
この記事では、API(Application Programming Interface)に焦点を当て、APIとは何か、そしてAPI連携の活用方法について詳しく解説します。API連携という言葉をよく聞くものの、その具体的なイメージがわからない方や、業務にAPIを活かしたいと考えている方に向けて、豊富な情報を提供します。
目次
APIとは
API(Application Programming Interface)は、異なるソフトウェア同士が情報をやり取りするための仕組みです。
APIを活用することで、外部からデータの送受信ができたり、サービスの機能を呼び出したりできます。
たとえば、気象データ、地図情報などの送受信があります。
他にもYouTubeの場合は、動画の再生数や評価数などの動画情報の取得やオーディエンスの年齢層などの統計情報の取得も可能です。
スクレイピングとの違い
APIはサービス側が提供する情報のみを取得できます。
対して、スクレイピングはWebページからデータを抽出するため、開発側が任意の範囲で情報の取得が可能です。
APIはデータ提供元が意図的に公開した情報にアクセスするのに対し、スクレイピングはWebページ全体から情報を取得することが可能ですが、サイトの利用規約に注意する必要があります。
APIの種類
APIはその性質によっていくつかの種類に分類されます。
主なAPIの種類には「オープンAPI」、「プライベートAPI」、「Web API」などがあります。それぞれの特徴や利用場面について以下で詳しく解説します。
オープンAPI
オープンAPIは安全な通信を実現するために、具体的な項目や形式を定義する規格です。
オープンAPIはさまざまなプログラミング言語で活用でき、APIの仕様に沿った開発やテストができます。
また、オープンAPIは外部に公開できるため、より効率的な開発が可能になります。
プライベートAPI
プライベートAPIは、一般の開発者や外部の利用者には公開されず、特定の組織や企業内で利用されます。
主に内部でのシステム間連携や業務プロセスの効率化を目的としたAPIです。
たとえば、CRMシステムとERPシステムを連携するために活用されます。
また、プライベートAPIは、外部への公開が制限されるため、セキュリティリスクを最小限に抑えることも可能です。
WebAPI
Web APIは、HTTP・HTTPSによって通信が行われるAPIです。
Web APIは主に「REST API」「SOAP API」の2種類あります。
REST(Representational State Transfer)は分散型システムにおける複数のソフトウェア連携に適した設計を行うための考え方であり、モバイルアプリケーションがサーバーと通信するための主要な手段として採用されるケースがあります。
SOAP API(SimpleObject Access Protocol)は、Webサービス実装時にHTTPリクエストやレスポンスにXMLを利用してデータのやり取りを行うAPIです。
XMLに限らず、SMTPなどの任意の通信プロトコルも使用できます。
OS API
OS API(Operating System API)は、LinuxやWindowsなどのOSとアプリケーション間で通信するためのAPIです。
主にアプリケーションがハードウェアの機能やリソースを利用するために必要とされ、さまざまな機能が備わっています。
たとえば、ファイルやディレクトリの操作、メモリの確保・解放などです。
ランタイムAPI
ランタイムAPIは、アプリケーションを実行するために必要なプログラムやファイルの集合体です。
一般的には、ランタイムライブラリと呼ばれ、プログラムを必要とするモジュールのことを指します。
ライブラリAPI
Javaなどの開発言語を用いた開発においては、ライブラリAPIを呼び出すことで効率的に実装できます。
ライブラリAPIは、クラスをまとめたクラスライブラリを指し、特定の機能を持つプログラムをクラスとして定義・呼び出すことで、外部から利用できるAPIです。
APIの仕組み
APIの仕組みについて詳しく解説します。通信プロトコルやリクエスト・レスポンスの流れを理解することで、API連携の基本を把握しましょう。
APIは通信プロトコルを通じてリクエストを送り、データを受け取ることで機能します。
クライアントがAPIにリクエストを送り、サーバーがそのリクエストに対してデータを提供する形です。
このプロセスを通じて異なるシステム同士が連携し、情報の受け渡しが行われます。
(※引用:APIとは?API連携の仕組みやメリット、活用例をわかりやすく解説|ADEBIS)
APIを活用するメリット
APIの活用には多くのメリットがあります。
具体的な例を挙げながら、業務においてAPIを活かすことでどのような利点が得られるのか解説します。
リアルタイムなデータ更新
APIを用いることで、データのリアルタイムな更新が可能です。
たとえば、株価や天気情報など、常に最新のデータを取得できます。
これにより、ユーザーに対して正確で価値のある情報を提供できます。
データの正確性と信頼性
APIを利用することで、データの正確性と信頼性が向上します。
提供元が保守・管理しているデータを取得するため、誤った情報を取り込むリスクが低減します。
システムの柔軟性向上
