
生産性の向上や業績の向上のために、PDCAの導入を検討されている方はいませんか?PDCAサイクルは優れた業務管理モデルとして浸透しており、多くの企業に導入され、確かな成果を出している優れたメソッドです。しかしながら、PDCAをどのように実施すればよいのか、分からないという方も多くいるのではないでしょうか?実際、PDCAを導入したものの上手くいかず、効果的に活用できなかった企業も少なくありません。
そこで今回は、PDCAの特徴からメリット・デメリット、実施する上での注意点について詳しく解説します。合わせて、PDCAを実施して成功した企業の事例についても紹介します。この記事を読めば、PDCAをどのように導入すればよいのか、把握することが可能です。
PDCAとは?
PDCAとは目標を達成するために、生産管理や品質管理などの管理業務を継続的に改善していくためのメソッドです。
- Plan(計画)
- Do(実行)
- Check(評価)
- Action(改善)
といった4つのステップの頭文字から取られており、4段階のサイクルを回していくことで、目標やそこに至るためのプロセスの質や精度が向上します。
1950年代に品質管理の父である、エドワーズ・デミングが提唱したフレームワークであり、改善が必要な部分を特定・変更できるように提唱されたモデルです。各プロセスを測定・分析し、PDCAサイクルを継続的に回していくことによって、連続的なフィードバックが行えるループ型のモデルとなりました。現在では多くの企業でPDCAサイクルが導入されており、マーケティングに限らず、業種や職種を問わず活用されています。
次に、PDCAサイクルで行うそれぞれのステップについて、詳しく解説します。
①Plan
Planは目標や目的を設定し、達成するための実行計画を立てるためのステップです。ただし、やみくもに目標を設定して、過去のやり方を踏襲した方法で計画を立ててはいけません。明確な目標を立てる際のポイントとして、「7W2H1G」というものが挙げられます。
「7W2H1G」とは、
- 誰が(who)
- 誰に(whom)
- どこで(where)
- どちらから(which)
- 何を(what)
- なぜ(why)
- いつまでに(when)
- どれほど(how many)
- どのように(how to)
- ゴールは何か(goal)
といった明確な目標を設定するための、10点のポイントです。
「7W2H1G」を意識して、測定可能かつ到達可能な、現実的な目標を設定するようにしましょう。PCDAサイクルにおいては結果的に失敗してしまっても問題ないので、最初から完璧な計画を立てる必要はありません。計画を立てる時には、自らの仮説に基づいた論理的な計画を立てることを意識することが大切です。
②Do
DoはPlanで立てた目標達成の計画の通りに、実行に移るステップです。計画で挙がった課題解決のための仮説を、複数の行動に分割して具体的なタスクレベルに落とし込んで実行に移ります。タスクを設定する際には、再現性がある具体的な行動であるかどうかに注意するとよいでしょう。計画通りに実行に移ることで、その場の思いつきや惰性ではない、目標達成のために重要な仕事に集中できるようになります。
また、実行したプロセスと結果を後で評価できるように、活動記録を取っておくことも大切です。記録を取る際には、いくつかの指標を選んだうえで数値化しておくと、評価者の主観が入らずに客観的な評価を下すことができます。
③Check
Checkは実行した内容が本当に適切であったかどうかを、評価していくステップです。当初の計画通りに活動することができたか、目標を予想通りに達成できたかを入念に検証していく必要があります。単純に「できた」「できなかった」といった2択で評価を行うのではなく、なぜこのような結果になったのかといった要因をデータを基に評価することが大切です。
計画通りに実行できなかった場合には、なぜ上手くいかなかったのかを、特に入念にデータを用いて要因分析を行う必要があるでしょう。もちろん実行結果が上手くいった場合でも、なぜ成功できたのかを分析しなければなりません。データを基に分析をしっかりと行い、適切な評価を下すことによって、効率良くPDCAサイクルを回していけるようになります。
自社でデータを用いて評価を下すのが難しい場合には、データ分析のプロの業者に依頼するのも手でしょう。こまめに実行結果を分析していくことで、どこが問題であるのかを素早く特定することができ、無駄な実行を減らすことができます。
