
データ活用により利益最大化を図るコカ・コーラボトラーズジャパン
今回PigUPがご紹介する企業は、強固なデータ基盤を構築しデータ活用によるDXを実現したコカ・コーラボトラーズジャパン株式会社。商品の売上や在庫、営業状況などのデータを一元化し経営に活かすなど、膨大なデータを分析し活用する体制が整っている企業の事例です。
同社は2001年に設立され、清涼飲料水とアルコール飲料の製造、加工、販売を主要な事業として、日本国内でコカ・コーラシステムのほぼ全体の販売を担っています。持続可能性にも注力し、ボトルリサイクルなどの取り組みを推進。売上は8000億円を超える飲料業界のリーディングカンパニーです。
(参照:https://www.ccbj-holdings.com/ir/pdf/ja/annual/2022/1.pdf)
目次
コカ・コーラの揺るがない人気を保つ秘訣は“データ統合”にあった
世界中で知らない人はいないコカ・コーラブランド。日本でも多くの人に愛されるコカ・コーラの裏側には、決して華やかとは言えない地道なデータとの関わりがありました。
データ活用へのターニングポイントは統合ERP『CokeOne+』の導入
決算説明書を見ると、コカ・コーラボトラーズジャパンでは2014年から統合ERP『CokeOne+』の導入に向けて動き出していました。ERPとは、企業経営の基本となる資源要素(ヒト・モノ・カネ・情報)を適切に分配し有効活用する計画・考え方のことです。統合ERP『CokeOne+』により、在庫、売上、人材などあらゆる経営上のデータを一元管理を実現しました。
導入から4、5年経った(2019年)頃のコカ・コーラボトラーズジャパンホールディングスのカリン・ドラガン社長の発言から、CokeOne+で集約したデータが経営に活かされていることも伺えました。
経営層にとって会社の健康状態が分かる『データ』は戦略の方向性を決めるためになくてはならない存在と言えます。
コスト削減のカギはデータの統合管理
コカ・コーラ社の歴史をさかのぼると、1970年頃から長年にわたり、全国のあらゆる地域に複数の営業拠点を置いていたことが分かりました。各地に点在した営業担当が、顧客起点で製品を作り、届けるという地域密着型の営業体制だったといいます。
しかし、少子高齢化やコンビニエンスストアの普及などにより、市場環境が急速に変化。長年続けてきた営業システムは続けられないと判断されました。
そこで、全国各地にあった営業所を5つにまで統合し、製造から販売までの管理を一元化。今まで点在していた営業データが集約されたことで、在庫や物流フローのムダが明らかに。コスト削減した分、新しいプロジェクトへの投資が活発になったといいます。
最初は地域密着の営業によって売上を伸ばしていたコカ・コーラも、データの活用によって新しいプロジェクトへの投資といった事業の改革、企業のDXを実現していました。
(参照:https://www.ccbj-holdings.com/ir/pdf/ja/annual/2022/1.pdf)
目的は「データ収集の基盤づくり」ではなく、『どう活用するか』
コカ・コーラボトラーズジャパンは、膨大なデータを蓄積するシステム基盤が他社よりずば抜けてあると感じます。前述したデータ統合の話もその一つですが、2021年に公表された取り組みで『70万台の自販機データを活用した事例』がありました。70万台のデータを集めると蓄積データは数百億件にのぼるといい、データ基盤がしっかりしていることが伺えます。
しかし、この膨大なデータを集めるだけではなく、そのデータを「どう活かすか」というのが結果を出すために最大のポイントとなります。コカ・コーラ ボトラーズジャパンのデータサイエンティストマネージャーである松田氏は、データの扱い方を心得た人材が社内のハブになることで臨機応変にデータ活用ができるようになると明言しました。
(参照:https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2111/16/news047.html)
70万台の自販機データから気付いたまさかの売れ筋商品
全国の自販機70万台から収集したデータの活用方法の一つに、売れ筋商品を補充するサイクルの構築がありました。そんな自販機のデータから、まさかの売れ筋商品が発覚したのです。
それは、とあるスポーツ施設に設置された自販機の事例。
スポーツ施設ではスポーツをする人たちが休憩中や試合後にアクエリアスなどスポーツ系飲料が売れるだろうと当時の担当者は予測していました。
しかし実際に多く売れていたのがホットのミルクティーなど、スポーツした後には飲まないであろう飲料だったといいます。
この自販機データを見た後に調査した結果、保護者の方々が待ち時間に自販機を利用していることが分かりました。こういった保護者のニーズを取り入れることで、機会損失を防ぐことができたようです。
どうしても先入観を持ってしまう「人」よりも確実な根拠を持つ「データ」による意思決定は成果を最大化するためになくてはならない存在といえますね。
データの収集から活用まで一気通貫で行う体制づくり
せっかくデータを収集しても、どう活用していくかが分かっているのといないのとでは結果が全く変わってきます。データサイエンティストの育成が多くの企業で目立つようになってきた現代。我々PigDataも在籍するデータサイエンティストが、スクレイピングによってデータを収集するだけではなく、活用目的ごとに最適な扱い方をご提案し、成果に繋がるデータ活用に向けて多くの企業様と伴走しています。
今後もコカ・コーラボトラーズジャパンのように、膨大なデータを収集し、そのデータを活用することによるDXの推進は至るところで実現していくことでしょう。