
業務をより効率的にするために、ETLツールの導入を検討している方はいませんか?多くの企業にITシステムが浸透している近年において、システム内に蓄積されたデータを分析し、経営活動への活用が当たり前になりました。目まぐるしく変わるビジネス環境では、求められるデータも変化していくので、素早く対応するためにETLツールを導入する企業が増えています。しかし、ETLツールと一口に言っても様々な製品があるので、どれを選べばよいか悩んでいる方も多いのではないでしょうか?
そこでこの記事では、数あるETLツールの中から、おすすめの19製品をご紹介します。この記事を読めば、どのETLツールが自社に合っているのか、比較検討できますよ。
ETLツールとは
ETLツールとは企業の内外で蓄積されている膨大なデータを、複数間のシステムで効率的に運用できるように、データ処理を行うミドルウェアツールです。
そもそもETLとは、
- Extract:抽出
- Transform:変換
- Load:書き込み
の頭文字を取った略称で、データを抽出・変換・出力する機能を備えています。情報の扱いが重要になっている現代のビジネス環境において、データ分析は必要不可欠です。
しかし、分析に用いるデータはシステムによってデータ形式や文字コードなどが異なるため、形を統一するための作業に従来は多くの時間がかかっていました。ETLツールを導入すれば、膨大なデータ群から必要なデータを抽出し、変換・出力する作業を効率的かつ正確に行えるようになります。
ETLツール3つのメリット
ETLツールの導入によって得られるメリットとして、次の3つが挙げられます。
- 分散している情報の統合的な管理
- データの整形・変換・出力
- 業務効率の向上
ETLツールを活用すれば、これまで時間がかかっていたデータの整頓作業を、効率的に行えるようになるはずです。データに関する専門的な知識を持っていなくても、短時間で正確にデータ整頓を行えるので、業務の効率化にも繋がっていきます。メリットをしっかり理解して、ETLツールの効果を発揮できるようにしましょう。
次に、それぞれのメリットについてご紹介します。
1. 分散している情報の統合的な管理
ETLツールを導入すれば、企業内に分散している膨大な情報を効率的に収集し、統合的に管理できるようになります。データ分析には企業内に蓄積されているデータが必要ですが、企業のデータは様々なシステムで管理してるため、横断的なデータが収集が必要です。システムによってデータの抽出手順が異なり、それぞれ異なる知識が求められるため、手作業で行うのは時間がかかりすぎて効率的ではありません。
ETLツールを導入すれば、専門知識とコストが必要なデータの抽出作業を自動化できるので、効率的に点在している情報を管理できるようになります。データ分析はデータの抽出作業の繰り返しですので、データ分析の作業自体もスピーディに行えるようになるでしょう。
2. データの整形・変換・出力
企業内の複数のシステムから抽出したデータの整形・変換作業を、ETLツールを使えば正確かつ迅速に行えるようになります。複数のシステムから抽出したデータは、それぞれデータ形式や文字コードなどが異なるため、同じ形に統一しなければ正確な分析に使えません。また、重複しているデータや足りないデータもあるので、必要に応じて削除や補間作業が必要です。手作業でデータの整形・変換作業を行おうとすると、人為的なミスが発生してしまうリスクがあるので、データの品質が大幅に落ちてしまいます。
ETLツールを用いれば、データの変換や整形作業を自動的に行ってくれるので、手作業で行うよりも効率的かつ正確です。
3. 業務効率の向上
ETLツールはプログラミング言語を使わなくても扱えるので、IT担当者の負担を軽減し、業務効率の向上が期待できます。従来のETLツールは専門的なプログラミングスキルを持つ技術者が作成していましたが、プログラムの修正にはコストがかかるため、抽出のやり直しが簡単にできませんでした。また、プログラミングを行った担当者がいなくなった場合、ツールのメンテナンスが悪化してしまうというリスクも抱えています。
しかし、現在のETLツールは視覚的に分かりやすい開発環境になっているので、作業内容の変更に柔軟に対応できるようになりました。メンテナンス性も向上し、データ処理にかかる時間を短縮できるので、他の業務に十分なコストをかけて業務効率の改善が期待できます。
ETLツールの選ぶポイント
現在多くのETLツールがあるため、導入しようにもどのツールを選べばよいのか悩むこともあるでしょう。そこで、ETLツールを選ぶポイントをいくつかご紹介いたします。
課題の明確化