④Action
ActionはCheckでの評価を受けて、今後どのような対策や改善を行っていくべきなのかを検討していくステップです。Checkステップで仮説の検証と要因分析がしっかりと行えていないと、誤った対応策を考えてしまいかねないので、注意しなければなりません。
Actionステップで改善を検討するポイントは、
- 目標
- 計画
- 行動
の3つとなります。
目標を達成するためにどうすればよいのか、あるいはさらに高い成果を上げるためにはどうすればよいのかを検討していきます。ただ悪かった点を修正していくだけでなく、よかった点はさらに伸ばしていくといった検討も必要です。改善策を基に再び現実的な目標を設定して、新しく計画を立案し、PDCAサイクルを再びっ回していきます。
PDCAのメリット

PDCAサイクルを企業に導入することによるメリットとして、次のような点が挙げられます。
- 目標の明確化
- やるべき作業に集中
- 課題の把握
どのような仕事であっても、計画も立てず行き当たりばったりで実行していれば、同じ失敗を繰り返してしまうでしょう。PDCAサイクルを導入すれば、目標が明確になり、やるべきことに集中して取り組めるようになります。
次に、PDCAのメリットについて、それぞれ詳しく解説していきます。
①目標が明確になる
PDCAサイクルを導入することによって、目指すべき目標とやるべきタスクが明確になります。目標が明確になっていないと、本来であれば達成すべき着地点とはズレてしまいかねません。具体的なアクションやタスクを考えることも難しくなるので、何をすればよいのか分からないという事態に陥ってしまうでしょう。目標が明確になっていないことで、モチベーションが低下してしまい、結果として何も成果を挙げられずに終わってしまうケースもありえます。PDCAは具体的な計画を立てて、それに基づいた行動を行うという流れなので、目標が明確になります。目標達成までの道筋が明確になるほか、個人や組織のやるべきことが明文化されるので、モチベーションを維持できるというメリットも期待できるでしょう。
②やるべきことに集中できる
PDCAサイクルでは事前に目標や計画を立てた上で行動に移るので、無駄な動きをせずタスクの実行に集中できます。明確な目標やタスクが設定されていないと、目標とは関係ない作業に時間を取られてしまったり、何をすればよいか分からない時間ができたりしてしまうでしょう。無駄な時間が多くなってしまうと、成果が出るまでに時間がかかってしまうだけでなく、集中力の低下といった事態を招いてしまいかねません。PDCAは計画の段階であらかじめ目標やタスクを明確にするので、個人や組織が何をするべきなのかが明文化されます。何をするべきなのか理解できていれば、余計なタスクに取り組んでしまったり何をするべきか考える時間を減らして、目の前のタスクに集中できるでしょう。
③課題を把握しやすくなる
PDCAサイクルでは計画の段階で具体的な目標を設定するので、達成度が数字で明確になり、課題を把握しやすくなります。計画を実行すれば、必ずよかった部分と悪かった部分が出てきますが、目標が具体的ではないと課題の分析が難しいです。PDCAサイクルでは悪かった部分を、数字などの具体的なデータを用いて客観的に分析できるので、課題を把握しやすくなります。課題を把握できれば、解決するための改善案も立てやすくなり、より精度を高めた目標で次のサイクルに移ることができるのです。サイクルを繰り返し続けることで、目標と現実とのギャップにある課題を減らしながら、高精度な計画を立てられるようになるでしょう。
PDCAのデメリット
PDCAには多くのメリットがありますが、実は次のようなデメリットも存在します。
- 過去のやり方に固執してしまう
- PDCA自体が目的になってしまう
PDCAサイクルは業務改善モデルとして優れていますが、回していれば必ず成果が出るというものではありません。デメリットをしっかりと把握した上で、上手にPDCAを活用していくことが、よりよい成果を出すために重要です。
次に、PDCAに存在しているデメリットについて解説しますので、参考にしてみてください。
①過去のやり方に固執しやすくなる
