
「説明義務と説明責任の違いが分からない」「新商品を開発しているが法的な書類の準備が分からない」このようなお悩みはありませんか?何らかの契約行為の際に生じる義務が「説明義務」です。
業界によって法律上説明義務がある業務が異なります。
本記事では説明義務の概要を解説し、業界別の説明義務の例や公的機関のサイトを監視する際のおすすめツールを紹介します。
目次
説明義務とは
物の売買など何らかの契約行為をする際には、その内容がどのような物か相手にきちんと説明する義務があります。
これを説明義務と言います。
法律に「説明義務」と直接明記している条文はありませんが、最高裁の判例で、民法第1条第2項の規定から「説明義務」を認めています。
説明義務と説明責任の違い
説明義務は先ほども紹介したように、民法第1条第2項「権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。」に従って必要とされるもので、消費者を守るために存在します。
一方で、説明責任は少し複雑で、ある行為を実行した際は必ず結果責任が伴いますが、実際には「仕方がない事象」も存在し、しっかりと合理性や妥当性が説明できれば免責されるケースもあります。
ここでの「合理性や妥当性を説明する責任」が説明責任にあたります。
法律上説明義務がある業務
各業界で契約行為の際に消費者へ説明する義務がある業務があります。
不動産業界
宅地建物取引業法を例に挙げると35条1項は不動産取引でトラブルになりやすい内容を「重要事項」として類型化し、これらを「重要事項説明書」として説明しなければならない義務があります。
この他にも、水害ハザードマップについての重要事項説明義務があり、水害ハザードマップはその時々で情報が変わるため常に最新の情報に更新しておく必要があります。
医療業界
医学書の内容を細かく説明することは現実的ではありません。
そこで最高裁では手術を実施する際の説明事項として、①診断(病名と病状)②実施予定の治療内容③治療に付随する危険性④ほかに選択可能な治療法があれば、その内容と利害得失や予後としています。
このように、医療行為に対してその必要性や妥当性、デメリットを十分に説明することが求められています。
金融業界
金融商品を消費者に販売する場合は「金融商品販売法」によって説明義務が明確化されています。
例えば、販売する金融商品の金利や通貨価格、市場変動による元本割れリスクなどを消費者に説明する必要があります。また、商品の特性上、不確実な事項を断定的な判断として説明することも禁止されています。
「確実に儲かる」「早く買わないと値上がりする」などは説明義務と毛色は違いますが、説明時の義務(ルール)として定義されています。
電力業界
電気事業法で小売り電気事業者(電力会社)は料金や電力供給条件について説明することが義務付けられています。
具体的には「電力の小売営業に関する指針」が経済産業省から公開されており、契約行為を行う際に消費者に対して説明すべき事項や違反例がまとめられています。
人事分野
採用などのシーンでも説明義務は存在します。
例えば、採用時には労働基準法で定められている内容(給料や労働時間など)を従業員に対して説明することが義務付けられています。
また、法律ではないですが、会社のルールとなる就業規則で定めた事項も従業員に周知しなければなりません。
法律に関わる情報を確認する方法
法律そのものや、法律上説明しなければならない情報の内容は都度更新されています。
必ず〇月に更新される、といった決まりはないため、随時確認が必要な業務です。
法令や判例、判例解釈などを調べる際は「公的機関のWebサイトをモニタリング」「リーガルチェックサービスの利用」「専門家のコンサルティングサービスを利用」の3通りの方法があります。
公的機関のWebサイトをモニタリングする
目視で確認する
何を調べたいかによって確認するWebサイトが変わります。
「制定時の法令」を調べたい場合は、法令を交付する官報かそれを元に編集される法令全書で調べられます。
「現時点の法令」を調べたい場合は加除式法令集が便利です。
「特定時点の法令」を調べたい場合は日本法令索引で確認し、改正が反映されている法令集を見ることで特定時点の法令を確認できます。
Webサイト監視ツールを活用する
法令改正情報が掲載されるWebサイトを自動でモニタリングできるサービスがあります。
ツールが自動的にWebサイトをモニタリングし、更新があればメールなどで通知を受け取ることができます。
