
ビッグデータを活用して売上向上をした企業はたくさんあります。一方で、ビッグデータを活用しているつもりでも、なかなか売上を伸ばせない会社も存在します。ビッグデータを利用する点では同じなのに、売上に違いが出ています。両者の間にはどのような違いがあるのでしょうか。
この記事では、ビッグデータを活用して売上を伸ばしている事例を紹介した上で、ビッグデータ活用のプロセスと改善の方法も解説します。今後、ビッグデータを経営に活用していきたいと考えている経営者の方はぜひ参考にしてください。
ビッグデータを活用している企業が売上を向上させている
世界の経済を牽引しているIT企業は、ビッグデータを有効に活用したことで売上を向上させています。ビッグデータは世界のIT系一流企業だけではなく、各種の産業でも活用されていますし、日本国内でも活用されています。特に注目すべきなのは、DX化が難しいとされていた業種の多くも、ビッグデータの活用で売上を向上させている点です。日本国内の産業でビッグデータがどのように活用されているのか紹介していきます。

⇒そもそもビッグデータとは?(「ビッグデータとは?データ分析の第一歩がわかる!」)
飲食業の活用事例
飲食業ではビッグデータをトレンドの分析と、発注や在庫の管理に活用されています。飲食業は人々のトレンドによって大きく売上が変わります。トレンドの波に乗っている商品を増やし、廃れてしまった商品を減らすことで、収益を増やして支出を抑えられます。ビッグデータを分析すれば、トレンドの動きを迅速に把握できます。飲食店では賞味期限のある在庫管理も重要です。需要の無い商品を発注したり、製造したりすることが無くなれば無駄な支出がなくなり利益も増加します。
小売業の活用事例
小売業では、決済をする際に収集したPOSデータで顧客の行動も細かく分析しています。POSデータは販売した商品のデータと共に、購入者の年齢層や性別のデータも収集できます。フランチャイズなどのように全国的に展開している店舗なら、地域別のデータも蓄積します。そのため、お客様の属性と行動を分析することで、売れ行きの上がっている商品と定番商品などを区別できます。さらに、店内の陳列棚を整理・変更することで、属性に合わせて商品を手に取らせやすい仕組み作りも可能です。
エンタメ業の活用事例
エンタメ業界でもビッグデータは活用されています。エンタメ業界も、飲食や小売業と同様にトレンドに左右されます。ビッグデータを分析することで、流行のコンテンツを抽出します。流行のコンテンツやグッズ販売をすれば、売上向上は可能です。常に新規の企画やコンテンツを作り出していかなければいけないのがエンタメ業界です。ビッグデータの分析によって時代の流れを読むことは、新規企画を構想する前には必要事項です。
売上向上までのビッグデータ活用全プロセス
ビッグデータを活用して売上向上に繋げるには、きちんとしたプロセスを踏まなければいけません。ここからは、ビッグデータで売上を伸ばしている会社が採用しているプロセスの全容を紹介します。ビッグデータも闇雲に利用しているだけでは、有効に活用できません。きちんとしたプロセスを抑えておきましょう。