文字コードやフォーマットの変換など、対応したいデータクレンジングの工数を明確にしておく必要があります。そうすることで、ETLツールを導入した後どのくらい工数削減できるのかを事前にイメージすることができます。
利用する規模と価格を合わせる
ETLツールはその使用範囲や使用量によってかかってくるコストがかわってきます。また、中小企業向けのものや大企業向けのものなどそのタイプは様々です。自社で利用したいデータクレンジングの種類や範囲、その規模を明確化して適切なコストをかけるようにしましょう。
必要なIT知識
ETLツールは全くプログラミングの知識を必要とせず、クリック&ドラッグだけで利用可能なものもあれば、多少専門的な知識を必要とするものがあります。ETLツールを活用する人がどのくらいの知識を持っているのか、またそのツールの機能が十分課題を満たしているか考慮して導入することが大切です。
おすすめのETLツール19選
ETLツールは効率的なデータ分析を行うために欠かせない要素ですが、どのような状況においても正解のETLツールはありません。企業の状況や使われる場面などによって、適切なETLツールは異なるので、必要に応じてふさわしいツールを選択する必要があります。
おすすめのETLツールを19社ご紹介しますので、参考にしてみてください。
1. Xplenty
Xplentyは複数のデータソースの統合をサポートしてくれる、クラウド型のデータ統合プラットホームです。プログラミングの経験がない人でも、ドラッグアンドドロップの直感的な操作で、柔軟なカスタマイズを行えます。140を超えるデータソースに対応しているほか、最先端のセキュリティ機能も搭載しているので、セキュアな環境で利用できます。サポートは2時間対応しているので、初心者でも扱いやすいツールといえるでしょう。
2. Alooma
Aloomaはクラウド上に存在するデータを、Google BigQueryというデータウェアハウスに一元化できるデータ移行ツールです。データの整形から分析までの流れの多くを自動化しているので、分析結果に集中できるようになるのが最大の特徴といえます。かつてはGoogle BigQuery以外のデータっウェアハウスとも互換性がありましたが、2019年にGoogleに買収されて以来、Google BigQueryでしか使えなくなりました。
3. Stitch
Stitchはオープンソースで利用できる、データ統合プラットフォームです。データ連携までのプロセスがシンプルになっているので、専門的なスキルを持っていなくても扱いやすいツールといえるでしょう。オープンソースなので拡張性も高く、幅広いデータソースからデータを抽出できます。また、オーケストレーション機能によってデータの流れを制御・可視化できるので、メンテナンスもしやすいです。14日間の無料トライアルもあるので、気になった場合は試してみるとよいでしょう。
4. Oracle Data Integrator
Oracle Data Integratorは豊富なオプションを備えた、包括的なデータ統括プラットフォームです。Oracleのデータ管理エコシステムの一部であるため、他のOracle関係のアプリケーションを利用している場合は、適切な選択肢の1つとして選ばれるでしょう。また、Oracle Data IntegratorはETLではなく、ELTワークロードをサポートしています。ETLとは違い、変換をデータベースサーバー内で行うので、専用の中間サーバーが不要でコストの削減が可能です。高速にデータを取り込める一方で、処理中はデータベースの負担が大きくなってしまうので、容量を拡張や処理時間の変更などといった工夫が必要となります。
5. Waha! Transformer
Waha! Transformerは1,000億件にも及ぶデータ処理実績を持つ、純国産のETLツールです。デンソーやミズノといった大手企業でも用いられているので、信頼して使えるツールといえるでしょう。シンプルで直感的な操作性なので、専門的なスキルを持っていなくても、複雑で高度な処理も簡単に設定できます。また、純国産のツールならではの充実したサポートが用意されており、危機的障害が発生した場合には訪問によるサポートもしてくれます。ユーザー研修やマニュアルも充実しているため、初めてETLツールを導入するという企業でも扱いやすいでしょう。
6. ASTERIA Warp Core
ASTERIA Warp Coreはノーコードで、業務の自動化やシステム連携をサポートしてくれる、データ統合ミドルウェアです。アイコンをドラッグ&ドロップする直感的な操作で、既存のデータベースや各種業務システムとの連携を設定を簡単に行えます。システムを連携する際に課題となってしまう、データ形式などの相違を吸収して、システムごとに合わせてインターフェースを開発する必要がありません。また、ASTERIA Warp Coreは各種データベースに対応しており、抽出や変換の流れを確認して問題点を見つけられます。
