部から構成され、自然言語処理(NLP)タスクのために使用されます。
ウェブページのテキストや書籍からの収集が一般的です。
データセットの入手方法
データセットの入手方法も多岐にわたります。ここでは、主な入手方法を解説します。
自作する
自分でデータを収集し、整形してデータセットを作成する方法です。
自分で作成することで、特定のプロジェクトや問題に最適なデータを取得することができます。
特定のビジネスプロセスのログ、ユーザーのアンケート回答、実験結果など、自身が持っているデータから作成することができます。
外部から購入する
一部のデータベンダーやオンラインプラットフォームでは、様々な種類のデータセットを提供しています。
これらのデータセットは、調査データ、市場データ、統計データなど、様々な分野にわたります。
ただし、外部からのデータセットの購入にはコストがかかることがあります。
Webからデータ収集する
インターネット上のページから情報を収集することで大量のデータを活用したデータセットの作成ができます。
そのデータ収集方法として、Webスクレイピングを活用すると手間が大きく省けるでしょう。
ただし、Webスクレイピングは法的な制約や倫理的な観点から注意が必要であり、Webサイトの利用規約に違反することがないようにしましょう。

データセットの作り方
データセットを作る際は、以下の手順に沿って行うとよいです。
1. 目的の定義・データ収集計画の作成
プロジェクトや課題に対する明確な目的を設定します。
どのようなデータが必要か、それを用いて何を達成したいのかを明確にします。
あわせて、どのようにデータを収集するかを計画しましょう。
これには、データの種類、量、収集方法、必要な属性などを含めて検討します。
その際に、データを取得するための手段やツールも決めておくとスムーズに進行できます。
2. データ収集
目的やデータ収集の計画が定まったら、実際にデータを収集します。
アンケートや実験、ツールを介したデータ収集などさまざまな手法があります。
自身でデータを持っておらず、手軽にデータ収集したい場合はWebからのデータ収集がおすすめです。
信頼できるサイトを選ぶことで大量で良質なデータを収集できます。
その際の方法としてはスクレイピングを活用することで効率化を図れます。
3. データの整形と前処理
収集したデータは、さまざまな形式や構造を持っている可能性があります。
データを分析に適した形に整形し、欠損値や外れ値の処理などの前処理を行います。
4. データのラベリング・保存
タスクによっては、各データポイントに対して正しいラベル(目的変数)が必要な場合があります。
その場合、手動でラベル付けを行うことがあります。
また、整形やラベリングが完了したデータを適切な形式で保存します。
一般的な形式にはCSV、JSON、データベースなどがあります。
5. データの分割
データセットをトレーニングデータ、検証データ、テストデータなどに分割します。
これにより、モデルのトレーニングと評価ができます。
6. データの利用と更新
データセットが完成したら、機械学習モデルのトレーニングや評価に利用します。
また、プロジェクトが進むにつれて新しいデータを追加したり、データを更新することがあります。
データ収集のベストプラクティス
前述したとおり、データ収集にはさまざまな手法がありますが、ベストプラクティスに限定すると次の3つがあげられます。
オープンソースデータセットの活用
既存のオープンソースデータセットを活用することで、手間を省きながら良質なデータを取得できる場合があります。ただし、データの特性や品質を確認することも重要です。
Webスクレイピングの活用
独自のデータセットを作成する際は、データの品質向上や偏りがないことに注意を払い、十分なバリエーションを確保しましょう。
Web上にあるデータからデータセットを作成する場合は、Webスクレイピングの活用が効果的です。
スクレイピングによってWeb上のさまざまなデータを収集できます。
ただし、Webサイトの利用規約は事前に確認し、許可を得るなどの対策は必須です。

セキュリティの担保
さまざまな情報を取得するため、なかには個人情報が含まれるデータを取り扱う場合があります。
その際、データの暗号化やアクセス制御を実施し、第三者が閲覧できないようにしましょう。また、従業員ごとに適した権限を付与することも重要です。
データセット作成の注意点
データセット作成時はいくつか注意したいことがあります。
データセットのバランスも重要
データセットは目的や課題に合うように作成するのが望ましいですが、バランスにも注意する必要があります。
データセットには、クラスや変数などを定義しますが、どちらか一方に偏ってしまうと、学習結果にも影響を与えてしまいます。
可能な限りバランスを保つため、評価体系の整理なども必要です。
データセットのクリーニングと前処理
データセット内の欠損値はモデルの性能に悪影響を与える可能性があるため、適切な処理が必要です。
状況に応じて、欠損値の補完や削除を行いましょう。
また、データセットには外れ値が含まれる場合があります。
外れ値のあるモデルは、トレーニングに悪影響を及ぼす可能性があるため、適切な処理が必要です。
使用するデータの著作権
データセットを作成する際には、使用するデータの著作権に留意する必要があります。
著作権保護されたデータを無断で使用すると法的な問題が生じる可能性があるからです。
オープンソースデータセットを使用する場合でも、そのデータセットのライセンスや使用条件を確認し、遵守しましょう。データの利用許可を得るためには、データの提供元に対して連絡をとり、利用許可を得る手続きが必要です。
データセットの実際の例
ここでは、有名なデータセットの例を紹介します。
MNIST(手書き数字データセット)
画像認識タスクで広く使用されるデータセットです。
手書き数字の画像と対応するラベルから成り立ち、0から9の数字を分類するモデルの訓練に利用されます。
CIFAR-10(10クラスの画像データセット)
10の異なるクラスに属する60,000枚の32×32ピクセルのカラー画像で構成されるデータセットです。
物体認識タスクにおいて広く用いられています。
IMDB映画レビューデータセット
テキスト分類タスクに使用されるデータセットです。映画レビューとその感情(肯定的または否定的)のラベルから成り立ち、自然言語処理モデルのトレーニングに活用されます。
まとめ
データセットはAIの機械学習において重要な役割を果たしています。質の高いデータセットを作成するためには、目的を明確にし、適切なデータ収集を効果的に行うことが不可欠です。オープンソースデータセットやスクレイピングを活用し、データの品質向上と著作権の確認を行いながら、質の高いデータセットを構築しましょう。
PigDataでは、スクレイピングの代行を承っており、Webサイトからのデータ収集も効率的に行えます。
高品質なデータセットを備えることで、優れた機械学習モデルの構築が実現できるため、この機会にWebスクレイピングを活用してみてはいかがでしょうか。