テキストマイニングとは?種類や目的、分析手法について解説
ユーザーの行動が多様化した現代では、さまざまな媒体から市場や顧客ニーズを把握する必要があります。そこで近年、テキストマイニングが注目されており、有益な情報の取得から分析まで可能です。そこで今回は、テキストマイニングの概要から種類、目的、分析手法について解説します。テキストマイニングを行うことで効果的なマーケティングが可能になるため、本記事で学びましょう。
テキストマイニングとは

テキストマイニングとは、テキストを単語レベルに分割し、出現頻度や相関関係を分析する手法です。主に、テキストマイニングはAIによる自然言語処理を活用することが多くあります。自然言語処理とは、日常生活において使われている言葉をコンピュータが処理することを指します。
テキストマイニングの対象データ
テキストマイニングはビッグデータの分析と同義です。そのためテキストマイニングの分析対象もそれに近く、構造化データ・非構造化データの2種類があります。
・構造化データ
数値など、表現が簡単で取り扱いやすいデータ
・非構造化データ
人の感情など、数値で表現できない扱いにくいデータ
テキストマイニングでは、非構造化データよりも構造化データの分析に活用されることが多くあります。主に、インターネットやSNSなどへの書き込み、アンケートの記述文、コールセンターでのやりとり、などが代表的です。最初から細かく分析するのではなく、テキストマイニングで概要を掴むことで、細かな分析を行うのが一般的です。
テキストマイニングとAIの違い
テキストマイニングと混同しやすい技術にAIがあります。それぞれの違いは、技術そのものが学習したり、タスクを自動実行するものかどうかです。AIは人工知能と呼ばれることからも人と同様に考えて処理できる技術です。例えば、顔認証や自動運転があります。
対して、テキストマイニングはテキストのビッグデータのようなもので、AIのような機能は持ちません。テキストマイニングとAIは同じものではありませんが、スマートスピーカーなどのAI機器でも、テキストマイニングで活用されている自然言語処理を搭載したものも開発されています。
テキストマイニングの種類
テキストマイニングは主に2種類あります。
探索的データ解析
探索的データ解析は、未知の情報や正確な答えがない質問の回答を探す解析方法です。テキストを単語ごとに分析して分割するため、出現頻度や時系列など、さまざまな観点から分析できます。データの可視化に必要な作業なため、分析初期に行われることが多いです。
一般的なテキストマイニングは探索的データ解析を指しますが、あくまでテキストマイニングの一部であり、テキストマイニングのすべてではありません。
文書分類
文書分類とは、テキストを内容ごとに分類する解析方法です。主に「教師あり文書分類」と「教師なし文書分類」の2種類があります。
・教師あり文書分類
事前に準備した分類器を活用して行う分類方法。事前の学習が分類の精度に影響する。
・教師なし文書分類
テキストを特徴ごとに分類する方法。事前の学習は不要。
テキストマイニングの目的
テキストマイニングを利用する目的は主に3つあります。それぞれ解説します。
顧客ニーズの分析
問い合わせ情報やアンケート結果などは顧客の意見が反映されています。これらをテキストマイニングすることで、顧客の年齢層、意見の種類などを分析でき、顧客ニーズの明確化につながります。点在していたさまざまな意見を整理することが顧客ニーズ分析の第一歩です。
業務改善
テキストマイニングで抽出したデータは業務改善に活かせます。営業日報や会議の議事録・報告書など、社内にあるテキストデータは業務の可視化に役立ちます。結果として、業務の改善点や対策ができ、社内ナレッジとして業務やスキルの平準化につながります。
ビッグデータによる将来予測
SNSや口コミサイトのコメントは日々膨大なテキストが流れています。それらのテキストをビッグデータとして分析することで、話題になりそうな商品や既存サービスの改善案、今後の商品・サービス開発に役立つ情報などを得られる可能性があります。
テキストマイニングの手法
テキストマイニングは主に4つの手法があります。それぞれ解説します。
センチメント分析
センチメント分析は、顧客の感情を分析する手法です。顧客が商品やサービスを利用したとき、どのような感情を持ったのかについて「肯定的」「否定的」「中立的」の3種類で評価します。ただし、センチメント分析は顧客の年代や文脈によって異なる意味を持つ言葉を分類できません。その場合は、データを活用する人の判断に依存することになるため注意しましょう。
主成分分析
主成分分析は、ビッグデータなどの膨大なデータを分析する場合に、少数の項目に置き換える分析手法です。ビッグデータは多数のデータ項目が存在するため、それらの項目が分析の妨げになりえます。主成分分析を活用することで、必要なデータだけを残して分析の簡素化が可能です。結果として不要なデータがない分、重要な分析結果のみを整理できます。
対応分析
対応分析は、コレスポンデンス手法とも呼ばれ、アンケート結果のクロス集計、編集・集計を行う前のローデータを散布図によって分析する手法です。
アンケート結果などクロス集計を行う場合は、項目数が増えるほど結果が把握しづらく、苦労して得た結果も活かしにくいです。対応分析では、散布図によって項目の関連性がわかりやすく、対象データの比較も簡単です。競合他社との比較によく活用されます。
共起分析
共起分析は、テキスト内で関連する単語を洗い出し、それらのつながりを分析する手法です。対象の言葉の頻度や共に活用される言葉を探す時に役立ちます。
テキストマイニングのメリット

市場や顧客ニーズを把握できる
商品やサービスの売上を伸ばすには、市場や顧客ニーズの把握が重要です。問い合わせやSNSを通じて顧客の意見や要望を見ても、市場や顧客ニーズを分析することは簡単ではありません。テキストマイニングを活用すると、有益な情報とそうでない情報に分類でき、市場や顧客ニーズの動向を分析できます。商品やサービスの売上の伸びない原因を素早く発見し、対策を練ることで、現状の販売に大きな影響を与えずに対処が可能です。
ノウハウの属人化の防止になる
業務の手順書や報告書などのナレッジには業務の効率化や注意点が豊富に含まれています。しかし、これらを作成しただけで効果的に活用できている企業は多くありません。このような状況でもテキストマイニングを活用すれば、有識者が作成したナレッジを発見して共有することもでき、知識やノウハウの全社に向けた平準化が可能になります。
テキストマイニングの主な活用例
テキストマイニングの主な活用例を紹介します。
顧客アンケートの結果分析
商品やサービスの品質向上のために、顧客アンケートを実施している企業が多くあります。これまでは顧客アンケートの結果をエクセルなどの表計算ソフトで集計することがほとんどでした。そこで、テキストマイニングを活用することで、結果集計や分析の大幅な改善が実現できます。正確な分析結果も算出できるため、想像できないような顧客ニーズの発見も可能です。
SNS・Webサイト上の情報取得・分析
テキストマイニングはSNSやWebサイト上の情報分析にも活用されます。どのようなキーワードがトレンドなのか、その変遷はどうなっているのか、ユーザの満足度はどうかなど、膨大なテキストから分析できます。この分析は商品やサービスだけでなく、自社の活動がどの程度浸透しているのかなど、今後のマーケティングにおいても役立つ結果を得られます。
まとめ
今回は、テキストマイニングの概要から種類、目的、分析手法について解説しました。テキストマイニングは業界・業種を問わずに企業活動の重要な役割を担っています。この機会にぜひ導入してみてはいかがでしょうか。