7. Boomi
Boomiは近代的なクラウドプラットフォームを介して、シンプルなものから精密なシステムまで、幅広く構築できるプラットフォームです。システムやアプリケーションを連携する機能に加えて、ワークフローアプリの構築と統合にも対応しています。コーディングの多くが不要ですので、アプリケーションの導入や構築を迅速に可能です。コミュニケーションをとりながら操作できるので、データ統合以外にも多くのシーンで活躍できるでしょう。
8. ASTERIA Warp
ASTERIA Warpは簡単操作で企業内に蓄積されているデータを統合できる、クラウド型のETLツールです。ノーコード開発環境なので、専門的スキルを持ったソフトウェア開発者だけでなく、通常業務に携わっているような人でも簡単に使えます。連携機能や変換機能を豊富に備えているほか、データを統合するための処理をGUIで定義できるので、処理の拡張や修正にも対応しています。8,000社以上の導入実績を持っているので、ノウハウと経験を豊富に蓄積している信頼性の高い製品を利用したい人におすすめのツールです。
9. Talend
Talendはプランによって、シンプルなETLツールとしてはもちろん、高機能なデータ統合プラットフォームとしても使えます。プランによっては、AWSやGoogle Cloud Platformといったクラウドプラットフォームも利用できるので、柔軟に対応可能です。また、無料で利用できるオープンソース型のETLツールも用意されています。オープンソース版には有料パッケージ版とほぼ同等レベルの機能が備わっているので、ある程度ならオープンソース版でも十分です。ただし、監視やスケジューリングのためのツールなどは利用できないので、大企業などの場合は有料版を利用するのがよいでしょう。
10. RapidMiner
RapidMinerはデータの加工から評価、運用まで実行できる、世界40ヶ国以上で採用されている機械学習リーディングプラットフォームです。ドラッグ&ドロップといった簡単な操作で、データサイエンティストが行うような高度な分析業務を行えるようになります。グラフ出力といったデータを可視化できる機能も備わっているので、使い勝手のよいツールといえるでしょう。また、日本語でのマニュアルサイトも用意されているので、導入しやすいのもポイントです。無料で利用できるFree版や、30日間の無料トライアルも用意されているので、まずは試してみるとよいでしょう。
11. IBM InfoSphere DataStage
IBM InfoSphere DataStageは日本国内でトップシェアを獲得している、大企業向けのETLツールです。日立や伊藤忠テクノソリューションズなど、大手ベンダーが販売しているので、信頼できるツールといえるでしょう。AIを活用したデータ統合や並行処理によって、ハイブリット環境やマルチクラウド環境で高速処理を実現しています。また、GUI操作による開発で、データ統合に関する処理を高い生産性で開発可能です。大企業の要件にも耐えうる豊富な機能が揃っており、AIアプリケーション向けなどといった、複雑なデータ構造の開発も行えます。
12.Informatica PowerCenter
Informatica PowerCenterは企業に蓄積しているデータを抽出・統合し、適切なタイミングで配布できる、大企業向けのエンタープライズデータ統合プラットフォームです。リポジトリによって、テーブル定義やビジネスロジックをメタデータとして統合・管理できるので、効率的で柔軟なデータ統合基盤を実現できるでしょう。また、企業内に散らばる様々なデータの複雑な流れを管理するマルチスレッド処理によって、大量データの高速処理の実現による素早い意思決定がサポートされます。そのほか、GUI操作を基本とする開発環境によって、ノンプログラミング環境でのデータの定義から抽出・加工までが可能です。
13. DataSpider Cloud
DataSpider Cloudはクラウドならではの豊富な接続先が特徴的な、日本製のETLツールです。SalesforceやAWSなど豊富な接続先を持っているほか、独自のThunderbusの技術によって、VPNなしでセキュアにオンプレミスと連携できます。また、半角カナや和暦の変換などといった、100%日本製ならではの細かなデータ加工にも対応しているのもポイントです。ドラッグ&ドロップの直感的操作によって、ノンプログラミングで連携処理を作成できるので、扱いやすいツールといえるでしょう。