ビッグデータの収集
ビッグデータ活用のプロセスは、生のデータを収集する段階から始まります。データそのものが無ければ、分析をすることはできません。既に公開されているビッグデータを利用できますし、自社で運営するサイトからも収集できます。まずは、生のデータを集めましょう。データの収集に終わりはありません。次のプロセスに移ってもデータの収集は継続的におこないましょう。
ビッグデータの整形
生のデータの収集をしたら、データのスクレイピング(クローリング)の段階に入ります。生のデータには不要なデータもありますし、分析には適していない状態です。データ分析ができるように、生のデータを適切な形式にしなければいけません。ビッグデータのスクレイピングをすることで、分析をしやすい形式にします。データのスクレイピング(クローリング)は、専門的な知識や技術も必要とします。また、スクレイピング(クローリング)の段階でミスがあると、分析結果にも大きく影響します。データ分析のプロセスの中でも重要な段階です。
ビッグデータの分析
ビッグデータの整形が終わった後は、得られたデータから何が読み取れるのか分析する段階です。ビッグデータの分析は、さまざまな方法や視点から分析することが大事です。視点や属性を含めた分析によって、まったく異なる特徴や傾向を把握することができるからです。デジタルによって、分析方法や属性の入力は簡易になりました。しかし、そのデータ分析によって、どのようなことを読み取れるかは人間がおこなわなければいけません。
分析から得られた知見から企画を練る
分析結果から今後の企画や施策を練るのも人間がおこなう重要な作業です。データの分析をすれば、世の中のトレンドやこれまでの知見のズレを見出すことができます。自社の利益や売上向上に向けて、最適化された企画を練ります。新しい企画や、将来の方向性を決めていくことは、経営を左右する重要な決断です。分析結果を基にして、あらゆる企画を提案して検討を重ねましょう。データに基づいた企画であれば、良い結果を得られる確率が向上します。
実際に企画を実施する
実際に企画を実施するのもビッグデータ活用のプロセスです。当たり前のことですが、データ分析の知見に基づいた企画も、実施しなければ結果は得られません。綿密にデータの分析をして企画をしたとしても、それは仮説にすぎません。実際に行動に移すことが大事です。実施をしてみて、企画の良し悪しが結果として得られます。綿密に企画を練った後は、実施に移しましょう。
企画の効果測定
企画の実施をした後は、効果測定をする段階です。新しい企画を実施した後も、データを入手しておく体制を取っておきましょう。企画段階で試算した売上や想定した顧客層に対して、どのような結果が得られたのか確認します。期待通りの結果が得られれば企画として成功と言えます。
施策や企画の修正
企画段階で予測した通りの結果が得られれば成功ですが、はじめての企画を実施して期待通りの結果を得られることはほとんどありません。実施した後も、データ収集と分析をしながら思考錯誤を重ねて施策や企画を修正していきます。目標とする結果に近づけることも大事ですし、企画の失敗だと判断した場合は新規の企画に切り替えることも大事です。企画の修正を繰り返して継続させるか、企画を切り替えるか判断するためにもデータの収集は続けましょう。データ分析によるエビデンスが無ければ経営判断を下すことはできません。
売上が向上しない場合の対策案はプロセスを見直す
ビッグデータの活用をおこなっても売上が期待通りに向上しない場合は、データの活用プロセスを最初から見直すべきです。これまでに説明してきたデータ分析のプロセスは、何度も繰り返さなければいけません。そして、何度も修正を繰り返しながら、目標とする結果に近づけていくことが大事です。生のデータを収集したり、整形をする初期の段階でエラーが起こっている場合もあります。また、データ分析や企画自体に修正を加える場合もあるでしょう。企画を施策してみて期待通りの結果が得られない場合は、ビッグデータの活用プロセスを一つ一つ丁寧に見直してください。

ビッグデータ分析の目的設定を再確認する
ビッグデータ分析の目的設定を再確認することも重要です。データ分析や企画立案などの細かい作業をしていて煮詰まってくると、最終目的を見失ってしまうことがあります。目標を見失っている状態では、データの分析も企画の立案も意味が無くなります。最終的な目的を再確認することで、データ分析や企画立案の方向性を定められます。場合によっては、企画や施策、目的設定は途中で変更してもよいです。目的設定を再確認し、目的にどのようにアプローチするか思考錯誤しましょう。
まとめ
ビッグデータを活用して売上向上に繋げている会社は、世界的にも数多く存在しています。一方で、ビッグデータを利用しているのに売上を伸ばせていない会社もあります。ビッグデータを活用する際には、きちんとしたプロセスを踏むことが大事です。期待している結果が得られない場合は、ビッグデータ活用のプロセスに問題がないか再度確認すべきです。
また、ビッグデータの分析は目的を持っておこなわなければいけません。会社の目的も再度確認しましょう。ビッグデータの分析プロセスでは、スクレイピング(クローリング)の段階に手間と時間がかかってしまいます。スクレイピング(クローリング)で消耗してしまい、分析結果と施策の提案の段階で集中力が途切れてしまう場合もあります。データのスクレイピング(クローリング)は、専門の会社に委託することも可能です。スクレイピング(クローリング)の業務を任せて、新規の企画を練ることに集中しましょう。