目視と比べて情報鮮度と網羅性において利点があります。
リーガルチェックサービスを利用する
契約書や重要事項説明書など法令に基づいた内容になっているかを弁護士に確認依頼できるサービスです。
最近では該当のファイルをアップするだけでAIがリーガルチェックを行うサービスもあり、比較的安価にリーガルチェックができます。
サービスによっては、修正対応やリーガル相談まで対応してくれるものもあります。
専門家のコンサルティングサービスを利用する
弁護士など法律の専門家が提供するコンサルティングサービスを利用するのも手です。
業界内の法規制を含む動向のキャッチアップ、契約書のリーガルチェック、新規事業や契約時のリスクヘッジなど法律の専門家として協力してくれます。
ツールも有効ですが、最終的には自分で情報を精査することになります。
コンサルティングサービスであれば、情報を精査したうえで必要な内容を提供してもらえるため効率が良いのがメリットです。
法律上説明義務がある情報をチェックするうえで気をつけるべきこと
説明義務がある情報をチェック・モニタリングする際は必ず以下4点に注意しましょう。
情報の鮮度
確認している法令が最新かどうか確認しましょう。
法改正がないか、参照している判例はいつのものか。
法律上説明義務のあることの内容が更新される頻度はあまり高くないものが多いです。
しかし、内容に変更があった際にはチェックしておかなければ法律違反となる可能性があります。
必ず「5W1H」の軸で情報を精査しながら、情報を集めましょう。
情報の正確性
説明義務があるので、その情報は確実でなければなりません。
公的機関の情報を参照している場合はあまり心配ありませんが、第三者のブログやメディア、一次情報が明確ではない二次情報には注意しましょう。
また、記載されている内容が「事実」か「主観・主張」なのかも精査する必要があります。
また、チェックしている内容に抜け漏れがあると古い情報を顧客に伝えかねません。
常に「正しい」情報を説明できるよう正確性を担保する必要があります。
情報の網羅性
業界によりますが対応すべき法令は多くあります。
景品表示法や消費者保護法などはほとんどの業界が遵守すべきものですが、業界固有の法令が必ずあるはずです。
共通の法令と業界固有の法令を網羅的に確認するようにしましょう。
変化に対応する仕組みづくり
意外と重要なのがモニタリングを実行したあと社内に展開・発信する仕組みづくりです。
モニタリング自体をプロジェクトとして企画してもその情報を共有する習慣が継続しなければ意味がありません。
全ての従業員が参照するような仕組みと文化を作るよう、管理職を筆頭に意識していきましょう。
随時変化する情報のチェックはWebサイト監視ツールが最適!
ここまでの内容を人力で実行するのはかなり無理があります。
コンサルティングサービスを利用できると最も理想ではありますが、月額費用やオプション費用で高額な費用がかかってきます。法令そのものもそうですが、説明義務のあることの内容も随時変わることがあるため、法令だけのチェックでは足りません。また、いつ変化があるかわからないような情報のチェックにそこまで予算をかけるというのも現実的ではありません。
その点、Webサイト監視ツールであれば比較的安価に法令・説明義務内容のチェックを実行できるためおすすめです。
情報の鮮度
Webサイト監視ツールは365日毎日監視を行い、変更があればメールで通知を受け取ることができます。
変更があったタイミングで情報を参照し、重要事項説明書の修正や更新ができます。
通知を見逃さないことや誰がキャッチアップし周知するのか、という議論はありますがWebサイト監視ツールを使うことで情報の鮮度を担保できます。
情報の正確性
どれだけ注意していても人の手では必ず抜け漏れが生じます。
Webサイト監視ツールであれば、指定したサイトの変更を検知すると自動で通知してくれるため、人の手によるヒューマンエラーを防止することができます。
担当者によって確認していたサイトが違う等もなくせるため常に正確な情報を取得できます。
情報の網羅性
人力であればリソースが限られているため参照する範囲を狭くしたり、頻度を減らしたりすることになります。
その結果、情報の抜け漏れが生じることで網羅性を担保できなくなります。
Webサイト監視ツールであれば、見たい情報を網羅的にツールが自動でモニタリングしてくれるため、抜け漏れが生じることもありません。
変化に対応する仕組みづくり