14. Syncsort DMExpress
Syncsort DMExpressは高品質で高速な処理を売りにしている、ETLツールです。スマートETLオプティマイザという独自の自動チューニング機能が搭載されており、データ内容やシステムリソースに合わせた最適な処理が行われます。大容量のデータ処理であっても、最適化によってローエンドのサーバーでも安定した処理が行えるので、ハードウェアへの過度な投資の抑制が可能です。また、上から下へと開発を進める分かりやすいGUI構成となっているので、誰でも簡単に安定した開発を行えます。
15. BusinessSPECTRE
BusinessSPECTREは独自のデータ構造を持つSAPのデータ解析エンジンを搭載している、SAP ERPのデータ連携に特化しているETLツールです。独自のデータ解析エンジンによって、SAPのデータを他のシステムへの連携や、分析レポートの作成などに活用できます。レポートまで構築済みなので、最短1ヶ月で概要を把握して導入できるのもポイントです。また、日本企業で求められるような細かな機能や、データ量の増大にも耐えられるスケーラブルなアーキテクチャも持っています。
16. AWS Glue
AWS GlueはAWS上に保管されているデータを抽出・変換・書き込みできる、完全マネージド型のサービスです。主に、AWSの各種サービス間を繋ぐ、データ連携基盤としての役割を持っています。ETL作業の多くを自動化し、ワークフローの実行に必要なデータ準備を行ってくれるため、担当者は他の作業に集中できるでしょう。また、ETL処理はScalaやPythonといった開発者にとって馴染みのコードで自動的に行われるため、任意のIDEでもデバッグやテストなどが可能です。
17. trocco
troccoはデータ統合の開発からデータ基盤の運用までを自動化し、データ分析基盤の整備と運用をサポートする総合支援サービスです。データウェアハウスやデータベースなどが接続先として対応しているほか、CRMやMAといったクラウドで提供されている各種サービスと連携して、データ分析を行えます。また、7種のテンプレートとPythonやJavaなどのプログラミング言語で、柔軟に処理を行えるのも特徴的です。そのほか、日付を始めとしたフォーマット変換やマスキング処理などといった処理を、簡単な画面操作で行えます。
18. Reckoner
Reckonerは100種類以上のデータベースやSaaSアプリケーションと接続可能な、クラウド型のETLツールです。オンプレミスやクラウド、SaaSアプリケーションなど幅広くデータ連携できるので、基盤システムから業務データまであらゆるデータを統合して活用できます。また、直感的かつシンプルなインターフェースによって、専門家でなくてもETLやデータパイプラインを素早く構築可能です。
19. tableau
tableauはデータを分かりやすく可視化してくれる、データ分析プラットフォームです。CSVやExcel、データベースなど様々なデータ形式に対応しているため、前処理や変換を行わなくてもそのままデータを取り込めます。また、Tableau Prepというノーコードでデータの整形や統合を行えるETLツールを事前に用いれば、大容量のデータであっても高速で処理が可能です。Tableau Desktopのように、ドラッグ&ドロップを中心とした分かりやすいインターフェースに加え、データを可視化しながらデータ処理を行えます。
ETLツール導入の注意点
一時的に作業量が増える
導入のポイントでお伝えしたとおり、導入前には課題の洗い出しやETLツールを活用するデータについて把握する必要があります。また、導入後は定期的に、特に最初のうちはデータの整合性を確認する必要があります。長期的にみるとETLツールの導入は業務効率化を促すものですが、導入前後は一時的に作業時間が増えてしまう可能性があることも覚えておきましょう。
導入コスト
ETLツールは無料のものもありますが、必要な機能を求めた場合に多大なコストがかかってくる可能性があります。本当にそのツールにかけるべき費用なのかどうかを把握するために、無料トライアルなどを利用することも大切です。
比較検討を重ねて自社に適切なETLツールを選ぼう
ETLツールのメリットと、おすすめのETLツールをご紹介しました。様々な企業からETLツールが提供されていますが、自社に合ったETLツールを選べば大幅な業務の効率化が期待できるでしょう。例えば、tableauを用いればデータの収集・整形から分析まで、一括で対応できます。また、直感的に操作できるので、専門的な知識がなくても扱いやすいでしょう。ぜひ記事も参考にして、数あるETLツールを比較検討し、自社に適切なETLツールを選んでみてください。