PDCAサイクルを繰り返していると、一番最初の計画に固執してしまい、かえって時間がかかってしまうというリスクが挙げられます。PCDAサイクルは最初に立てた計画を基に実行し、改善を繰り返していくので、新しい計画の発想の原点はあくまでも過去の計画です。過去に立てた計画の質によっては、精度の高い計画にたどり着くまで、かなりのサイクルを繰り返さなければなりません。PDCAサイクルは失敗が前提にあるモデルですが、最初に立てる計画が曖昧であったり難易度が高いと、精度が上がるまでに時間がかかりすぎてしまいます。PDCAサイクルを効果的に運用するには、時には過去の計画に固執するのではなく、新しい視点を取り入れる柔軟な姿勢も大切です。
②PDCA自体が目的になってしまう
PDCAサイクルは本来目標を達成するための手段であるにもかかわらず、PDCAサイクルを回すこと自体が目的になってしまうケースがあります。PDCAサイクルを回すこと自体が目的になってしまうと、実行結果の評価や改善が適切にできず、なぜそのような結果になったのか要因分析が曖昧になるでしょう。PDCAサイクルは計画の改善をし続けることで目標を達成するための手段なので、サイクルの過程から学び取ることができなければ本末転倒です。PDCAサイクルはあくまでも目標を達成するための手段であり、計画の改善に繋げる目的があることを踏まえて取り組まなければなりません。
また、PDCAサイクルを上手く回そうとしすぎてしまい、1つ1つのステップに時間をかけすぎてしまっても改善のチャンスを逃してしまいます。ビジネスを取り巻く環境は常に変化しているので、スピーディーに効率よくするめることもPDCAサイクルには大切です。
PDCAが失敗する原因
せっかくPDCAを導入したとしても、PDCAサイクルが上手くいかないと悩んでいる企業が多いのも事実です。PDCAを成功させるためには、なぜ失敗してしまうのか、上手くいかない理由を把握しておくことが重要となります。失敗する理由を把握できていれば、自ずと失敗しないためのポイントも掴めるでしょう。
次に、PDCAサイクルの各ステップごとに失敗してしまう理由を紹介しますので、参考にしてみてください。
①Planの失敗原因
Planステップで曖昧あるいは実現が難しい計画を立ててしまい、失敗してしまうケースがあります。計画を立てる時に設定した目標までの工程が描かれていなかったり、現状分析や現状把握できていないと、曖昧あるいは難しい計画になってしまいがちです。PDCAの考え方の根本は仮説と検証にあるので、最初に立てた仮説や計画が曖昧な状態だと、実行や検証作業もお粗末なレベルになって満足な結果は得られません。
また、最初に立てた目標設定が高すぎてしまっても、実行作業が追いつかずに企画倒れで終わってしまう可能性が高くなってしまうでしょう。目標の達成が無理だと従業員が感じてしまうと、諦めの雰囲気が漂ってモチベーションも低下してしまいます。仮説であっても、目標の達成や課題を解決できる具体的な計画を立てられるかどうかが、成功するかどうかの分岐点となるでしょう。
②Doの失敗原因
Doステップで失敗してしまう要因としては、無計画に実行してしまったり、怠けてしまったといった理由が挙げられます。ただひたすら頑張ればよいといった無計画な実行は、どれだけ長時間行ったとしても、効果的な成果を挙げられません。目標が長期にわたってしまった場合には、直近の進捗が見えなかったりすると、結果を意識するチャンスを逃してしまいます。
多くの場合、Doステップが上手くいかない時は計画の段階で無理があり、業務プロセスに無理が生じてどこかに作業負荷が集中してしまっています。PDCAサイクルがうまく回っていない時には、当初の予定通りに行動できているかをチェックすべきでしょう。長期目標を短期目標にブレイクダウンしたり、目標達成に向けて綿密な計画を立案することが大切です。
③Checkの失敗原因
Checkステップにおける失敗要因としては、チェック基準が曖昧になっていて、きちんと成果を評価できていないといった点が挙げられます。なんとなく合格といったように抽象的で曖昧なチェックだと、PDCAサイクルを効果的に活用できません。成果が出たとしても、数値などのデータを用いた具体的な変化を捉えた評価ができなければ何がよくて何が悪かったのか分からず、同じことを繰り返してしまいます。目まぐるしく変化する市場に対応するにはスピード感も重要ですが、Checkステップを急ぎすぎてしまうと正確な分析ができず、改善に繋がりません。
また、Checkステップを内部だけで済ませようとすると、評価基準が甘くなったり見逃したりする可能性があります。どれほど急いでいたとしても、Checkステップは外部の視点も合わせて、しっかりと丁寧に分析を行うことが重要です。
④Actionの失敗原因