異なるシステム同士がAPIを介して連携できるため、システムの柔軟性が向上します。
新しい機能やサービスを導入しやすくなり、ビジネスの変化にも迅速に対応できます。
APIのデメリット
APIの活用にはデメリットも存在します。
セキュリティの懸念や依存性の問題など、注意が必要なポイントについて詳しく解説します。
セキュリティリスクの考慮
APIを利用する際には、セキュリティリスクが懸念されます。
不正アクセスやデータ漏えいなどへの対策が重要であり、適切なセキュリティ対策が必要です。
依存性と障害への対処
外部のAPIに依存することで、そのAPIが障害を起こした場合にシステム全体に影響が及ぶ可能性があります。
これに対処するためには冗長性を考慮し、代替手段を備える必要があります。
提供されるAPIは決まったデータしか連携できない
一部のAPIは、提供元が定めたデータ以外の連携が制限されています。たとえば、特定の項目や範囲の情報しか取得できない場合があります。
これはAPIの仕様に基づいており、連携を行う際には提供されるデータに注意が必要です。
APIの活用例
APIを活用した事例を3つ紹介し、それぞれの業務においてどのようにAPIが活用されているのかを解説します。
オンライン決済システムの導入
企業がオンラインで商品やサービスを提供する際、オンライン決済APIを導入することで、クレジットカードや電子マネーを活用したスムーズな決済が可能になります。
これにより、ユーザーエクスペリエンスが向上し、ビジネスの拡大が期待できます。
天気情報の統合
天気情報APIを利用することで、企業やアプリケーションはリアルタイムの天気情報を取得し、ユーザーに提供できます。
これにより、イベントの開催、商品の販促などにおいて、正確で最新の天気情報を活用することが可能です。
ソーシャルメディア連携
企業のマーケティング戦略において、ソーシャルメディアAPIを利用してユーザーの投稿や反応をリアルタイムで把握することができます。
これにより、商品やサービスへのフィードバックを収集し、迅速かつ適切な対応が可能です。
これらの例から分かるように、APIの活用は様々な業界で柔軟で効果的なソリューションを提供しています。
最新!APIのトレンドとは
APIの最新トレンドに焦点を当て、将来的な発展が予測されるAPI技術について解説します。
GraphQLの普及
GraphQLは、APIの柔軟性を向上させるためのクエリ言語であり、近年急速に普及しています。
REST APIよりも柔軟で効率的なデータ取得が可能であり、今後ますます注目を集めるでしょう。
サーバーレスアーキテクチャの採用
サーバーレスアーキテクチャは、従来のサーバー構築に比べて柔軟でコスト効果が高いため、多くの企業で採用が進んでいます。
APIの提供や連携においても、サーバーレスの採用が増加しています。
オープンバンキングの拡大
金融業界ではオープンバンキングが進展しており、これに伴いAPIの役割が重要視されています。
銀行や金融機関が提供するAPIを通じて、顧客は安全かつ便利なサービスを利用できるようになります。
これらのトレンドは、APIの利用がますます多様化し、進化していることを示しています。
APIを活用する際の注意点
APIを効果的に活用するための注意点について詳しく解説します。
セキュリティ確保の重要性
APIを利用する際にはセキュリティの確保が非常に重要です。
APIには機密情報が含まれることがあり、十分な認証や暗号化を実施することが必要です。
利用規約の確認
APIを利用する際には、提供元の利用規約を確認することが不可欠です。
APIの使用に関する制約や料金体系などを理解し、問題が発生しないようにするためです。
バージョン管理の重要性
APIは進化するものであり、バージョンアップが行われることがあります。
安定した運用を維持するためには、バージョン管理を適切に行い、アップデートに柔軟に対応することが重要です。
これらの注意点を踏まえつつ、APIを導入することで効果的な業務プロセスを構築できます。
スクレイピングしたデータもAPI連携できる
スクレイピングで得たデータはAPI連携を行うことで、さまざまなメリットを得られます。
たとえば、収集した情報を他のアプリケーションやシステムと連携させることで業務の自動化ができたり、他のプラットフォームやサービスで参照できるようになったりします。
また、API連携によってリアルタイムで情報を取得できるため、手動更新の必要もなくなり、業務の効率化も実現できるでしょう。
PigDataでは、実際にスクレイピングしたデータをAPI連携した事例があります。
※関連事例:アプリ・サービス開発のための位置情報を定期取得
まとめ
この記事では、APIの概要や種類、メリットなどを解説しました。
APIを利用することで、外部からデータの送受信ができたり、サービスの機能を呼び出したりできます。しかし、APIはあくまで提供側(制作側)が指定したデータしか活用できません。制限が設けられていることで、データを利用できないケースもあります。このような場合は、スクレイピングで収集したデータを活用する方法がおすすめです。
スクレイピングであれば、任意のWebデータを取得できるため、さまざまな用途に活用できます。ただし、スクレイピングの際には、法的観点に留意する必要があり、専門家の協力を得るとよいでしょう。