人力であれば「作業」に時間が取られてしまい、周知や実行といった仕組みづくりまで手が回らないケースが多いです。しかし、Webサイト監視ツールが変更を検知し、ひとりではなく登録している人全て、もしくはグループごとに通知してくれるため、変化に対応する仕組みづくりがツールの中にできています。
おすすめのWebサイト監視ツール(無料)
無料で使えるおすすめのWebサイト監視ツールを紹介します。無料のものは登録URL数が少ないものが多いため、スタートアップ企業におすすめです。
ただし、法改正に特化した機能はないため「Webサイト監視ツールとはどんなものか」を試すのに最適です。
アプミル
URLを登録するだけのサイトを24時間365日自動で監視してくれます。
無料で100URLまで登録でき、監視データをメールアドレスだけで簡単に社内共有ができます。
法改正に特化した機能はありませんが、登録や操作が簡単なため、Webサイト監視ツールを試してみたい企業に向いているサービスです。
公式サイト:https://appmill.work/
モニタリングプラス
サーバー設定が不要でシステム担当者のリソースを割かずに簡単に実装・管理ができるWebサイト監視ツールです。
WebサイトのURLを登録するだけで簡単にモニタリングできます。
基本的には無料で利用できますが、機能を充実させたかったり登録URL数を増やしたい場合は有料プランも用意されています。
公式サイト:https://www.monitoring-plus.jp/
おすすめのWebサイト監視ツール(有料)
続いて、有料のWebサイト監視ツールを紹介します。
機能が豊富で法改正のモニタリングに利用しやすいです。
また、無料のものと比べてカスタマーサービスが充実しているものも多いです。
トライアルを用意しているサービスもありますので、まずはトライアルから試してみてはいかがでしょうか。
TOWA
指定したWebサイト監視し変更を検知するだけでなく、変化の情報を一覧で可視化してくれます。
また、タスク管理機能が要されており、TOWA1つで検知〜実行管理までできるため非常に便利です。
キーワードを指定したり、差分を検知する範囲を指定できるため「無用な通知が多くて逆にわからない」等もありません。
いくつか制限はあるものの2週間のトライアルが用意されており、スタートアップ企業でも安心して利用できます。
他にも、TOWAの初期機能で足らない場合は個別のカスタマイズによる対応が可能です。
1社1社の悩みをヒアリングしたうえで提案するため、Webサイトの監視を検討する際はまず問い合わせてください。
公式サイト:https://pig-data.jp/service/towa/
CERVN
Webサイトの差分や更新情報を自動で取得し、お知らせするツールです。
一般的なWebサイト監視ツールとしての機能も充実していますが、CERVNは下層ページでも検知できるため公的機関などの複雑なサイト構成でも抜け漏れなくモニタリングできます。
費用は問い合わせが必要ですが、2週間のトライアルが用意されています。
まずはトライアルで使用感を試してみてはいかがでしょうか。
公式サイト:https://www.cervn.jp/
条例アラート
Westlaw Japanが提供する法令に特化したWebサイト監視ツールです。
現行法令や廃止法令だけでなく、未施行法令、法案が登録されています。
判例も充実しており30万件を超えるほどで、実質的に日本で最大の法令データベース。
費用は問い合わせが必要ですが、情報の網羅性や対応範囲はかなり広いため大企業におすすめのサービスと言えます。
公式サイト:https://www.westlawjapan.com/l-alert.html
まとめ
どの業界でも法律上説明が義務付けられているものがあります。
説明義務として社内で周知することはもちろん、常に最新情報を把握しておくことがコンプライアンスの観点で重要です。しかし人力で情報の鮮度・網羅性を担保するのは現実的ではありません。
そこでおすすめなのがWebサイト監視ツールです。
Webサイト監視ツールは簡単でかつ、確実にチェックすべき内容をモニタリングしてくれます。Webサイト監視ツールを選ぶ際は、セキュリティやサポート体制がしっかりしている有料版がおすすめです。
弊社PigDataはWebサイト更新チェックツール「TOWA」を提供しています。
説明義務のある業務内容のチェックなど、Webサイトを監視しなければならないけど大変だという悩みを持っている場合は一度お問い合わせください。