どれほどCheckステップで正確な分析を行えたとしても、Actionステップで実際に改善へ向けて行動しなければ、PDCAサイクルは途切れてしまいます。PDCAサイクルはひとつながりのループなので、4つのステップのうちどれかで頓挫してしまうと、ループ全体がストップしてしまいます。一度ループが止まってしまうと、そのまま取り組みが終了してしまうケースも少なくありません。PDCAサイクルを止めないように、Checkステップで改善点を分析できたなら、改善に向けて可能性のある案は全て試していくべきです。
改善に向けた行動にらちが明かない場合には、課題自体の見直しも視野に入れましょう。PDCAサイクルは何度も改善を繰り返すモデルなので、一度で大きな成果を得られることを期待せず、根気よくサイクルを回し続けることが大切です。
PDCAを回す際の注意点
PDCAサイクルを効果的に回していくには、次のようなポイントに注意する必要があります。
- 目標は定量的に、計画は具体的に
- 現実に実行可能な計画
- 計画通りに実行
- 定期的な振り返り
PDCAサイクルをただ回していくだけでは、確かな成果が出てこないので、ポイントをしっかりと押さえることが大切です。ポイントと失敗要因をしっかりと把握して、スムーズなPDCAサイクルを実現できるように意識しましょう。
次に、PDCAサイクルを回していくうえでの注意点について、詳しく解説していきます。
①目標は定量的に、計画は具体的に現実で実行可能な範囲で
Planステップに取り掛かる際、目標は数値で定量的に示し、計画は具体的で現実に実行可能な範囲で立案することが大切です。PDCAサイクルで失敗してしまう最大の原因が、最初のPlanステップでしっかりと目標や計画を立てられていない点にあります。目標が不明確のままだと、目標に至るまでの道のりが不透明になって、達成する子とが困難になってしまうでしょう。具体的な数値を意識して目標を設定することで、具体的にどのような行動を取ればよいか分かりやすくなり、効率的に実行できるようになります。目標を設定する際には現状から出発し、定量的で数値化できる指標を活用することが大切です。
また、現実的ではない計画だと、実行する段階で従業員のモチベーションも低下してしまうでしょう。根本的な原因を特定できたとしても、改善策が実行できるようなものでなければ、意味がありません。計画を立てる際には、背伸びをせずに達成することができる範囲内で、目標を設定することが肝心です。
とはいえ目標が低すぎても意味がないので、業務量との兼ね合いを考えながら、最大限達成できる目標と計画を考えるようにしましょう。目標を達成できたかを正確に分析できるようにするには、いつまでに行うのか期限を設定するのも効果があります。SMARTの法則(達成可能な目標を設定する考え方)を活用するなど、目標の設定に十分に注意を払うことで、PDCAサイクルの成否に大きく影響を及ぼすでしょう。
②計画通りに実行する
Planステップで具体的な計画を立てられたなら、必ず計画に沿って実行に移りましょう。計画通りに実行しなければ、検証うする段階で計画のどこがよく、どこが悪かったのか正確に分析することができません。検証ができなければ、どのように改善すればよいのか分からなくなってしまうので、PDCAサイクルが途切れてしまう要因となってしまいます。計画を実行している際に課題があるように感じたとしても、必ず計画の最後まで実行することが大切です。
また、検証の際に評価や分析ができるように、実行結果などの活動記録を詳細にデータとして残しておくようにしましょう。実行状況が分かるようにデータを残しておけば、客観的に結果の成否や課題を分析できるようになります。
③定期的に振り返る
PDCAサイクルは検証プロセスが必ず踏まれますが、それだけでなく定期的に確認や分析といった、振り返りを実施することが大切です。PDCAサイクルの好循環を維持するには、定期的に進捗の確認や現状の分析といった定期的なメンテナンスが欠かせません。1つのサイクル内であっても、定期的に振り返る機会を設けておけば、行動の修正も効率的に行えるようになります。振り返りに用いるデータを、具体的な数値として集約していれば分析しやすくなり、Actionステップでよりよい改善策を提案しやすくなるでしょう。
また、具体的なデータを活用して振り返りすれば、同じ失敗を繰り返すことなく確実に改善に繋げることが可能です。週に一度、あらかじめ決めておいた曜日にPDCAを振り返るタイミングを設定しておけば、好循環を維持しやすくなるでしょう。
PDCAの成功例
続いて、PDCAサイクルを実際に導入して成功している企業の事例を、3例紹介します。
- 無印良品
- ソフトバンク
- トヨタ
誰もが知る有名企業は、PDCAサイクルを効果的に活用することで、改善に成功した成果を挙げています。それぞれの企業でPDCAサイクルをどのように実施し、どのような成果を挙げたのか知っておけば、自社で導入する際に参考になるでしょう。
次に、それぞれの企業が実施した事例について詳しく解説します。
無印商品
無印良品では店舗や個人ごとに知識やサービスの品質に差が出ないように、全スタッフのノウハウを平準化するために、PDCAサイクルを活用しました。接客や業務内容をマニュアル化し、スタッフがマニュアルに沿って日々の業務を実行し、定期的に実務における気づきを共有しながら改善を繰り返しました。無印良品は、マニュアルは一度作っただけでは完成ではないと考え、PDCAサイクルを回しながら改善を続けたのです。マニュアルの完成度を高めた結果、顧客に対してより高い水準のサービスを提供できるようになり、業績が大きく向上しました。
ソフトバンク
ソフトバンクは「高速PDCA」の考え方を取り入れ、独自の視点をプラスして進化したPDCAによって、30数年で8兆円を売り上げる企業にまで成長しました。
ソフトバンクが従来のPDCAに追加した独自の視点とは、
- PDCAをやったという雰囲気で終わらせない
- スピードと精度の高いPDCA
の2点です。
実施したPDCAサイクルの流れとしては、まず大きな目標を立てて、その下に小さな目標をいくつか立てて日・週・月単位でチェックする体制を整えます。計画の実行は期間を決めて複数の方法を並行して進め、検証は毎日行うようにしました。改善は最も効果の合った方法を採用し、さらにブラッシュアップするなどといったように、積極的な改善を続けました。1日単位で細かくPDCAサイクルを回していきながら、PDCAに合理的な検証と改善に繋げるスピード感をプラスすることで、企業を大きく成長させました。
トヨタ
トヨタ自動車は徹底したPDCAの実践によって、グローバル企業として確固たる地位を築くことに成功しました。Planステップでは「ムリ・ムダ・ムラ」を徹底的に排除した、「トヨタ生産方式」によって生産性を高め、最短時間で車を製造できるシステムを構築しました。Doステップでは「ジャストインタイム」体制の導入や、異常事態発生時に機械が自動で止まる自働化の採用をしています。不良品の発生や問題の兆候が見えた時点でCheckステップに入り、現場の作業員と管理者が一緒に検証に取り掛かり、改善提案を行ってすぐに取り入れてきました。抜本的な組織・人事改革を進めることにも成功し、世界的な自動車メーカーとして成長したのです。
PDCAに代わるOODAとは?
OODAとはアメリカ空軍のジョン・ボイド大差が提唱したビジネスメソッドで、PDCAに代わる概念として注目を集めています。
OODAは、
- Observe(観察)
- Orient(状況判断)
- Decide(意思決定)
- Act(実行)
の頭文字をとった言葉です。
大きな特徴として、
- ループしながら調整機能を働かせ、何度も素早く繰り返す
- 繰り返していく中で、相手を圧倒し、自分にとって有利な立場を獲得する
といった点が挙げられます。
PDCAとOODAの違い
PDCAが数値的な指標や定量化した基準を活用した、プロセス重視のメソッドであるのに対し、OODAは観察と状況判断を重視した機動性の高いメソッドです。PDCAは実効性の高いメソッドではありますが、最初に立案した目標や計画がスタート地点のプロセス重視型なので、場合によっては市場の変化に対応できません。
一方でOODAは柔軟な判断や迅速な実行が最優先なので、斬新なアイデアが出やすく、市場の動向や顧客のニーズに対する適合性が高いメソッドであるといえます。PDCAとOODAの両方のメリットを考慮しながら、自社に適したメソッドを活用することが大切です。
まとめ
PCDAの特徴や、実行する上でのメリットやデメリットなどについて、解説しました。PCDAは優れたモデルではありますが、ポイントをしっかりと押さえないと、十分に効果を発揮することができません。また、PDCAに代わるメソッドとして、OODAというメソッドも登場しています。PDCAとOODA双方にメリットがあるので、自社にとってどちらが適切なのか考慮した上で、業績改善に有効活用してみてください。